地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します
次の冒険は
「滋賀県 野洲川上流域 、甲賀 の森林」
に行くよ。
案内してくれるのは、
石橋弘之 研究員
だよ!

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▲ 甲賀ヒノキの林
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おお、ひのきの香りがたまらんでー。
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やっぱ日本人にとってはこれが落ち着くよねー。
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日本「人」じゃないけど。
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まあまあ細かい事は気になさらんと。
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ここはどうゆう森なんだろう?
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お、いたいた。
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ぎゃ!忍び足できたな、おぬし!
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甲賀流お
出迎 え術、忍者参上 でござる。 -
ぐぐぐー!
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ぼくは石橋っていいます。
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この森はね昔は、はげ山だっだんだよ。でも地元の人たちが
スギやヒノキを植林 して森林を再生してきたんだ。 -
ハゲからの
起死回生 とは、みんなに希望 を与 える話じゃ。 -
なんの話?
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いや、別にひとりごと。僕も数年後の
参考 にしよう。。。 -
甲賀市を流れる
杣川 の支流 、大原川の水源 にある山である那須ヶ原山 は、地域 の共有財産 になっていて地元の人たちが自分たちで山の手入れをしてきたんだ。 -
どういうこと?
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植林をした木を
販売 したお金で、農業用のダムや学校の設備 を整備 してきたんだよ。 -
地域の公共設備を自分たちのお金でまかなっていたって
わけか。 -
でも海外産の
木材 が輸入 されるようになって、安い木材が
入ってくると、次第 に売れなくなってしまったんだ。 -
それでも、ここ甲賀では森林
保全 の活動を色々やっているよ。
小学校では明治に始まった植樹 の活動が120年以上も続いているんだ。 -
▲ 小学校の植樹。明治に始まり120年以上続く取り組み
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120年?!そりゃすごいや!
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木は売れなくなったけど、先人からの
伝統 や文化を将来 の世代 に受け継 ぐために、小学校の卒業に合わせて
植樹が続けられているんだ。 -
ハゲ頭、、、いやハゲ山から木を植えて、今の森が出来上がってきた事を伝える事は大切なんだね。
そういえば、私は最近 山や森にあまり行かなくなったな。 -
ナス頭ちゃん、最近は人が山や森に行かなくなった事で
いろいろな課題 がでてきたんだよ。 -
ナス頭?
山に人が行かなくなったことで何が起きているの。。。? -
昔は
薪 や柴 を取って燃料 にしたり、子どもが遊び場に
していたんだ。石油やガスが普及 するようになったのも、
山に人が入らなくなってしまった理由のひとつ。 -
人がこなくなると何か問題があるの?
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人がいなくなると、シカやイノシシが山に入ってきたり、
竹林 が増えてしまって、森が荒 れてしまうんだ。 -
けシカらん。
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さぶっ
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最近では
木工制作 やシイタケ植菌 など木にふれる体験 、
薪割りや竹林の整備を一般の人が体験できるものもあって、
まちづくり団体とも連携 しているんだ。 -
山で
間伐 した木を放っておくのはもったいないので、間伐材を近くのチップ工場に売って、その支払いを地元の商店で
使える地域通貨 で支払う取り組みもあるよ。一言でいえば
「山をきれいに、地域を元気に!!」てこと。 -
(どうだ!きまったろっ。)
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▲
里山 の野草 を学ぶイベント。海外の方も参加 -
お、たくさん人が集まっているよ。
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君たちも里山体験に参加してくれるの?
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ねぇねぇ、里山体験って?
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里山とは、人が住んでいる里の近くにあって、生活に
結びついた山や森林のこと。ここでは里山でどんな活動が
行われているかを体験できるよ。里山から離 れていった
人たちに、里山の魅力 を伝えているんだ。 -
僕も行きたい!
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はい、じゃあ行きましょう。
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はい、
隊長 ! -
▲ 里山の
古道 でウォーキング -
隊長!何やら赤い
物体 を発見しました! -
はいはい、なんでしょう?
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▲ 冬イチゴ。
「里山を食べる」イベントでは冬イチゴの果実を摘 み取りジャムをつくる -
お、よく見つけたね!冬イチゴだよ!
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わー!食べてみたい!
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▲ 冬イチゴのジャム
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こんな風にジャムにして食べるとおいしいよ!
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ほんとだ!おいしいー♡
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ん~石橋隊長、これはいいです!!
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(ほうほう、僕の
解説 より食べものに食いつく
本能 であったな。) -
▲ 里山には昔の道しるべもある
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次はこっちだよ。
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石橋さんはよくここへ来るの?
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くるよ。地元の人たちから話を聞いたり、森林での活動を体験しながら、地域の人たちが、どんな思いで活動に取り組んで
いるのか、地域の理解を深める研究に取り組んでいるんだ。
地域研究っていうんだよ。 -
みんな、山や森を大切にしているんだね。
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きみたち、
難 しいはなしを聞いたから疲 れてきたんじゃない? -
はい、おなかがすきました。
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(ふふ。やはり。)
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特製 ランチを準備したよ。 -
ジャーン!
▲ カレーとイノシシのジビエ料理
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おいしそう!
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カレーとイノシシのジビエ料理。
竹筒 を割って
スプーンとお皿を自分でつくりました! -
もぐもぐ♫
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すごくおいしい!
石橋さんすごいね!! -
それは良かった。
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(
作戦成功 だ!) -
カレー、オツカレー!
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君だれ?
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▲ 間伐材にとまりにきた玉虫
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オレ?地域住民。
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・・・。おせわになっております。
ぬ~っ
キりッ!
滋賀県 野洲川上流域、甲賀の森林
- 地理:
- 滋賀県甲賀市。針葉樹を植林した人工林、丘陵地、里山、古琵琶湖層
- 気候:
- 四季。比較的温暖な気候。琵琶湖から遠く湖水の影響は少ない
- 経済:
- 林業、農業、薬業
- 民族:
- 日本人 外国人移住者・滞在者
- 言語:
- 日本語
- 宗教:
- 仏教、修験道、神道、山のカミ
- 食文化:
- 山菜料理、お米
- 建築:
- 中世や近世の寺社建築、戦国時代の小城郭跡など
今回のガイド
石橋 弘之
総合地球環境学研究所 研究員
人と森との関わりをテーマとする地域研究・歴史研究が専門です。海外ではカンボジアの西方にあり、タイと国境を接するカルダモン山脈の歴史に関する研究に取り組んできました。栄養循環プロジェクトでは琵琶湖・野洲川上流域の森林保全に関わる地域活動の現場でフィールドワークに取り組んでいます。地元の人や外の人たちから地域の歴史と現在について話を聞いています。森林に関わる主観的幸福度のアンケートの分析や、地域の「しあわせ」とは何かを考える研究に取り組んでいます。
