地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します
ところかわりまして次は
「インドネシア・南スラウェシ
ジェネベラン川流域」
からおとどけします。
案内してくれるのは、
RAMPISELA Dorotea Agnes
准教授
だよ!

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▲ ビリビリダム
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おっきいプールがあるよ!
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わーい、久々にぼくの得意な犬かきスタイルを
披露 しようか? -
ここはプールじゃないから泳げないのよ。
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えー、プールじゃないのか・・・
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じゃあこれなあに?
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ここはビリビリダムよ。
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えっ?!
電流 が流れてるの? -
ナス子ちゃん、そのビリビリじゃないよ。
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このダムは洪水の
氾濫 防止や、上水道用水、工業用水、灌漑 用水、発電など、さまざまな目的のために1999年に作られたのよ。 -
ダムってすごくたくさんの
機能 をはたしているんだね! -
ダムができたから農地では、お米が今までは年に1-2回だったのか3回つくれるようになるはずだったんだけど・・・
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うまくいかなかったの?
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実際にはなかなか水路に水が届かず、特に下流側の地域では
収穫量 は増えなかったの。 -
▲ 水路で泳ぐ子どもたち (水がたくさんあるとき)
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▲ 乾季で水路に水が来ない
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下流には届かないなんて不公平じゃないですか。
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そうなの。「水が汚い」ということも問題の一つと言われていたけど、研究者とNGOで共同調査した結果、水質はあまり悪くないことがわかったわ。
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◀ 水質調査の様子
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こういった問題を解決するために、関係者みんなで集まって会議をしたの。ステークホルダーズミーティングといって、農民やゲートキーパー、行政担当者、ダム管理者、そして研究者が集まったのよ。
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▲ ステークホルダーミーティングの様子
関係者総勢約100名が一堂に会した -
関係する人みんなで話しあったんだね。
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水が足りないという話や、ゴミの問題など色々なことを話したわ。
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▲ ステークホルダーミーティングで、水管理者や行政担当者、農民が問題を議論した
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会議が終わってからも、どうやって解決していくかを地域の人達で考えて、実際に行なったこともあるのよ。
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どんなことをしたの?
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たとえば、お水を配るスケジュールを関係者たちで決めて、そのことをみんなにしっかり伝えたの。ゲートキーパーは自分がいつゲートを操作するかということをお互い確認しあったわ。そして、ちゃんと水が水路の
末端 まで届くかどうかをみんなで確認したのよ。 -
みんながきちんと行動できるといいね。
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私たち研究者は、その様子を記録したり、時にお手伝いしながら、みんながどんな風に情報をやりとりしているかということを調べたの。
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◀ 田んぼの脇に干してあるレンガ
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こんなところに巨大な板チョコ発見!
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あのー、ナス子ちゃん。突然田んぼのよこにチョコがあるはずないでしょ・・・
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これはレンガを干しているところなの。南スラウェシは、今経済が急成長しているところで、どこでも建設ラッシュだからレンガはたくさん売れるのよ。
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レンガか・・・。でもなんでこんなところに?
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土を掘っちゃうと、田んぼはできなくなってしまうの。それでも、現金を得るために、農民がせっせとレンガを作る光景はいたるところで見られるの。
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なんだかいいにおいがしてきたよ。行ってみようよ。
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はっ!あれはチマタで流行っている女子会ではないのでしょうか・・・
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NGO「プランギ(虹という意味)」が使っている集会所よ。 ダムの水が一番足りなくなる農地がこの近くにあって、村の人たちがここで集まって話をすることもあるのよ。
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それにしてもおいしそう。
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良かったら一緒にどう?
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待ってましたその一言!
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私たちも調査の時には、ここでみんなでお昼ご飯を食べるのよ。
一緒におしゃべりしながら食べましょう。 -
わーい!
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あ、すみません。じゃあ僕もメンズですがおじゃまします。
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マカッサルでとれた魚、おいしいわよ。
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▲ 港町マカッサルが近いので、とれたての魚がとても美味しい
エビも有名 -
南スラウェシは、バナナもたくさんとれることで有名。おやつに「ピサンゴレン」という揚げたバナナを食べるの。みんな大好きよ!
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甘くておいしい♪
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おなかもいっぱいになったことだし、街に出てみない?
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いいよ。
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マカッサルの町はショッピングモールも立ち並んでいて楽しいわよ。でも町までは
渋滞 がひどいから気をつけてね。 -
はーい!お姉さん色々ありがとう。
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またね!
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▲ マカッサル市内は大型ショッピングモールが建ち並ぶ
交通量も多く常に渋滞 -
お姉さんが言っていたとおり、すごい都会だなー。
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あっちにもいっぱいお店がある!
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ナス子ちゃん待ってー!
インドネシア 南スラウェシ ジェネベラン川流域
- 地理:
- 東南アジア 北緯4度(赤道のちょっと上)
- 気候:
- 熱帯モンスーン気候、雨季(10月-3月頃)と乾季(4月-9月頃)に分かれる
- 経済:
- 州都マカッサルは、17世紀のゴワ=タロ王国時代に交易中継港として栄えた。現在はインドネシア7番目の人口を誇る都市
- 民族:
- マカッサル族、ブギス族、トラジャ族
- 言語:
- インドネシア語がメイン、その他マカッサル語、ブギス語、トラジャ語、マンダル語
- 宗教:
- インドネシア語がメイン、その他マカッサル語、ブギス語、トラジャ語、マンダル語
- 食文化:
- バナナ、チョト・マカッサル、トラジャ地方のコーヒー・カカオ、漁業(特にエビ)
今回のガイド
RAMPISELA Dorotea Agnes
総合地球環境学研究所 プロジェクト准教授
農学博士。専門は水文学、特に水循環における森林の役割など。インドネシアでは、ハサヌディン大学でジュネベラン流域におけるビリビリダムの水管理と住民移転問題の研究に取り組む。さらに、具体的な地域活動としてNGOを組織化し、農民参加灌漑用水管理研究に取り組む。
