地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します
お次は
「日本 大分県別府 温泉」
からおとどけします。
案内してくれるのは、
本田尚美
研究推進支援員
だよ!
- ▲ 別府市
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来たね~温泉!
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もくもくしてる~。
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湯けむりといえばサスペンス!
何かおこるかも! -
ナス子ちゃん、テレビの見すぎ!
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泉源 から湯けむりが立ちのぼる景観 は、平成13年にNHKが募集した「21世紀に残したい日本の風景百選」の2位に選ばれているのよ。ちなみに1位は富士山よ。 -
あ、お姉さんすみません・・・。
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別府は「一夜千両のお湯が沸く」と
謳 われた国内で最も規模 の大きい温泉地なの。お二人さん温泉は好き? -
大好きです!
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じゃあ私のお気に入りの温泉を紹介するわね。
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お願いします!
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▲
竹瓦 温泉 -
あったかいんだから~♪
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ナ、ナス子ちゃん!いつのまに入ってるの?!
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ここは市営の
竹瓦 温泉よ。創設 は1879(明治12)年と言われていて、今の建物は1938年に建てられたものよ。
砂風呂が気持ちいいよ! -
すごく
風情 のある建物だね! -
別府の代表的な公衆浴場なの。入浴料は100円。
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ワン!コイン。
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そ、そういうことね・・・。
- ◀ 熱の湯温泉
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こちらは
鉄輪 地区の熱の湯温泉。無料なのよ。 -
無料!?京都の公衆浴場の入浴料金は430円だよ。
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そうそう、大人料金で。
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別府にはこういった市営や区営の共同浴場がたくさんあるのよ。
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いい湯だなー。このお湯は一体どこから来ているの?
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水の
起源 は雨水なのよ。別府の温泉井 の数は約3,000口あるのよ。 - ◀ ▲ 泉源から上がる噴気
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え?雨水なの?
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雨水が土にしみこんで、その地下水が地中の熱で温められて地表に
湧 き出ているのよ。 -
なるほど!
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別府では市や給湯会社、個人などが泉源を所有していて、家庭や旅館、浴場、病院や老人ホームなどに給湯管で温泉を給湯しているの。ほかにも蒸気の熱を利用した発電や、暖房にも利用されているのよ。
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温泉に入るだけでなく、熱も有効利用されているんだね。
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ところでお姉さんはこの温泉街で何をしているの?
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私はここで地下水の研究をしているのよ。
温泉ばかりじゃふやけちゃうので、私の研究もご紹介します! -
これは何をしているのかな?
- ◀ 電気伝導度の計測
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これは住宅街にある地区の温泉(
天満 温泉)を調べているところ。電気の流れやすさ(電気伝導 度)を測ることで、水に溶けている物質の多さがわかるのよ。同じ場所で記録をとり続けると、水質や地下の温泉水の流れ(流動系)の変化がわかるようになるの。 -
地道な作業、お疲れ様です。
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地下にあって直接観察することが難しい温泉という資源の様子を知るためには大事な作業なの。
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お姉さん、かっこいいです!
- ◀ 水位計の準備
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こっちは井戸の水位を測る準備。水位が変化すると水圧が変わるから、圧力式の水位計を入れているところよ。
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いろいろな測定方法を使って別府の地熱や熱水の動きを調べているんだね。
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なんだか難しい話をきいたらお腹がすいてきちゃった。
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さっきからお腹なってるもんね・・・。
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じゃあちょっと息抜きに温泉地らしい料理を紹介するね。
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ここはモクモクだねー!
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これは
地獄釜 といって温泉の蒸気を使う釜なのよ。 -
じ、じごく?!!
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やっぱり何かが起こる予感!蒸し焼き事件とかさー・・・。
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あら、こわい。でもね、とっても楽しいことができるのよ!
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楽しいこと??
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自分で食材を持ち込んで地獄釜で料理することができるのよ。
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楽しそう!やってみたい。
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ここは観光客が利用できる食事施設「地獄蒸し工房」よ。お米やお芋、野菜、たまごやお肉・お魚などを蒸してみましょう!
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モグモグ。おいしい!!
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次に案内したいのはこちら「地獄めぐり」。
- ◀ 血の池地獄
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えー!また地獄!今度こそ何かが!?
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おいしいものを食べさせておいて、アメとムチですか?!
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熱泉のことを昔から「地獄」と呼んでいたの。昔は雨が長く続くと
溢 れだした熱湯で田畑が被害を受けたりして、「地獄」は「厄介 もの」扱 いされていたんだけど、明治時代になると観光客がたくさん集まるようになったの。 -
ま、まさかここに入れと?!
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熱湯なので落ちたらやけどじゃすまないからねー!
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逃げろ!
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▲ 龍巻地獄
◀ 鬼石坊主地獄 -
さすがお二人さん逃げ足は速いわね。
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で、ここは天国なんでしょうか。
それとも地獄でなんでしょうか・・・お姉さん。 -
地獄です。
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?!!
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ここは30分くらいに一度の
間隔 で熱湯が噴出 する間欠泉 よ。硫酸化鉄 を含んで赤く見える「血の池地獄」や、青く見える「海地獄」や、お坊さんの頭のような灰色の「鬼石坊主 地獄」など、いろいろな種類の熱泉が湧き出るのが別府の特徴 よ。 - ◀ 海地獄
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そんないろんな種類の地獄があるのね・・・。
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地獄に行きたくなければ、日頃の行いを正しくしないとねぇ、ナス子ちゃん。
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あ、はい。え?
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ちなみに昭和の始め頃に、日本で最初の女性バスガイドが登場したのも別府で、「地獄めぐり」はその当時からの別府の観光スポットなのよ。
- ◀ 別府湾の遠景
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ここの景色で少しいやされてね。
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温泉の町で仕事できるなんてうらやましいと 思ったけど、ハードな仕事だね。
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ぼくたちはそろそろこのへんで失礼します。
お姉さんはこれからどこかへ? -
これから別府湾沿岸での海底
湧水 の調査にでかけるわ。 -
次は海底ですか!?
- ▲ 海底湧水の調査
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別府沿岸を船で移動しながら、海水中のラドンの濃度(海底湧水に含まれている)や栄養塩の濃度を調べているの。海面がもやもやしているのが見える場所が、海底から水がわき出している場所なの。海底から温泉が湧いているかどうかを調べるのが今後の調査課題かな。
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なるほど。お姉さんがんばってね!
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またいつでも温泉に入りにきてね。
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ありがとうございました。またね!
大分県別府温泉
- 地理:
- 九州・大分県の東海岸の中央部。東には別府湾と瀬戸内海、西には鶴見岳や由布岳
- 気候:
- 晴れの日が多く、降水量が少ない。瀬戸内海式気候
- 経済:
- 国内有数の温泉観光地。船で訪れる外国人観光客も多い。近年は温泉の蒸気を利用した発電事業にも力を入れている
- 民族:
- いろんな国から来た留学生がたくさん住んでいる。市の人口の約3パーセントが外国人で国際色ゆたか
- 言語:
- 大分弁で「よだきい」とは、めんどう、しんどい、だるいの意味
- 食文化:
- 温泉の噴気で食材を蒸す「地獄蒸し」。とり天も有名
- 建築:
- 明治時代から温泉客でにぎわってきた別府。1938年に建てられた竹瓦温泉や、1957年に日本で3番目(東京タワーより早い)の高層タワーとして建てられた別府タワーなど、レトロな雰囲気が魅力
今回のガイド
本田 尚美
総合地球環境学研究所 プロジェクト研究推進支援員
専門は沿岸海洋学。別府湾(大分県)や小浜湾(福井県)、大槌湾(岩手県)などをフィールドに、湾に注ぐ河川水や海底から湧き出る地下水の性質・季節変化を調べています。温泉と猫と食パンが好き。