地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します
今回は
「フィジー共和国」
からおとどけします。
案内してくれるのは、
佐藤 哲 教授
だよ!

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▲ 町の道端にある市場には、さまざまな水産物が並びます
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朝の散歩は気持ちがいいねえ。
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…。
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市場は活気があっていいなあ。
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…うまそう。
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おじょうさん、よだれがでてますよ。
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あら、ごめんあそばせ。
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たこがしゃべったー!
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きみたちだって、うさぎとねこなのにしゃべってるじゃないか。
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犬です。
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やあ、お二人さん、また会ったね。
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あ、去年ヴァージン諸島でいろいろおしえてくれたお兄さんだ!
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フィジーのこともいろいろおしえてください。
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いいよ!
その前におふたりさん、おなかすいてないかい? -
おなかぺこぺこです。
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じゃあ、市場を散歩しながら、朝ごはんを食べに行こうか。
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▲ 市場で売られる魚
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わー♪おさかながいっぱい。
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ここにはハタや、ニザダイ、ハコフグなど、たくさんの種類のさかなが並んでいるよ。
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どれもおいしそう…。
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(ナス子ちゃんは食べ物のことばかりだなあ)
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ほら、見えてきた。あれは漁師さんのおうちだよ。土台は石で作って、屋根はココナッツの葉っぱでできているんだ。
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▲ 漁村の家
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すごいー!まわりのものを上手につかってるんだね。
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フィジー共和国は沢山のリゾート施設が立ち並んで、観光を中心に発達しているけど、多くの人たちは海岸の近くの村で、こんなふうにむかしながらのくらしをしているんだよ。
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どんなくらしをしてるのかな?
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それじゃあ、あのおうちで朝ごはんをいっしょに食べて、どんなくらしかちょっとだけ体験してみよう。
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おじゃましまーす。
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▲ 漁師の家族の朝ごはん
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わー、おいしそう!!
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これがこのあたりの漁師さんのおうちの朝ごはんだよ。
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いただきまーす!
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どうぞ、たくさんたべてね。
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もぐもぐ。おいしー!
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もぐもぐ。
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ナス子ちゃんがいま食べてるのは、ココナッツのパンだよ。
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ココナッツのパン!葉っぱは屋根になるし、パンにもなるし、ココナッツすごい!
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あとは、タロイモのフライ、パンノキの実や、ロティ(小麦粉を
薄 く伸ばして焼いたパンの一種)などだね。 -
おいしかったー。ごちそうさまです。
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食べたことないものをいっぱい食べたね。
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ふたりともお腹いっぱいになったかな?それじゃあつぎは海岸のほうへ行ってみよう。
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▲ 伝統的な竹を組んだイカダ
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きれいな海!南の島ってかんじ♪
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フィジー共和国はたくさんの島でできているんだけど、島がいくつあるか知ってるかな?
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100くらいかなあ。
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ぶっぶー。正解は322だよ。
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322!いっぱい島があるね!
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あの海にうかんでる細長いのはなんだろう?
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あれは伝統的な竹を組んだイカダだね。この
湾内 は波がおだやかだから、近い場所へ行く時はあんなイカダを使うんだよ -
▲ 浅瀬で二枚貝をとる漁師
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みてみてー。あそこでなにかしてるひとがいるよ!
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貝をとっている漁師さんだよ。このあたりの海は豊かで、浅い場所でもたくさん貝や魚などがとれるんだ。
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すごーい!とり放題だ!!
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でも、みんなで好きなようにとっていたら、海のいきものたちはすぐにいなくなってしまうよ。
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そうよ、あたりまえじゃなーい。
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…。
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フィジーでは昔から、地元の漁師さんたちが場所や期間をきめて、貝や魚などをとりすぎないようなしくみをつくって、
資源 にやさしい漁業 を行ってきたんだ。 -
フィジーの漁師さん、やさしい。
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このしくみをもとにして、フィジーにある南太平洋大学の研究者と地元のひとたちが協力して、「
地域主導型管理海域 (LMMA)」っていう水産資源の管理システムを作ったんだ。 -
地域主導がかかんりか…。
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ちょっと難しかったかな?海のいきものをとりすぎて困ってしまわないように、みんなでとりかたを考えるしくみだと思ってもらったらいいよ。
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はい!それならわかります。
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1997年に、フィジー最大の島、ビティレブ島にあるウスニバヌア村ってところで最初のLMMAができたんだ。
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うんうん。
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地元の漁師さんたちが自分たち自身で場所をきめて、3年のあいだ漁をしないようにして、そのあとも研究者といっしょに資源を管理する努力を続けた結果、地域の二枚貝資源は順調に回復しているんだ。
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よかったー!
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このLMMAはどんどん広がっていって、これまでにフィジー全国に466ものLMMAができているんだ。
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どうしてそんなにひろがったの?
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この、漁師さんたちが科学者と協力して、自分たちでできる
範囲 の広さ、期間の漁業制限を自分たちでおこなうというしくみは、地元のひとびとにとって使いやすい資源管理のしくみなんだ。 -
自分たちでできるんだね!
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このしくみは、インドネシア、パプアニューギニア、ソロモン諸島などの南太平洋のいろいろな国にも広がっていて、いまではフィジーは「LMMAがはじまった場所」としても有名になったんだよ。
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昔からの知恵がいかされてるんだなー、うん。
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▲ 地元の漁業者と研究者
漁業の現場で様々な形で協働することが、地域主導の資源管理を支えています -
漁師さんと、写真をとってるひとがいるよ!
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研究者だよ。あんなふうに地元の漁師さんと科学者が現場で協力しているんだ。
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やあ、フィジーへようこそ!
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こんにちはー!
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おにいさん、だあれ?
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わたしたちのプロジェクトに、今年から新しく参加した、フィジー出身のジョキム・キトレレイさんだよ。
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はじめまして。フィジーはどうだった?
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資源管理のことをいっぱい勉強したよ!
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ココナッツのパンおいしかった!
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わたしたちのプロジェクトでは、いろいろな土地で昔から
蓄 えられている知識と、科学者の知識があわさってできた知恵を「地域環境知 」と名付けて研究しているんだ。 -
今日お勉強したLMMAみたいな?
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そうだよ。このようなしくみを動かすときの科学者の役割と、しくみを支える知識や技術、考え方など(地域環境知)が広がっていくしくみなどについて、彼が中心になって実際にフィジーに出かけてフィールド調査を行い、分析を進めているんだ。
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よろしくね!ところでふたりとも、そろそろお昼だけど、いっぱいお勉強してお腹はすいてないかい?
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おなかぺこぺこです。
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あっちでロボを作っているから、いっしょに食べよう!
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ロボット?
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ロボットはたべられません。
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これがロボだよ。
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わー♪ おいしそう!
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穴のなかに熱した石を並べて、食材を並べてココナッツやタロイモの葉をかぶせ、その上から土をかけて1~2時間蒸し焼きにしてるんだ。伝統的な料理なんだよ。
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ココナッツすごい!べんり!
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(ナス子ちゃん、ココナッツ気に入ったな…)
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じゃあ、食べようか!
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熱いから気をつけてね。
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わーい!いただきまーす!!
南太平洋、メラネシアのフィジー共和国
- 気候:
- 熱帯
- 経済:
- 観光、漁業、農業
- 民族:
- 多様
- 言語:
- フィジー語、英語、ヒンディー語
今回のガイド
佐藤 哲
総合地球環境学研究所 教授
マラウィ大学生物学科助教授、スイス・ベルン大学動物学研究所客員研究員、WWF ジャパン自然保護室長・長野大学環境ツーリズム学部教授などを歴任。一人の科学者として科学と社会のかかわり、地球環境問題の解決に役立つ科学のあり方を探求しています。
