地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します
やってきました
「フィリピン・パナイ島」
だよ。
案内してくれるのは、
武藤望生
プロジェクト研究推進支援員
だよ!

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◀ イロイロ市中央市場入り口付近の通路の様子 ◀ 魚の干物を売るお店がずらりと並ぶ
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お魚いっぱい!今日は市場探検だ!
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わーい!いっぱいおいしそうなものが売っているね!
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ここは広いから迷わないでね。
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あ、お兄さん、日本から?
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僕は日本から仕事で来ているんだ。
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ここでどんなお仕事をしているの?
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ここパナイ島で獲れる海の魚の
図鑑 作りをしていて、パナイ島のまわりにはどんな魚が生息しているかを調べたりしているんだ。 -
図鑑!?おもしろそう。
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魚それぞれの種類の特徴を写真と文で紹介して、誰でも見分けをつけられるようなものを作りたいんだ。
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素敵ですお兄さん。で、市場にはお買い物?
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図鑑作成の
標本 として使う魚は、市場で買って集めていて、このイロイロ市(パナイ島の南の方)の中央市場が僕たちの一番のお気に入りなんだ。 -
へぇ。じゃあお兄さん、イロイロ市場をイロイロと案内してください!
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ナス子ちゃん、それダジャレなの・・・?
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もちろんいいよ!
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よろしくお願いします!
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◀ 生鮮食品売り場の様子
朝から多くの客でにぎわう -
道路に面したこの小さな入口から中に入ると、細い通路がずっと奥まで続いていて、通路沿いにはまず魚の干物を売る小さなお店がずらりと並んでいるんだ。
奥に進むにつれて日用雑貨のお店、その次はパン屋さんというように、いろんなお店が連なっているよ。 -
テンションあがるー♪
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さらに進んでいくと、肉や野菜、そして魚などの生鮮食品を売るお店が集まっているよ。
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あ、魚屋さんだ。のぞいてみよ!
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◀ 魚屋さんに並ぶパナイ島の魚たち
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魚だらけ!!ピチピチしてるね!
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所狭しと新鮮な魚が並べられているでしょ。1メートル以上の大きなものから人間の指先ぐらいのもの、カラフルなものから銀一色の地味なもの、平べったいものから細長いものまで、大きさも色も形も様々なんだ。
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こっちにもあるよ!
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イカやエビ、カニを魚と一緒に売っているお店もあるよ。
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▲ ノコギリザメの仲間
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このお魚、口がながーい!
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これはノコギリザメの仲間だよ。
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ノコギリ?!サメ?!こわいよー!
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安心してください、死んでます。
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◀ パナイ島の2大人気食用魚
アジの仲間(上)とバンガス(下) -
1番多いのはアジの仲間で、2番目は現地でバンガスと呼ぶ魚。どちらもフィリピンでは食用として大人気で、バンガスは
養殖 も盛んなんだ。 -
ここは毎日来てもあきないな。今度はネコのお友達も連れて きてあげよっっと♪
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地球犬くん、ネコのお友達ってだあれ?
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えっ?!
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ここはいつ来ても楽しいよ。売られている魚の種類は、その日の漁の具合を反映して毎日変わるので、僕たちは毎朝この市場に通って必要な魚を探して買っているんだよ。
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いつも違う魚があるんだね!
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僕たちが図鑑作りをしているのを知っていて、食用には適さず普段は売り物にならない魚を仕入れてくれる魚屋さんもいるんだよ。
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地元の人達の協力もあるんだね!
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そうなんだ。魚の値段はどこにも表示されてないので、お店の人に尋ねると、種類ごとに1kgあたりの値段を教えてくれるよ。アジの仲間が1kgあたり100~150フィリピンペソ(約270~400円)くらいかな。交渉次第で少し安くしてもらえることもあるよ。
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魚を買ったあとはどうするの?
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今からフィリピン大学の博物館に持って行くので一緒に行こう!
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はーい!
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▲ フィリピン大学の博物館
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まずは魚の種類を調べるよ。
顕微鏡 を使って細かい特徴 を調べなければ種類がわからないこともあるんだ。 -
◀ 顕微鏡を使って
魚の特徴を調べる様子 -
顕微鏡ってすごいよね!地球研のオープンハウスで見たことあるよ!
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ちょっとのぞいてみる?
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うん、どれどれ。
わあ、ピカピカ、ギザギザがいっぱい! -
こうやってウロコの枚数を数えているんだよ。
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◀ 図鑑にのせる魚の写真を撮影する様子
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ん?みんなあつまって何してるのかな?
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図鑑用にきれいな写真を
撮影 しているところだよ。専用の台に一眼レフカメラを取り付けて、照明にも気を配りながら撮影するんだよ。これらの作業が終われば一つ一つの魚に番号を付けて、防腐 処理をするんだ。 -
地道な作業だね。
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そうだね。こうして作成された
標本 は図鑑作りだけにとどまらず、博物館に永久に保存され、将来にわたって様々な研究の材料として提供されるんだよ。 -
図鑑ができるの楽しみ!
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図鑑はできるだけ多くの人に手に取ってもらえるように冊子と電子版を作ってるんだ。
両方とも無料なんだよ。 -
タダ?!
できあがったら教えてください!! -
うん。
また地球研の僕のプロジェクトにも遊びにきてね。 -
お兄さんありがとう!
フィリピン・パナイ島
- 地理:
- 太平洋、フィリピン海、スールー海、セレベス海、南シナ海に面した東南アジアの列島
- 気候:
- 熱帯雨林気候
- 経済:
- 農業等の一次産業が中心。海外の出稼ぎ労働者からの送金も重要な位置を占める
- 民族:
- タガログ族、ビサヤ族、ヒリガイノン族、ワライ族、イロカノ族、ビコラノ族など多民俗国家
- 言語:
- 国語はフィリピン語で、公用語には英語も含まれる。英語の普及度は高い
- 宗教:
- キリスト教が大部分を占める
- 食文化:
- 白米が主食だがパンも好まれる。副菜は魚や豚肉、鶏肉など
- 建築:
- 現代の建築はコンクリート製が多い。歴史的なものでは、キリスト教の荘厳な教会が有名
今回のガイド
武藤 望生
総合地球環境学研究所 プロジェクト研究支援員
博士(農学)。魚類の進化学、系統学、分類学が専門。プロジェクトでは、東南アジア沿岸域の生物多様性調査を担当。
