地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します
お次の冒険は
「インドネシア
スマトラ島とカリマンタン島の泥炭地」
に行くよ。
案内してくれるのは、
甲山 治 准教授
だよ!

-
▲ 住民による
野焼 き(スマトラ島東部タンジュンルバン村 2013年10月) -
火事だーー!!
-
肉球 がぁぁーー! -
ブファ!!
煙 もすごいんだけど! -
いま、野焼きの
最中 みたい。 -
わわわ。声は聞こえるのに
姿 が見えない!どちら様ですか? -
今日きみたちを案内する地球研の甲山といいます。
-
キョトン
-
よろしく!
-
(ワイルド系。
嫌 いじゃない♬) -
よろしくお願いします!
-
驚 いたでしょ。このあたりの泥炭地 は、プランテーション
開発などが急速 に進められた結果、土地が乾燥 してしまって、大規模 な火災 がよく起こるんだ。 -
泥炭地って?
-
泥炭地とは、水を
含 む湿地環境 で草や木などが未分解 のまま数百年にわたって堆積 したもの。 -
数百年・・・。どんだけー!
-
このけむり、ハンパないよー!ケホケホ。
-
▲ 泥炭地火災によるヘイズが発生した様子(タンジュンルバン村 2014年2月)
-
この
煙 は「ヘイズ」と言って、泥炭地での火災によって発生 する煙霧 。こんな所に来てもらってごめんね。 -
この煙、体によくないよね?
-
そう、
喘息 などの健康被害 が出ているんだ。 -
えー!俺様の
美声 が・・・! -
それに、日が
遮 られることで農業に影響 が出たり、視界 が悪くなるから空港 が閉鎖 されたりもしてるんだ。 -
ギクッ!帰れない・・・。
-
少しここを
離 れて、いまから小学校へ調査に行くけど一緒 に行く? -
はい、いきます!
-
▲ 現地小学生を
対象 としたピークフローメーター測定 の説明(2016年5月) -
みんな何しているの?
-
ピークフロー
値 を測る方法を説明しているよ。 -
な、なに?ピークフローって?
-
息をいっぱい吸い込んでから吹く、息の速さを測るの。
これで気管支 の状況 がわかるんだ。 -
プーーー!(←ピークフロー計測
実践 中) -
ナス子ちゃん、大丈夫・・・?
-
死ぬかとおもったよ・・・。
-
うん、正常。
-
あーよかった。
-
この値を日々
記録 することで、ヘイズの症状 と肺機能 の経時的変化 との関連 を解析 しているんだ。 -
それにしてもなんでこんな事に?
-
むかしは
泥炭湿地林 が広がっていて、住むには向かない
ところだったから、人々は河川周辺 に形成 される沖積土 やその周辺に住んでいて、泥炭地では小規模 な焼畑 やゴム栽培 を行っていたんだ。 -
▲ 泥炭湿地に魚の
罠 を仕掛ける漁師 (リアウ州ザムルッド) -
人々は農業よりもむしろ漁業や商業に力を
注 いでいたんだ。 -
何かが変わったの?
-
1970年代以降のオイルパームやアカシアなどを
栽培 する
プランテーションが拡大 した結果、この泥炭地も大規模 な
開発の対象となったんだ。 -
もしかして、日本へ
加工品輸出 もしている? -
そう、よく知っているね。
-
-
この開発の結果、
強酸性化 による土壌劣化 、泥炭地火災
などがおこるようになったんだ。
開発、排水 された泥炭地からは膨大 な炭素 が排出 される
ので、地球温暖化 の原因 にもなっているんだよ。 -
こまったことだねぇ。
-
ねぇ、あの人たちは何をしているの?
-
▲ 2015年に住民との
協働 で水路に建設 した堰 -
地元の人たちと協働で、火災のあと
放棄 されていた泥炭湿地で、再湿地化 と植林 の試験区画 を設 けて、堰の建設やその後の水位 をはかったり、在来種 の植物をうえたり、その後の
成長測定などの活動をしているんだ。 -
みなさんがんばってね~!
インドネシア
スマトラ島とカリマンタン島の泥炭地
- 地理:
- 東南アジア島しょ部、スマトラ島東岸はマラッカ海峡をはさんでマレー半島を望む。スマトラ島の西岸はインド洋に面する
- 気候:
- 熱帯モンスーン気候
- 経済:
- 稲作やコーヒー栽培などの農業が一般的であるが、東岸部(リアウ州)の
アブラヤシと原油は一大産業 - 民族:
- ミナンカバウ人、バタク人、マレー人、アチェ人、ジャワ人、華僑などなど多様
- 言語:
- 公用語はインドネシア語でありほぼ全ての人がこれを話すが、
地域言語は多様(52の言語とされる) - 宗教:
- 大多数がイスラム教徒であるが、キリスト教徒や仏教徒も存在する
- 食文化:
- 地域ごとに様々な料理があるが、西スマトラのパダン料理は、
その辛さと小皿提供のスタイルで有名 - 建築:
- 伝統的には木造建築で、屋根先のとがったバタクやミナンカバウの家は有名。
近年は近代的なビルも
今回のガイド
甲山 治
総合地球環境学研究所 准教授
熱帯泥炭社会プロジェクト、プロジェクトリーダー。京都大学で博士課程修了後、山梨大学工学部,京都大学防災研究所に勤務。2009年、京都大学東南アジア研究所(当時)に赴任し、現在総合地球環境学研究所、京都大学東南アジア地域研究研究所 准教授。専門は、水文学、地域研究。特に環境劣化地域における環境モニタリングと防災に関する研究を行ってきたが、2009年以降、リアウ州の泥炭地域における防災と環境修復の研究を進めている。
