地域社会との連携が、超学際(Transdisciplinary)研究をめざす地球研の研究活動の中でますます重要になってきています。地球研の研究プロジェクトは国内外の数多くの地域で研究活動をおこなっています。研究教育機関だけでなく地方自治体と学術協定を結び、行政と密接に連携しながら長期にわたる研究活動を実施する例が増加しています。
たとえば福井県大野市とは水の利活用と保全に関わる学術協定を結んでいます。大野市が2019年度に設置した水に関する学習研究施設「越前おおの水のがっこう」の中の実験施設「リエゾン・ラボ」の設置・運営、さらに東ティモールにおける国際協力活動にも協力しています。
宮崎県とは同県の世界農業遺産を活かした地域活性化活動等で協働するための交流協定を締結しました。世界農業遺産とは、世界的に重要かつ伝統的と認められる農林水産業を営む地域を、国際連合食糧農業機関(FAO)が認定するユニークな制度であり、地球研は、諸地域と密接に関わり登録を支援するとともに、認定後の活動にも深くかかわっています。
また、地球研の所在する京都は、京都議定書採択の地であり、環境にかかわる取り組みに熱心です。京都府・京都市とは「KYOTO地球環境の殿堂」や「京都環境フェスティバル」、さらに環境教育を通じて頻繁に意見交換や協力活動をおこなっています。KYOTO地球環境の殿堂の国際シンポジウムでは、地球研が環境教育をサポートした高校生が登壇しました。
地球環境問題の解決には、地域の視点が不可欠です。社会とともに将来のあるべき姿を考えていくのが地球環境学であり、そのために地域社会との連携はかかせません。今後も地域の社会と環境など地域特有の課題を取り上げつつ、より総合的な研究・実践活動へと結びつけてゆくことになります。