地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します
次の冒険は
「インドネシア スマトラ島」
に行くよ。
案内してくれるのは、
梶田 諒介 研究員
だよ!

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▲ スマトラ島最北端のアチェ州沿岸
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こちら、船長。ただ今無事にスマトラ島アチェに
接岸 いたしました!どうぞ。 -
こちらなす。無事、陸におりました!船長、どうぞ。
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船長ごっこ?
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きゃ、みてた?(照)
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やだぁ
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お2人を待っていたからね。
今日の案内役、梶田です。 -
これは失礼しました!どうもこんにちは。
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こんにちは。
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お二人はスマトラ島に来たのは初めてじゃないよね?
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はい、前にも来たことがあります。
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ここは島と言っても日本の1.5倍ほどの面積があってとても広いからまだ行ったことのない所へ案内するよ。
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え?そんなに広いの?
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そう。地理としては、東岸はマラッカ
海峡 に面していて、
メダン、プカンバル、パレンバンなどスマトラでも大きな都市があるんだよ。 -
船もたくさんあるね。
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そうだね。海峡を
挟 んだ先のマレー半島とは船による行き来もたくさんあるんだ。 -
▲ インド洋に面した観光地(スマトラ島西スマトラ州西海岸パダン市)
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潮風 が気持ちいい~♪ -
ここパダンは、赤道直下の西海岸の町で、良い波があるから
世界中のサーファーに人気な地域なんだよ。 -
のんびりしていて、いいところだな~
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今のうちにいい空気をたくさんすっておいてね。
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え?どういうこと?
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では、少し移動しましょう。
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▲ ヘイズ(スマトラ島リアウ州プカンバル市)
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ん?なんだか目がかすむな・・・
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老眼 ですか?! -
失敬 な。ぼくはまだピチピチアゲアゲの若者だ! -
あ!このけむり、思い出した!
ヘイズじゃない? -
そう。よく覚えていたね。
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ヘイズってなんだっけ?
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ナス子ちゃん忘れたの?
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森林の火災によって発生する
煙霧 だよ。
(詳しくは2019年度の冒険をごらんください~) -
まだ続いているの?!
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そうなんだ。インドネシアの森林火災は2016‒2018年は
比較的 落ち着いていたんだけど、2019 年乾季 は2015 年の再来 と言われるほどに大きな被害 になってしまったんだ。 -
▲ 空から見た地中火災のようす(スマトラ島リアウ州東岸部タンジュンルバン村)
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湯けむり温泉事件です!
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温泉じゃなく
泥炭地 ですよ。 -
泥炭地?
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泥炭地とは見てのとおり泥状の湿地で、地面の中は木や草など植物が分解されないまま、数百年ものあいだ
堆積 している地のことです。 -
ご
名答 。 -
てへ。
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スマトラ島の東部のリアウ州、ジャンビ州、南スマトラ州では、2019 年の合計被災面積が40 万ヘクタール以上にもなったんだ。
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▲ ココヤシ園の野焼きの延焼(スマトラ島東部)
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これじゃ外でもあそべないんじゃ?
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そう。お
隣 の国、マレーシアやシンガポールでもヘイズによって周りの景色もみえなくなってしまったり、健康にも影響がでてしまったりしたので、学校がお休みになってしまったところもあるよ。 -
え!他の国にまで
煙 は届いているんだ! -
そう、インドネシアのヘイズ対策がちゃんとできてないと
批判 を受けているんだ・・・。 -
なのになぜ続いているの?
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インドネシア政府はもっと経済を発展させるために、外国企業からより多くの
投資 をしてもらうことを目指しているから。 -
環境破壊 や健康被害 より、経済優先 ですか?! -
一概には言えないけど・・・。環境林業省などは企業の
違法行為 なんかは厳 しく見張ってはいるんだけどね。 -
違法行為って?
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たとえば・・・・アブラヤシ農園の土地を整備するために無断で森林を焼き払ったりしていること。
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ふーん。
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泥炭プロでも、リアウ州にてヘイズが地域住民に与える影響を調べるために大気汚染物質の観測をしているよ。
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たとえばどんな?
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二酸化炭素とかPM2.5とか目に見えないけど体によくないものがどれくらいあるか測っているよ。
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目に見えないなら、しらないうちに吸い込んでるってことだね。こわたん!
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そうだね。
乾季 によくおこる森林火災への対策として、雨量を把握 することも重要。 -
どうやって?
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雨量観測レーダーを設置しました!
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▲ 雨量観測レーダー(スマトラ島リアウ州東岸部ブンカリス)
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わー!まぶしいです!
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これは2020年3月にブンカリスのビル屋上につけたもの。
リアウ大学・地方の政府など現地の人々と協力して設置しているんだ。 -
これで雨がどれくらい降ったか分かるんですね!
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あの、そろそろ船の出発じかんです。
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そっか、またじゃあ地球研で会おうね!
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はい、またね!
テクテク。
ジャーン!
インドネシア スマトラ島
- 地理:
- 東岸はマラッカ海峡、西岸はインド洋に面する。バリサン山脈が北西-南東方向に連なる。
- 気候:
- 熱帯モンスーン気候。雨季と乾季がみられる。
- 経済:
- 稲作やコーヒー栽培などの農業が一般的であるが、東岸部(リアウ州)のアブラヤシと原油は一大産業。
- 民族:
- ミナンカバウ人、バタク人、マレー人、アチェ人、ジャワ人、華僑などなど多様。
- 言語:
- 公用語はインドネシア語でありほぼ全ての人がこれを話すが、地域言語は多様。
- 宗教:
- 大多数がイスラム教徒であるが、キリスト教徒や仏教徒も存在する。アチェは厳格なイスラム教で有名。
- 食文化:
- 地域ごとに様々な料理があるが、パダン料理はその辛さと小皿提供のスタイルで有名。
- 建築:
- 伝統的には木造建築だが、レンガ造りや鉄筋コンクリート造も多い。近年は耐震性も求められる。
今回のガイド
梶田 諒介
総合地球環境学研究所 研究員
熱帯泥炭社会プロジェクト、研究員。2017年3月に京都大学で博士課程修了後、同東南アジア地域研究研究所を経て、2017年5月より総合地球環境学研究所で勤務。専門はインドネシア地域研究。これまでインドネシアの歴史的な自然災害記録を対象とした研究を行ってきたが、泥炭プロジェクトではスマトラ島の19-20世紀の気象記録の復元を進めて、泥炭地域における長期的な雨の歴史を研究している。
