地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します
次の冒険は
「インドネシア リアウ州」
に行くよ。
案内してくれるのは、
鈴木 遥プロジェクト研究員
だよ!

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▲ 集落内にみられる
排水路 -
ほほほ~い!
肉球 にはたまらん歩きごこちだ♪ -
ほんとだね~!
日本はアスファルトが多いけど、やっぱり土がいいね~♪ -
ここは「
熱帯泥炭地 」といって、樹木 や植物 などが何千年も堆積 することによってできた土壌 なのよ。 -
泥 パック~♪ -
ナス子ちゃん、
美容 に効果 はないと思いますよ・・・。 -
え?お姉さんも泥パックしているからこんなに美人なんでしょ?
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え、私は泥パックしてないけど・・・。
泥炭地は、草や木などの有機物 が腐 らずにたまってできた土地で、膨大 な炭素 がたくわえられているの。 -
▲ 火災に
遭 った泥炭地 -
あれれ?このあたりは土が
乾 いているみたい。 -
ここはね、火災にあってしまった土地なの。
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ここで火災?!
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そう。
急速 な開発によって土地が乾燥 して、大規模 な火災が起こるようになってきているのよ。 -
肉球にやさしい泥炭地が失われていってるのか・・・
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泥炭地は炭素の
貯蔵庫 のようなものなので、火災がおこると多くの二酸化炭素 が排出 されてしまうの。地球全体の温暖化にも大きな影響 を及ぼしていて、ワンちゃんだけじゃなく、人間の生活にもよくないの。 -
何とかしないといけないんじゃ?
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そうなの。
解決 のために、まずは現地で暮らす人々の生活と、近年の大規模な火災の被害状況 を知るために、聞き取り調査を始めたの。 -
▲ 村の人々と話をする様子
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どんなことを聞いてるの?
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どのような仕事をしているのか、家族は何人いるのか、どのような
教育 を受けてきたのか、民族 は何か、宗教 は何か、畑の広さや収入などについて聞いているよ。 -
みんな教えてくれるの?
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ええ。リアウ州には、ムラユやミナンカバウ、
華人 、ジャワ、オラン・ラウトなどのさまざまな民族出自をもつ人々が暮 らしているんだって。 -
いろんな人がいて、たのしそう。
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そうね。ムラユの人々の話すムラユ語は、インドネシアの国語であるインドネシア語のもとになった言葉だそうよ。多くの人はイスラム
教徒 だけど、キリスト教徒、仏教徒 もいるのよ。 -
泥炭地でのくらしについても聞いているの?
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ええ。森林火災でどれくらい畑が焼けたか、火災前と後で生活がどのように変化したのかなどについても聞いているの。
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私もみんなの所に行ってみたいな!
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いいわよ。
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じゃあ、まずこの船に乗ってと。
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▲ 住民の足となっている船
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自転車も船に乗ってる!
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船は住民の大事な足になっているの。リアウ州は、インドネシアのスマトラ島の中央部の東側に位置していて、シンガポールやマレーシアとも近いでしょ。これらの国々との
交易 は、川や海を使って移動したり、物資 を運んだりしてきたのよ。 -
▲ 泥炭地で生産されたサゴヤシを運ぶ人
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あちらのお兄さんは、何を運んで?
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泥炭地で生産されたサゴヤシを運んでいるのよ。
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サゴヤシってなあに?
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▲ サゴヤシ
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樹幹 からサゴという食用デンプンが採 れる植物のことよ。
泥炭火災の予防 と、泥炭地に生きる人々の生業 の両立を可能とする植物として注目されているの。 -
食べ物になるんだね!
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サゴヤシは、うどんの打ち粉に使われていたり、グルテンフリーなのでグルテンアレルギーの子どもたちのアレルギー食品(
麺 など)につかわれたりしているのよ。 -
グルテンって何だっけ?
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グルテンとは、小麦や大麦あるいはライ麦、オート麦などの
麦類 に含まれているタンパク質の一種 。グルテンフリーということは、このグルテンが含 まれていないということよ。 -
へぇ。知らなかったなぁ。
他にはどんなものを食べているのかなぁ。 -
食べ物はごはんが主食。魚やとり肉、野菜の
炒 め物や煮物 などを食べます。 -
それからこれも食べるよ。
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▲ 森で採ったイノシシを運ぶ女の子
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ひゃーーー!!
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イスラム教徒は豚肉を食べないけれど、仏教徒の華人や宗教をもたない少数民族の人は、森で採ってきたイノシシを焼いたり煮たりして食べることもあるのよ。
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ワイルド系、
嫌 いじゃないわ。 -
おや?木の向こうから声が聞こえるぞっ。
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▲ 夕方涼しくなるとバレーボールがはじまる
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バレーボールたのしそう!
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こっちも楽しいよ!
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▲ 泥炭地の水で水浴びをする
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水浴びもたのしそう!暑いから泳ごうよ!
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ぼくはセットがみだれるから
遠慮 しとくよ。 -
じゃあ、私は調査にいくから、お二人ともたのしんでね。
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お姉さん、ありがとうございました。
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▲ 船からみた朝日
ゆらゆら
インドネシア リアウ州
- 地理:
- インドネシアは大小1万3千以上もの島々からなる国で、リアウ州はスマトラ島の中部、東側に位置している。
- 気候:
- 熱帯性気候。雨季と乾季があるが、近年は
明瞭 でないことも多い。 - 経済:
- リアウ州は石油や天然ガスなどの資源が産出される。アブラヤシの生産も盛ん。
- 民族:
- ムラユ、ジャワ、ミナンカバウ、華人など。少数民族も暮らしている。
- 言語:
- インドネシアの国語はインドネシア語。リアウ州ではインドネシア語のもととなったムラユ語が主に話されている。
- 宗教:
- イスラム教が90%近くを占める。プロテスタント、仏教、カトリックなどもみられる。
- 食文化:
- 米を主食とし、唐辛子を使った辛い料理が多い。
- 建築:
- 美しい模様と、屋根の前方でクロスする
千木 がユニークなムラユの建築が多くみられる。
今回のガイド
鈴木 遥
総合地球環境学研究所 プロジェクト研究員
インドネシアを対象として、人々の暮らしと自然資源との関係について研究をしてきました。現在は、インドネシアの泥炭地における水や森林の利用の歴史や、人々の生活の変化について研究しています。
