地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します
次にやって来たのは
「インドネシア ジャカルタ」
だよ。
案内してくれるのは、
Ami Aminah Meutia
(アミ・アミナ・ムティア)
プロジェクト研究員
だよ!

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▲ ジャカルタ
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またやって来たね、ジャカルタ!
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ジャカルタのことなら任せて!
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それは心強い!今日は北ジャカルタでお祭りがあるって聞いたから、ナス子ちゃんナビをよろしく!
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!?
北?えっとわたくし地図には弱くて・・・おいしいものなら知ってるんだけどな。。。 -
ガクッ
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ほら何か匂うよ♪
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◀ 市場のバナナ売り場
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あっ!?バナナだ!
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ほらね~。この辺は昔から果物の豊富な地域でバナナ、パパイヤ、マンゴやランブタンが庭に植えられてきたんだって。バナナの種類が沢山あるでしょ。
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ほんとだ。食べ物には詳しいな・・・。
それで、祭り会場はどこだろ。 -
誰かに聞いてみよう。あ、優しそうなお姉さんがいるよ。
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こんにちは。何かお困り?
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北ジャカルタのお祭りに行きたいんだけど、どっちの方向に行けばいいのか分からなくて。
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私も今から行くところよ。一緒に行きましょう。
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はい、よろしくお願いします!
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それにしても、ジャカルタは色んな人がいっぱいいるね。
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ジャカルタ大都市「ジャボデタベク」には、様々な民族集団が混在していて、2010年 の統計によると629の民族集団が存在しているのよ。
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「ジャボデタベク」ってなに?
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ナス子ちゃん、忘れたの?
人口1,000万人を超えるジャカルタは行政区単位を超えて広がっていて、周辺諸州(JAKARTA, BOGOR, DEPOK, TANGERANG, BEKASI)の頭文字をとって「ジャボデタベック(JABODETABEK)」と呼ばれているんだよ。 -
そんな難しい単語覚えてないよー!
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ジャボデタベク地域に古くから住んでいて、その成長とともに進化してきたのがブタウィ人。1930年にジャカルタにいたブタウィ人は778.593人(全体の36.19%)、2000年は2.301.587人(27.65%)だったの。現在(2010年)は2.776.650人、ジャボデタベク人口の28.9%を占めているのよ。
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人口増加もすごいね!
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ブタウィ人は住んでいる場所によって名前が変わるの。北ジャカルタに住んでいる人々はブタウィプシシル(Betawi Pesisir)と呼ばれているよ。
古くは、家の形はピテュン氏(Si Pitung・インドネシアの伝統的英雄)の家のように高床になっているの。 -
▲ 高床のピテュン氏の家
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どうしてこんなに高くなっているの?
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激しい雨による洪水から家を守るためや、ヘビやオオトカゲが入ってくるのを防ぐためよ。
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その土地の環境に適しているんだね。
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▲ お供えの神輿
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あ、おみこしだ!お祭りだね!
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ねぇねぇお姉さん、これは何のお祭りなの?
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今日は年に一度のお祭りナドラン(Nadran)の日なのよ。
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ナドラン(Nadran)?
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ここ北ジャカルタに住んでいるブタウィプシシル(Betawi Pesisir)の人々は、漁業を生業としている人が多くて、彼らの漁労の安全を祈願して行われるお祭りなの。
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あれは何をしているとこなの?
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▲ ナドラン祭りでお供えを海に流す
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住民はお供えや水牛を用意して村をねり歩いて、その後、水牛の頭やお供えを海に流すのよ。
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立派なお供えだね!
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せっかくだから他の地域の生活も覗いてみたいな!
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僕も見てみたい♪
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じゃ、お散歩がてら行ってみましょう。
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▲ 余暇をため池の釣りで楽しむ人
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みんなお座りして何してるのかしら?
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この地域はかつて湿地が拡がっていて、小さな湖やため池が沢山あったの。今日でもジャボデタベク住民は暇な時に釣りに行ったりするのよ。
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のんびりしているね。
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ジャカルタの中心にはブタウィ人が住んでいるわよ。
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あ!子ども達が手を合わせて何かしているよ!
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▲ ベクシ武道の始まる前の花沐浴の行事
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ブタウィ人は、古くから武道に憧れていて、今も、幼い時からベクシ(beksi)を習うの。ベクシを行う前に安全を祈る、伝統的な花の入った水(air doa)を使って沐浴をするの。
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ベクシってどんな武道なの?
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主に手の技で心と体を鍛える武術よ。
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日本の空手に少し似ているのかな。
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◀ 割礼の男の子
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あの子は馬に乗っているよ!
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男の子は、特定の年齢になると割礼を行うの。割礼前のお祭りで馬に乗って村を回るのよ。
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なんで割礼の前にするの?
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割礼のあとは男の子の大事なところが痛くて馬に乗れないからよ!!
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なるほど。。。
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んん?この甘い香りは何かしら??
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◀ ドドルブタウィ
(Dodol Betawi)
を作る -
これはドドル・ブタウィ(Dodol Betawi)といっての色々な祭りにかかせない食べ物よ。大きなお鍋で、もち米、ココナツミルクや砂糖ヤシなどを長時間煮て作るの。
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ちょっと味見させてもらってよろしいかしら♪
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あつかましくてすみません・・・
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どうぞ
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おいし~!!
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▲ ブタウィウディクの家
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この辺りが南ジャカルタよ。
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立派な家だね。
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南ジャカルタに住んでいるブタウィ人は、ブタウィウディク(Betawi Udik)、あるいはブタウィ・ピンギル(Betawi Pinggir)と呼ばれ、その床の位置は低く、固い土になっているのが特徴なの。
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家の中も土なの?
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そうよ。ひんやりしていて、風通しもいいから涼しくなるの。
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▲ ブバリクのお供え(アンチャク・Ancak)
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これは何?
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人々の主な生業は農業で、年一回、豊穣を祈る稲の神への感謝祭ブバリク(Bebarik)が行われるの。お供えとして色々な食べ物があり、黄色いご飯や赤と白のおかゆもあるのよ。
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ジャカルタでも地域によって文化が違うんだね。
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ところでお姉さんはジャカルタでなんのお仕事をしているの?
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ブタウィ人の持っている伝統的な知識(local Knowledge)の良い面や悪い面をみて、地球環境にどう生かされるかを見出しているの。
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どこの国でも昔の人の知恵はうまく環境に適応しているけど、ものすごい早さで社会は変化しているからね。
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そうなの。近年、ジャカルタではため池を埋め立てて建物を立てることで、降雨による洪水が多発しいていることも問題になってきているの。
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ため池がなくなると洪水が起きちゃうの?
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水の行き場がなくなって、街に水があふれてしまうのよ。
インドネシアでは下水整備がされていないから、洪水によって伝染病もおこるの。 -
都市の発展とともに様々な問題も出てくるんだね。
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都市の問題はたくさんあるけど、少しでも解決の糸口を見出せればと思っているのよ。
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そっかー。大変だと思うけど、お姉さんならきっとできるよ!
テクテク・・・
インドネシア ジャカルタ
- 地理:
- 世界最大の島嶼国家インドネシアは、1万数千もの島々が広大な国土に存在する
- 気候:
- 赤道直下の熱帯性気候
- 経済:
- インドネシアの産業は、農林水産業ではパーム油やコーヒー豆。鋼業では石油、石炭、天然ガスなどの天然資源である。ジャカルタでは、金融や不動産・サービス業など経済・政治の中心地
- 言語:
- インドネシア語
- 宗教:
- イスラム教・キリスト教・仏教・ヒンドゥ教・儒教 他
- 食文化:
- 主食は米。肉食(鳥など)、各島でのさまざまな食材やスパイスを使った独特の食文化。代表的な料理は、ナシゴレン・ソトアヤム・サテなど
- 建築:
- オランダ植民地時代に建設された西洋風建築や土着のバタウィハウス、東南アジア最大規模のイスラム教礼拝堂(イスティクラルモスク)
- その他:
- 首都ジャカルタはジャワ島北西岸、チリウン川河口に位置する地理:東南アジア。フィリピン海と南シナ海にある列島(群島)。ベトナムの東に位置する。
今回のガイド
Ami Aminah Meutia
(アミ・アミナ・ムティア)
総合地球環境学研究所 プロジェクト研究員
バンドゥン工業大学卒業、工学博士(早稲田大学)、現在は総合地球環境学研究所研究員。専門は水環境工学、排水処理およびローカル・ノレッジ。共著としてAn Overview of Indonesian Wetland Sites Volume IV: Human Made Wetlands、la Thazan、Kado Pasutri、Mother Abroadなど多数。
