地球研をのぞいてみよう

地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します

今回の冒険は
「オホーツク海」
に行くよ。

案内してくれるのは、
中塚武 教授
だよ!

ガイド
  • 小樽港に着岸したクロモフ教授号 小樽港(おたるこう)着岸(ちゃくがん)したクロモフ教授号
  • 地球犬

    ふむふむ。今回は長旅になりそうだな。

  • ナス子

    地球犬くん、何見てるのー?

  • 航海図
  • 地球犬

    今回の航海図(こうかいず)だよ。

  • ナス子

    え!航海にでるの?!

  • 地球犬

    オホーツク海に行くよ!

  • ナス子

    オホー!私もいく!

  • 地球犬

    ちゃっかり水兵さんの帽子(ぼうし)持ってるやん・・・

  • ガイド

    じゃあ、早速(さっそく)でかけましょう。

  • ナス子

    これはこれは、中塚先生じゃないですか!
    ここで何を?

  • ガイド

    説明はあとでゆっくり、さあ乗って乗って。もう出るよ。

  • 小樽港での出航の風景 ▲ 小樽港での出航(しゅっこう)の風景
  • 地球犬

    みんなバイバーイ!見送りありがとう。

  • ガイド

    さてと。みなさんロシアの海洋調査船(かいようちょうさせん)クロモフ号へようこそ。私がこの海洋観察の責任者(せきにんしゃ)です。

  • ナス子

    ろ、ロシアの船?!!!

  • 地球犬

    そんなに(おどろ)くことなかれ。

  • ガイド

    オホーツク海は、元々はアイヌなどの様々な先住民族が活躍(かつやく)する場所だったけれど、今は日本とロシアの国境あたりになります。

  • 地球犬

    北方領土問題(ほっぽうりょうどもんだい)になっているところだよね。

  • ガイド

    そのとおり。日本とロシアの間で政治的な争いになっていますね。

  • ナス子

    みてみて!何かいるよ。

  • 地球犬

    ナス子ちゃんは政治的な問題には興味(きょうみ)なかったよね、、、。はいはい、なにを見つけたのかな?

  • 船の周りに近づいてきたシャチの親子 ▲ 船の周りに近づいてきたシャチの親子
  • ガイド

    あれはシャチの親子ですね。

  • 地球犬

    え、こんなとこにもシャチがいるの?!

  • ガイド

    オホーツク海は自然がとても豊かなところで、この先もいろんな生き物に出会えると思うよ。冬は毎年流氷で(おお)われる世界でもっとも緯度(いど)の低い海です。

  • ナス子

    このあたりも氷でおおわれちゃうのかぁ。

  • ガイド

    緯度が低いわりに、寒いってわけ。

  • ゲスト

    そだねー★

  • 地球犬

    わあ!きみだれ?

  • 千島列島から飛来したウミスズメ ▲ 千島列島から飛来(ひらい)したウミスズメ
  • ガイド

    ときどきウミスズメさんも遊びに来ますよ。

  • 地球犬

    あ、ども。

  • ガイド

    流氷がうごかす海水の循環(じゅんかん)によって運ばれる鉄などの栄養素(えいようそ)が、オホーツク海やとなりにある親潮海域(おやしおかいいき)を世界最大の漁場(ぎょじょう)にしているんです。

  • ナス子

    そのおかげで私たち「日本人」もおいしい海産物を食べられるんだなー。

  • 地球犬

    海産物の想像でヨダレ出すのはやめましょう。
    そしてあなたは「日本犬」ですよっ。

  • ゲスト

    そだねー★

  • 地球犬

    また君かいっ?!

  • ガイド

    ま、こまかい事はよしとして、そろそろ仕事をてつだってもらいましょう。

  • 霧の中で採水観測 (きりの中で採水観測(さいすいかんそく
  • ナス子

    わー、みんな何してるの?

  • ガイド

    鉄を分析(ぶんせき)するために、海水のサンプルをしんちょうに採取しているところです。

  • 地球犬

    鉄を分析って?

  • ガイド

    私たちのプロジェクトでは、アムール川河口(かこう)からサハリン東岸、千島列島(ちしまれっとう)を経て親潮海域に至る、溶存鉄(ようぞんてつ)粒子鉄(りゅうしてつ)輸送経路(ゆそうけいろ)解明(かいめい)を目指して、日露共同(にちろきょうどう)の海洋観測航海をしています。

  • 地球犬

    溶存鉄や粒子鉄の輸送経路??さらに分からないよ・・・

  • ガイド

    海にいる植物プランクトンは、いつも鉄不足に(なや)まされているんだ。貧血(ひんけつ)みたいなものだね。鉄は海水中には、ほとんど溶けないからだけど、アムール川から流れ出すつぶの細かい鉄は、海流に乗って遠くまで運ばれて、植物の光合成を支えていることが分かったんだ。

  • 地球犬

    へー知らなかったな。

  • ガイド

    これから一か月、昼夜兼行(ちゅうやけんこう)観測機器(かんそくきき)を上下させて水をくんだり、(どろ)を採取したりするよ。ロシア人の船員さんとも共同で作業してね。

  • 巨大な重りの付いたピストンコアラーで海底堆積物の柱状試料を採取 ▲ 巨大な重りの付いたピストンコアラーで海底堆積物(たいせきぶつ)柱状試料(ちゅうじょうしりょう)を採取
  • 地球犬

    こりゃたいへんな作業だ。

  • 地球犬

    よっこらしょ。こりゃ力がいるぜぃ。

  • 地球犬

    あれ、そいうえばナス子ちゃんは何をしてるんだろ?

  • ナス子

    むしゃむしゃ♪

  • ある日の昼ごはん ▲ ある日の昼ごはん
  • 地球犬

    僕が頑張(がんば)っているときに、何のんきに食べてんの?

  • ナス子

    何って、これは赤カブのスープとチキンにライス♪

  • 地球犬

    僕も食べたいな。

  • ナス子

    わーみてみて!カモメさんも来たよ!

  • 地球犬

    ナス子ちゃんって仕事以外のことに忙しいね、、、

  • 北千島の火山島とカモメ ▲ 北千島の火山島とカモメ
  • 地球犬

    きれいだなぁ。←たそがれ中

  • ガイド

    さてさて、休んでいる(ひま)はありませんよ。

  • ナス子

    この先はどんな仕事が待っているの?

  • ガイド

    サハリン沿岸()では、表面から海底まで水温や塩分を観測したり、海水の採取と分析、堆積物の採取もおこないますよ。

  • 地球犬

    それは何のために?

  • ガイド

    東サハリン海流によるアムール川河口からオホーツク海南部への鉄の輸送の実態(じったい)を明らかにするためです。

  • 地球犬

    広い海でどんなふうにぐるぐる移動するのかなぁ。

  • ナス子

    ねぇねぇその前にみんなで写真とろうよ♪

  • 観測仲間との集合写真 ▲ 観測仲間との集合写真
  • ナス子

    わーい!インスタ映え♡

  • 地球犬

    どこまでも自由なナス子ちゃんとの航海を後悔(こうかい)・・・

オホーツク海

地理:
ユーラシア大陸の東端にあり、カムチャッカ半島と千島列島で太平洋と隔てられています
気候:
世界で最も低緯度にある海氷域(海が凍る場所)です。つまり、緯度の割りに非常に寒い
経済:
世界で最も生物生産力が高い海域であり、当然、日露共に、漁業が盛んです
民族:
ロシア人、日本人。近世までは、様々な少数民族が活躍する場所でした
言語:
ロシア語、日本語
宗教:
ロシア正教、もしくは、無宗教
食文化:
船の上では、比較的質素なロシア料理が中心(スープ1種と、メインデッシュ1皿と、黒パンです)
その他:
オホーツク海には、人は住んでいませんが、そこは主に漁業を介して、東アジアの人々が交流する場です

今回のガイド

中塚(なかつか)(たけし)

総合地球環境学研究所 教授

現在は、気候適応史プロジェクトのリーダーとして、樹木年輪の酸素同位体比などを使った古気候の復元と、そのデータを歴史学や考古学の研究者とシェアすることによる、気候変動と歴史の関係の解明に関する研究に取り組んでいます。しかしその前は、主に海底堆積物を使って海洋環境の変化を復元する研究や、それに関連した海水や海水中に含まれる粒子の化学組成の分析を元に、海と生物と人々の暮らしの関係を考える研究を行ってきました。

顔写真
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