地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します
今回の冒険は
「オホーツク海」
に行くよ。
案内してくれるのは、
中塚武 教授
だよ!

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▲
小樽港 に着岸 したクロモフ教授号 -
ふむふむ。今回は長旅になりそうだな。
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地球犬くん、何見てるのー?
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今回の
航海図 だよ。 -
え!航海にでるの?!
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オホーツク海に行くよ!
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オホー!私もいく!
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ちゃっかり水兵さんの
帽子 持ってるやん・・・ -
じゃあ、
早速 でかけましょう。 -
これはこれは、中塚先生じゃないですか!
ここで何を? -
説明はあとでゆっくり、さあ乗って乗って。もう出るよ。
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▲ 小樽港での
出航 の風景 -
みんなバイバーイ!見送りありがとう。
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さてと。みなさんロシアの
海洋調査船 クロモフ号へようこそ。私がこの海洋観察の責任者 です。 -
ろ、ロシアの船?!!!
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そんなに
驚 くことなかれ。 -
オホーツク海は、元々はアイヌなどの様々な先住民族が
活躍 する場所だったけれど、今は日本とロシアの国境あたりになります。 -
北方領土問題 になっているところだよね。 -
そのとおり。日本とロシアの間で政治的な争いになっていますね。
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みてみて!何かいるよ。
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ナス子ちゃんは政治的な問題には
興味 なかったよね、、、。はいはい、なにを見つけたのかな? -
▲ 船の周りに近づいてきたシャチの親子
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あれはシャチの親子ですね。
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え、こんなとこにもシャチがいるの?!
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オホーツク海は自然がとても豊かなところで、この先もいろんな生き物に出会えると思うよ。冬は毎年流氷で
覆 われる世界でもっとも緯度 の低い海です。 -
このあたりも氷でおおわれちゃうのかぁ。
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緯度が低いわりに、寒いってわけ。
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そだねー★
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わあ!きみだれ?
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▲ 千島列島から
飛来 したウミスズメ -
ときどきウミスズメさんも遊びに来ますよ。
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あ、ども。
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流氷がうごかす海水の
循環 によって運ばれる鉄などの栄養素 が、オホーツク海やとなりにある親潮海域 を世界最大の漁場 にしているんです。 -
そのおかげで私たち「日本人」もおいしい海産物を食べられるんだなー。
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海産物の想像でヨダレ出すのはやめましょう。
そしてあなたは「日本犬」ですよっ。 -
そだねー★
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また君かいっ?!
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ま、こまかい事はよしとして、そろそろ仕事をてつだってもらいましょう。
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▲
霧 の中で採水観測 。 -
わー、みんな何してるの?
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鉄を
分析 するために、海水のサンプルをしんちょうに採取しているところです。 -
鉄を分析って?
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私たちのプロジェクトでは、アムール川
河口 からサハリン東岸、千島列島 を経て親潮海域に至る、溶存鉄 や粒子鉄 の輸送経路 の解明 を目指して、日露共同 の海洋観測航海をしています。 -
溶存鉄や粒子鉄の輸送経路??さらに分からないよ・・・
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海にいる植物プランクトンは、いつも鉄不足に
悩 まされているんだ。貧血 みたいなものだね。鉄は海水中には、ほとんど溶けないからだけど、アムール川から流れ出すつぶの細かい鉄は、海流に乗って遠くまで運ばれて、植物の光合成を支えていることが分かったんだ。 -
へー知らなかったな。
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これから一か月、
昼夜兼行 で観測機器 を上下させて水をくんだり、泥 を採取したりするよ。ロシア人の船員さんとも共同で作業してね。 -
▲ 巨大な重りの付いたピストンコアラーで海底
堆積物 の柱状試料 を採取 -
こりゃたいへんな作業だ。
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よっこらしょ。こりゃ力がいるぜぃ。
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あれ、そいうえばナス子ちゃんは何をしてるんだろ?
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むしゃむしゃ♪
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▲ ある日の昼ごはん
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僕が
頑張 っているときに、何のんきに食べてんの? -
何って、これは赤カブのスープとチキンにライス♪
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僕も食べたいな。
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わーみてみて!カモメさんも来たよ!
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ナス子ちゃんって仕事以外のことに忙しいね、、、
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▲ 北千島の火山島とカモメ
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きれいだなぁ。←たそがれ中
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さてさて、休んでいる
暇 はありませんよ。 -
この先はどんな仕事が待っているの?
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サハリン
沿岸 では、表面から海底まで水温や塩分を観測したり、海水の採取と分析、堆積物の採取もおこないますよ。 -
それは何のために?
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東サハリン海流によるアムール川河口からオホーツク海南部への鉄の輸送の
実態 を明らかにするためです。 -
広い海でどんなふうにぐるぐる移動するのかなぁ。
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ねぇねぇその前にみんなで写真とろうよ♪
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▲ 観測仲間との集合写真
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わーい!インスタ映え♡
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どこまでも自由なナス子ちゃんとの航海を
後悔 ・・・
オホーツク海
- 地理:
- ユーラシア大陸の東端にあり、カムチャッカ半島と千島列島で太平洋と隔てられています
- 気候:
- 世界で最も低緯度にある海氷域(海が凍る場所)です。つまり、緯度の割りに非常に寒い
- 経済:
- 世界で最も生物生産力が高い海域であり、当然、日露共に、漁業が盛んです
- 民族:
- ロシア人、日本人。近世までは、様々な少数民族が活躍する場所でした
- 言語:
- ロシア語、日本語
- 宗教:
- ロシア正教、もしくは、無宗教
- 食文化:
- 船の上では、比較的質素なロシア料理が中心(スープ1種と、メインデッシュ1皿と、黒パンです)
- その他:
- オホーツク海には、人は住んでいませんが、そこは主に漁業を介して、東アジアの人々が交流する場です
今回のガイド
中塚 武
総合地球環境学研究所 教授
現在は、気候適応史プロジェクトのリーダーとして、樹木年輪の酸素同位体比などを使った古気候の復元と、そのデータを歴史学や考古学の研究者とシェアすることによる、気候変動と歴史の関係の解明に関する研究に取り組んでいます。しかしその前は、主に海底堆積物を使って海洋環境の変化を復元する研究や、それに関連した海水や海水中に含まれる粒子の化学組成の分析を元に、海と生物と人々の暮らしの関係を考える研究を行ってきました。
