地球研をのぞいてみよう

地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します

やってきました
「ブータン王国 西部」
だよ。

案内してくれるのは、
小林舞
プロジェクト研究員

だよ!

ガイド
  • 首都ティンプーの市場 ▲ 首都ティンプーの市場
  • 地球犬

    うううっー!

  • ナス子

    地球犬くん、ブータンにきて早々、その顔はどうしたの?!

  • ガイド

    もしかして、唐辛子(とうがらし)たべちゃった?

  • 地球犬

    あ、お姉さん。ば、バレましたか、、、。

  • ナス子

    唐辛子はブータンでも売ってるんだね。

  • ガイド

    この唐辛子やキャベツはインドから輸入(ゆにゅう)しているんだけどね。みんな野菜大好きなの。

  • ナス子

    おっ、こんな物を発見!

  • 京都からの種 ▲ 京都からの(たね)
  • 地球犬

    これはもしや京都のタキイ種苗(しゅびょう)じゃないの?!

  • ガイド

    つい最近までブータンではいろんな野菜を食べる習慣(しゅうかん)がなかったんだけど、近年野菜の栽培(さいばい)(さか)んになって日本からの種が人気なんだよ。

  • ナス子

    でもちょっとお高めだね・・・

  • ガイド

    うん。普通(ふつう)の種の10倍くらいの値段するよ。でもとてもよく育つから、大人気。

  • ブータン南部チラン県から来た人々のマーケット1 ▲ ブータン南部チラン県から来た人々のマーケット1
  • ガイド

    ブータン南部から来た人々がマーケットを出していて、バナナ、キャッサバ、コリアンダー、サトウキビ、そしてライム、オレンジ、ツリートマトやタマリロと呼ばれる果物が並んでいるね。これは地域の人たちが育てた食べ物ばかりだね。

  • ブータン南部チラン県から来た人々のマーケット2 ▲ ブータン南部チラン県から来た人々のマーケット2
  • ガイド

    ちなみに、こっちのお姉さんが葉っぱにもってくれているのは「キネマ」と呼ばれる納豆(なっとう)だよ。とっても美味(おい)しいんだよ。

  • 地球犬

    お姉さんはずいぶんブータンの食の事情(じじょう)(くわ)しいね。

  • ガイド

    実はわたし、ブータン政府が推進(すいしん)している有機農業政策(ゆうきのうぎょうせいさく)に対して農民がどのように対応をしているかを研究しているんだよ。

  • 地球犬

    へー面白そう!

  • ナス子

    研究ってどんなことするの?

  • ガイド

    ブータン王立大学のCollege of Natural Resourcesと共同で、西部の農村にアンケートや聞き取り調査をしに行ったりしているの。

  • 地球犬

    それよりお姉さん、さっきから気になっていたんだけど、その衣装(いしょう)とてもきれいでお似合いです♡

  • ガイド

    ありがとう。これが、ブータンの伝統(でんとう)衣装とされていて、女性の着るスカートは「キラ」、この上に着るのは長襦袢(ながじゅばん)のような「ウォンジュ」と、その上に着るジャケットのようなのは「テゴ」って言うんだよ。

  • ナス子

    男性陣もかっこいいです♡お友達ですか?

  • 海岸に点在する矢穴石 ▲ パロの農村にてアンケート調査を手伝ってくれた学生たち
    (中央が本調査地の解説者)
  • ガイド

    うん。パロの農村でアンケート調査を手伝ってくれた学生さんたちだよ。男性が着ている膝上(ひざうえ)の着物の様な服は「ゴ」と言うんだよ。

  • 地球犬

    いつもこれを着ているの?

  • ガイド

    これが正装(せいそう)で、農村を訪問する時は正装をして行くことが礼儀(れいぎ)とされているの。

  • ガイド

    学生や職員も毎日キラやゴを着て学校や職場に行っていて、私は森の中をこのドレスを着て歩き回っていているんだよ。

  • ナス子

    きれいな生地(きじ)だね。

  • 加藤清正のものと考えられる「違(ちが)い山形(やまがた)」文と「生駒車(いこまぐるま)」文の入った石 ▲ 調査の村で織物(おりもの)をしていた女の子
  • ガイド

    女性はこんなふうに、小さいころからみんな織物を習っているの。

  • ガイド

    今も手織りでユニークな美しい生地が多いけれど、インドの工場で作られ輸入(ゆにゅう)された生地もたくさん売られているよ。

  • 地球犬

    ブータンはインドからの輸入が多いんだね。

  • ガイド

    ところでお二人さん、今から私の調査地の「ハ」という地域に行くけれど、一緒にいく?

  • 地球犬 ナス子

    行きます!

  • ガイド

    ハに行くには標高(ひょうこう)4000m近くの(みね)()えていかないといけないよ!

  • 地球犬 ナス子

    ヒエーッ!!

  • ナス子

    山ガール仕様(しよう)で来てよかったけど、キツイ山道だなぁ。

  • テクテク・・・
  • ガイド

    チェレ・ラという(とうげ)まで来たよ。

  • 標高3988mの峠 ▲ 標高3988mの峠
  • ナス子

    わ~絶景(ぜっけい)だね!!

  • ガイド

    標高は3988mだよ。

  • 地球犬

    富士山より高い!

  • ナス子

    ん?あのたくさんあるヒラヒラしているものは?

  • ガイド

    あれは祈祷旗(タルチョー)で、仏法(ぶっぽう)が書かれているの。

  • ナス子

    そういえばお坊さんや尼(あま)さんによく会うね。

  • ガイド

    10人に1人はお坊さんだとも言われているよ。

  • 地球犬

    2年前にブータンに来た時もたくさんのお坊さんに会ったな。

  • 地球犬

    回想(かいそう)なう・・・  ZZZ

  • ナス子

    ちょっと地球犬くん!寝ちゃダメだよ!

  • 地球犬

    起きてます!

  • ガイド

    さぁ、「ハ」に向かってまた出発だよ!

  • 地球犬

    ハー。

  • ナス子

    ハッ?!

  • 地球犬

    ブータンの移動っていつも過酷(かこく)なんだよな、、、

  • ガイド

    国は九州ほどの大きさなんだけど、西の(はし)から東の端まで行くのにバスで丸々三日かかるんだよ。

  • ナス子

    移動手段があまりないの?

  • ガイド

    道路は充実(じゅうじつ)してきているのだけれど、山が(けわ)しいからがけ(くず)れが多く、トンネルがほとんどないからどこに行くのも大変。だから農産物を売ろうと思っても、市場まで行くのに数日かかる村も多いんだよ。

  • 険しい山道の風景 ▲ 険しい山道の風景
  • 地球犬

    電車は?

  • ガイド

    電車はなくて、移動はトラックやバス、タクシーを使っているよ。

  • 地球犬

    大変だね。

  • ナス子

    あ、村が見えてきたよ!

  • 景観を織成す唐辛子 景観(けいかん)織成(おりな)す唐辛子
  • ガイド

    「ハ」の村がみえてきたね

  • ナス子

    あれ?ところどころ地面が赤いのはどうして?

  • ガイド

    唐辛子を天日干しにしているのよ。

  • 地球犬

    こ、これはヤバイ。ゴーグルをかけておこっと。

  • 唐辛子
  • ガイド

    ブータンの人はいろんな種類の唐辛子をたーくさん食べます。なので料理はとても辛いです。

  • お昼ご飯 ▲ お昼ご飯
  • 地球犬

    市場での記憶(きおく)が!

  • ナス子

    では私がいただきまーす!

  • ガイド

    ナス子ちゃん、ブータンではみんなで床に(すわ)って手でご飯を食べるのよ。

  • 食事風景 ▲ 食事風景
  • ナス子

    はーい。

  • とてもやんちゃな子供たち ▲ とてもやんちゃな子供たち
  • ゲスト

    ねぇねぇ僕たちと一緒に遊ぼうよ!

  • 地球犬

    あっ子供たちが呼んでる!あそぼー!

  • ナス子

    うん!お姉さん、ありがとう!またね!

  • ガイド

    また来てね!

ブータン王国 西部

地理:
北は中華人民共和国のチベット自治区、東はインドのアルナチャール・プラディッシュ州、西はインドのシッキム州、南はインドのベンガル州とアッサム州に接している。国土は九州くらいの大きさで、標高は南部の100mから北部は最高7561mまでの高低差がある。
気候:
標高3000m以上の北部は高山・ツンドラ気候、標高1200mから3000mの中部はモンスーン気候、標高1200m以下の南部は亜熱帯気候。
経済:
主要産業は農林業だが、最大の輸出商品は水力発電による電力。観光業は文化と自然保護を優先し、人数制限をしている。
民族:
ドゥクパ(チベット系)、ネパール系
言語:
ゾンカ語(国語)だが、人によっては英語、ネパール語、東部の共通言語のシャショップ語などを使い分けている。最近はテレビの影響で若者はヒンズー語もしゃべるので、合計24もの言語があると言われている。
宗教:
チベット仏教(南部はヒンドゥー教の人も多い)
食文化:
赤米を主食として食べることが多い。その他地方によっては蕎麦やトウモロコシなどもたくさん食べる。流通の便が良くなり野菜の消費が増えたが、一番多く食べるのが唐辛子。唐辛子をチーズと炒めるエマダチという料理が一番の人気。その他、ヤク、牛肉、豚肉、魚などは干したものを食べる。チベットからの影響で朝ごはんはバター茶(スジャ)を好み、朝の10時と午後の3時頃にはインドからの影響でミルク・ティー(ナジャ)を飲む習慣がある。日本のように山椒もスパイスとしてよく使われる。
建築:
調査している地域に住む多くの農家は土壁木造の二階か三階建ての大きな家に住んでいる。一階は家畜の寝床だった(不清潔だとされ、今は別に家畜小屋があり、一階は倉庫のように使われている)、二階に台所、寝る部屋、聖壇を置く部屋などがある。屋根裏部屋は食料を乾燥し、貯蔵スペースとして使われる。窓は小さいが、とても綺麗に飾られていて、外壁には縁起の良い模様がたくさん描かれてあることが多い。

今回のガイド

小林(こばやし)(まい)

総合地球環境学研究所 プロジェクト研究員

環境学と景観生態学を専攻し、環境社会学、農村社会学から多くを学んできました。これまで日本で無農薬・無化学肥料の農業を実践している新規参入者やブータンでの有機農業の取り組みについての研究をしてきました。2016年4月より「持続可能な食の消費と生産と実現するライフワールドの構築:食農体系の転換に向けて」、通称FEASTプロジェクトのプロジェクト研究員として食の消費文化がどのように変わっていっているのかなどにも関心を広げ、ブータンでの調査を続けています。

小林舞
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