地球研をのぞいてみよう

地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します

お次の冒険は
「滋賀県 草津市
志那の内湖(平湖・柳平湖)」

に行くよ。

案内してくれるのは、
池谷透研究員
だよ!

ガイド
  • 平湖・柳平湖 真珠棚全景 ▲ 平湖・柳平湖 真珠棚全景
  • 地球犬

    あー空気が気持ちいい。

  • ナス子

    ここは琵琶湖(びわこ)なの?

  • ガイド

    ここは琵琶湖と水路でつながっている内湖(ないこ)だよ。

  • 地球犬

    あ、内湖か。

  • ナス子

    え、知ってるの?

  • 地球犬

    え、忘れたの?

  • 地球犬

    あれはたしか2015年の夏でした。

  • ナス子

    思い出した!オレンジのジャンバーのお兄さんにいろいろおしえてもらったっけ。

  • ガイド

    ここは、その一つ。草津市にある平湖(ひらこ)柳平湖(やなぎひらこ)。このように湖の周りにはヨシやマコモなどのヨシ帯がひろがっていて、内湖は本湖にくらべて波がおだやかなうえ、魚にとって(えさ)となる生き物が多くいるから、産卵や生育にもてきしているんだ。

  • 内湖とヨシ帯 ▲ 内湖とヨシ帯
  • 地球犬

    琵琶湖と、この内湖や岸辺の水田を行き来するお魚もいるんだってね。

  • ナス子

    地球犬くん、すごーい。物知り。

  • ガイド

    近くに住む住民にとっては、沖曳網(おきびきあみ)やエリなどの専用の漁具(ぎょぐ)がなくても魚を捕ることのできる‘おかず採り’の場でもあったんだ。

  • ナス子

    おかず?さっそく(つか)まえようよ♪

  • 地球犬

    おそろしい食い気だ。

  • ガイド

    そう、地元、志那(しな)の人たちにとって内湖は生活との深いつながりが50年ほど前まではありました。

  • ナス子

    えっ?!

  • ガイド

    田舟(たぶね)を使っていたころは、自分の水田に行くのにも内湖を通り道として利用し、行き帰りに魚を捕っていたんだ。でも、水郷(すいごう)だった町の様子も内湖のかたちと共にずいぶん変わりました。

  • 田舟での憩いのひととき ▲ 田舟での憩いのひととき
  • 地球犬

    皆んなでお昼ごはんを囲んで楽しそうなのに。今はもうないのか・・・。

  • ガイド

    そうだね。昭和初期には、他の地域にさきがけて内湖の水面を使った淡水真珠養殖(たんすいしんじゅようしょく)が始められ、堅田(かただ)とならんで産業につながる利用もされていたんだよ。

  • 淡水真珠養殖 ▲ 淡水真珠養殖
  • ナス子

    わぁ、ピンク色の真珠だ!キレイ♡

  • 地球犬

    おじょうさん、首輪(くびわ)におつけしましょうか。

  • ナス子

    あとでいいや。

  • 地球犬
    ピキーン(硬直)
  • ガイド

    えーと、それでね・・・。
    内湖は、まわりの地域社会の多様(たよう)な文化を支えてきた一方、生物多様性の高い場所でもあるんだよ。

  • フナの産卵 ▲ フナの産卵
  • ナス子

    あっ、何かいるよ!

  • ガイド

    フナの産卵だよ。ほかにもコイ、モロコなどの魚をはじめ、色んな生き物が産卵のためにやってくるよ。最近は、琵琶湖の水質は良くなったけど、魚は昔に比べて減ったまま。生き物の生息地としての内湖の大切さが改めて見直されはじめたよ!

  • 地球犬

    それはみんなで自然をちゃんと守らないとね。

  • ガイド

    そう。だから滋賀県では国の「生物多様性基本法」や「琵琶湖保全再生法(ほぜんさいせいほう)」という法律に基づいて生態系を含めた自然環境や景観(けいかん)の保全と利用が上手くいくように様々な取り組みを計画しているよ。

  • ナス子

    法律まで作らなきゃいけないくらい自然を失ってしまったの?

  • 内湖エリ ▲ 内湖エリ
  • ガイド

    生活や自然の利用の仕方が変わったために自然との付き合い方を考え直さなくてはいけないことが最近増えてきたね。内湖の多くは戦時・戦後の食糧増産(しょくりょうぞうさん)のために干拓(かんたく)されて消失してしまったんだ。

  • 地球犬

    人間の都合よく干拓されてしまったんだね。代表して謝ります。ごめんなさい。

  • 左 ナス子

    また人間様気取りだ・・・

  • ガイド

    残された平湖・柳平湖も、かつては琵琶湖と24もの水路でつながれいて、野洲川を水源にもつ中の井川と栗東金勝山(りっとうこんぜやま)を水源地とする葉山川から流入があったんだ。。

  • 地球犬

    今はずいぶん変わっちゃったんだね。

  • ナス子

    あそこで何かやっているよ!

  • 校外学習
  • ガイド

    あれは地元の⼩学⽣が内湖で育った⾙を触らせても らっているところ。地域の人たちが試験養殖をして、以前のように3年で光沢(こうたく)の良い真珠ができることを確かめたんだ。

  • 地球犬

    僕もみたい♪

  • ナス子

    あたりー!貝の中にちゃんと真珠がはいっているね♪

  • ガイド

    色んな生き物がいて、今は取り戻しつつある自然だけど、平成10年頃は富栄養化(ふえいようか)によって自然のバランスがくずれてしまったために、アオコがたくさん発生して、魚採りも真珠養殖も行えない状態だったんだ。

  • 地球犬

    どうやって回復していったの?

  • ガイド

    行政と住民が相談して浚渫(しゅんせつ)や湖岸に浅瀬(あさせ)をつくってヨシなどの植栽(しょくさい)をしながら、内湖に水が流入する量を増やしてきたんだ。今、地元の人が内湖を活用しながら、以前のような水辺の生き物のにぎわいを実感しはじめたところなんだ!。

  • 保全活動
  • ナス子

    住民のみんなも自主的に保全活動をするってすばらしい!

  • 湖岸植栽 ▲ 湖岸植栽
  • ガイド

    琵琶湖越しに比叡山(ひえいざん)をはじめとする山並みを見ることのできる素敵な内湖が戻ってきました。

  • 公園整備
  • 地球犬

    お兄さんも一緒に活動を?

  • ガイド

    はい。わたしたちは、流入したリンの循環(じゅんかん)などの生態系と水質との関わりや、在来魚の魚道の利用状況など調査によって得られた結果を地元の人たちに提供しながら、生態系と環境の回復度合いを調べています。

  • 内湖調査協働 ▲ 内湖調査協働
  • ナス子

    お兄さん、この豊かな恵みを将来にも残せるよう頑張ってください!

  • 地球犬

    ナス子ちゃんが珍しくまともな事をいったところで、そろそろおいとま。またね~

  • ガイド

    気を付けてね。

滋賀県志那の内湖(平湖・柳平湖)

地理:
滋賀県草津市。琵琶湖と水路によってつながっている湖沼、かつての水郷
気候:
風が強い
経済:
農村振興地域、淡水真珠養殖発祥、志那漁協
民族:
日本人
言語:
日本語
宗教:
浄土宗のお寺が多い
食文化:
煮つけ、洗いなど湖魚料理
建築:
水郷の名残の水路の面影が町中にかろうじて見られる。真珠業の興隆を忍ばせる構えの立派な屋敷がある

今回のガイド

池谷(いけや)(とおる)

総合地球環境学研究所 研究員

専門は水域生態学。プランクトン藻類の光エネルギーとリンなどの栄養物質の利用・群集解析に関する基礎研究をもとに、局地性湧昇や海洋混合による生物生産と生態系への影響や海洋生物資源の循環利用、自然保護区の国際制度について研究を行ってきました。現在、琵琶湖とフィリピン・ラグナ湖流入河川の付着微生物、水田プランクトン藻類、内湖の物質循環とプランクトン微生物、琵琶湖のメタン酸化細菌の調査を進めています。

顔写真
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