2024年度(令和6年) 終了プロジェクト
プロジェクト概要
インド北部のパンジャーブ地方では稲と小麦の二毛作が盛んです。ただし、地下水資源保護のため、雨期が始まるまで田植えが禁止されているので、田植えの時期と稲刈りの時期がそれぞれ短期間に集中し、しかも、稲刈りの直後に小麦の種まきを行う必要があります。このため、大量の稲藁が10月下旬から11月初旬に焼却処理されており、その煙が大都市デリーを含む近隣地域の大気汚染を引き起こしていると考えられています。 近年は、藁焼きを減らすための政策もとられ始めていますが、そうした政策が実効性をあげるには、この地域の方たちが大気汚染による健康被害に対する意識を高め、自らの⼿で環境を改善していこうという気持ちをもっていただくことが大切です。そこで、私たちは以下の 3 つの班で活動を進めています。 大気班は藁焼きからの大気汚染物質排出量を推定し、シミュレーションした結果を観測値と比較して藁焼きと地域の大気汚染の関係を明らかにしようとしています。現地で藁焼きの時期に広域で大気汚染物質の集中観測を実施し、PM2.5観測データとシミュレーション結果を比較・検証します。科学的なデータを示すことで、地域の方たちに藁焼きの影響を認識していただくことがねらいです。 健康班は、地域で健康教室を開催したり健康診断を行ったりすることを通じて、地域の方たちに、きれいな空気を保つことが重要だという意識をもっていただくことを目指しています。 農村班は、稲藁の有効利用方法の提案に向けて活動しています。現地の大学や研究所の協力も得て、地域の文化的・社会的背景を考慮しながら、利用方法を検討し、大学構内での圃場実験も行っています。 私たちの活動が、地域の方たちがきれいな空気を取り戻す一助になればと考えています。