地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します
次の冒険は
「カメルーン共和国
東部州の熱帯雨林地域」
に行くよ。
案内してくれるのは、
林耕次研究員
だよ!

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▲ カメルーン東部州の熱帯雨林
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どえらいところにきてしまった。
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首都 のヤウンデを出て2日、京都を出てからはもう4日以上たってるよ・・・ -
教えてもらったピクミーさんたちの村はもうすぐつくはず。
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ひょっこりわん。
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わぁ!林さん!
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君たち、こんなところで何しているの?
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地球犬くんが
野生 の生活に戻ってみたいというから ジャングルに来てみたの。 -
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そりゃいい考えだ。
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ここはバカの人びとがくらす村。
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いやいや林さん、バカなんて、そんなこと言っちゃ
失礼 じゃ? -
えっとね、正しくはピクミー
系狩猟採集民 のバカ族がくらす村。 -
え、バカ族?どういう民族?
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彼らは現在、おもに定住生活で農耕をおこなっている一方で、森では狩猟採集活動もしているんだ。森の
地理 や動植物 のこと、森で生きる術 にとても詳 しくしっているから何でもきいてみるといいよ。 -
へぇ。お話してみたい。
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このあたりには、バカ族以外に
農耕民 や商人 などいろんな人種 や文化 、宗教 が混在 しているみたいだよ。 -
あの、着いて早々なんだけど・・・(汗)
(もぞもぞ) -
地球犬くんどうしたの??
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お、おなかがヤバいです・・・
トイレはどこ? -
トイレ?ないよ。
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ぎょ!(固)
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あっちの方でてきとうに済ませてきて。
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林さんったらひどいなぁ。ちゃんと教えてよ。
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近隣農耕民の住まいにある「トイレ」
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おお!!これはもしや、トイレじゃ?!
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命びろいしたね。
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ナス子ちゃんついてきてたの?!
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護衛 です。 -
じゃあ
見張 り番たのんだよ。 -
りょうかい!
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はあ、よかった。すっきりする。
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あ、紙ない・・・(汗)
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▲ トイレットペーパー代わりの雑草の一例
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これ使いなよ。
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わぁ!!お兄さんどこから?
ともかく、ありがとうございます・・・ -
地球犬くんお疲れさま。
集落 にもどろ。 -
▲ バカ族の定住集落。
右手は「モングル」とよばれる伝統的な簡易住居ですべて森の素材 -
あ、
座談会 してるね。 -
いっしょにお茶しましょう。
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ねえ林さん、森の中にトイレがあったよ。
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ここの人たちは、もよおすとさりげなく
藪 や森に入っていってすぐに戻ってくるから詳しくしらないけど、農耕民では住居 の近くにトイレがあったりもするみたいだよ。 -
で、そもそも犬にトイレは必要だったの?
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えっ?!(固)
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一応、人前ではしないのよ。
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紙の代わりになる葉っぱもあったよ。
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▲ バカ族の友人エシコ氏がトイレットペーパー代わりに使う雑草を教えてくれた
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肌 ざわりの良いものを選 んでおいたよ♪ -
そのせつは、ありがとうございました・・・
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林さんは、トイレの研究をしているんじゃなかった?
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そう、地球研の サニテーションプロジェクト で、
発展途上国等 で、その地域のし尿 の対する考えや文化とサニテーションの関係を調べているよ。 -
今度の 地球研オープンハウス(2018.7.27)では、ブルキナファソのトイレの
模型 があるってきいたよ! -
うん、ぜひ見に来てね
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いくいくー!
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ここでは、特定のトイレは作ったりしてないらしいけど、
実際 にはどんな基準 でトイレの場所をきめたりしているのかな? -
ぼくは、まわりの農耕民がつくるような穴をほって足場を板でくんだだけの
簡易 トイレは、うんこをためちゃうだけで汚いと思ってるんだ。だから決まった場所はつくってないんだ。 -
排泄 の習慣 やトイレ文化については、現地での人に聞いてみるしかないからね。いろいろ考えを聞いてみたいです。 -
ところで林さん、ずっとその犬と一緒だね。
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ここの友達がかっている犬。かわいいでしょ。
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ここにもかわいいお犬さまがいますよ♡
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知ってるよ♡
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僕もいるよー。
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ここでは「ペットとしての犬」という
感覚 はうすくて、飼い主からきちとしたエサを与えられたり、かわいがられたりということはないみたい。 -
もしかして、その犬たちはぼくたちの世界ではあこがれの
的 、猟犬 ってやつですか? -
そう。飼い主である主人が森に入るときに必ずついて行くという
光景 をよく目にしたよ。 -
優秀 なやつたちだ✨ -
私はみんなにかわいがってもらえるのがうれしいわ。
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人間の
生活様式 によって犬の飼い方も変わるんだね。ぼくはここのくらしを体験することで、文化の違いや環境への適応 のしかたなどをこれからも調べていくつもりです。 -
森の中での生活、大変だと思うけどがんばってね。
テクテク 👣・・・
ジャーン!!
カメルーン共和国東部州の熱帯雨林地域
- 地理:
- カメルーンはアフリカ大陸中部の「くびれ腰」あたり。南部は赤道に近い
- 気候:
- カメルーンの気候は多種多様だが、調査地は雨季と乾季が交互に訪れる熱帯多雨林気候
- 経済:
- バカ族の社会は、もともとは平等主義に基づくお裾分け経済。あるいは物々交換。市場経済と接するようになってからは、CFA(セーファ)フランが流通。ユーロの相場に対応しており、1€=約655CFA
- 民族:
- 研究対象はピグミー系の狩猟採集民バカ(Baka)族。地域によって様々な農耕民族と共存している
- 言語:
- 調査地ではバカ語をメインに。公用語はフランス語(東部)。地域ごとに農耕民の言語も
- 宗教:
- バカ族の人々は土着の森の文化に結びついた精霊信仰。その他、キリスト教、イスラム教
- 食文化:
- 主食は焼き畑でとれた調理用のプランテンバナナ、キャッサバ、森で採集したヤムイモ、商店で購入した米など。その他、森での恵みによって、年中を通じバラエティは豊か
- 建築:
- 東部の村では農耕民式の土壁とヤシの葉を拭いた様式。バカ族の伝統的なスタイルはモングルという灌木を骨組みにクズウコンの大きな葉で全体を葺いたドーム状の簡易住居
今回のガイド
林 耕次
総合地球環境学研究所 研究員
専門は生態人類学、地域研究。カメルーンでは1998年から東部州の熱帯雨林でピグミー系狩猟採集民のバカ族を研究対象として、主に彼らの食料獲得や調理を含む生業活動や環境適応の研究に携わってきました。2016年より地球研のサニテーションプロジェクトに所属するようになってからは、調査地をザンビア、インドネシアなどにも広げるようになり、ヒトが「獲る/採る/食べる」ことから「出す」こと、すなわち排泄行動やトイレ文化にも関心を持つようになりました。
