複雑に絡み合う地球環境問題を解決するために、人と社会、自然との連環を明らかにし、ステークホルダーとの共創を通じて未来社会のあり方を追求します。

地球環境問題は、地球史や生命史の上に、文明史として人類が作り出した様々な事象が、複雑に絡み合って生まれた地域と地球の課題です。この問題を解決につなげるために、人と社会と自然とのつながりを明らかにし、地球と人間を連環システムとして捉える研究を束ねるのがこのプログラムです。

人間活動の拡大による地球環境の限界とそれを越える事象の連鎖が危惧されるなか、人類はどのように持続可能な社会を構築できるのでしょうか。また、その根底にある問いとして、人はどのように生きるべきなのでしょうか。このプログラムでは、複合的な地球環境問題を構成する、地球人間システムに存在する様々な境界と連環を明らかにし、人の生き方や価値と人々の行動及び社会の変容を促すコミュニケーションと、地域と地球をつなぐマルチスケールの社会デザインの共創を通して、持続可能な未来に向けた人と自然の関係性の変容を目指します。

我々が生きていく中において、均質な資源の確保と多様な環境の維持や、恩恵の享受と災いの軽減、身近な判断と遠い目標のための選択など、一見相反すると思われる様々な選択をしなければなりません。その判断のためには、自然と人間社会の対峙や分離から、規範に基づく共生社会に向けて、人・社会・自然の中にある様々な境界を再考し、再設定する必要があります。本プログラムでは、人間社会の生存基盤を支える水・大気・生態系・エネルギー・食料・土地・労働などの資源間や、社会活動のプロセス間、ステークホルダー間における二律背反の減少と相乗効果の増大を、ステークホルダーとの共創を通して行います。その中で、部分最適解ではない地域と地球、及び仮想空間を含むマルチスケールの社会デザインと、循環する自然システムと人間社会の相互作用環の観測・観察やモニタリング、地球人間システムのモデリングや未来社会へのビジョニングを通して、プログラムの目標達成に向けた研究の取りまとめを行います。

 

研究の進捗状況

 

本プログラムのプロジェクト公募によるIS及びFS研究は2024年4月から開始されます。応募は2024年1月申請締め切りと2025年1月申請締め切りの2回あります(2年目はFSのみ)。

第3期から継続するFRプロジェクト2件『大気浄化、公衆衛生および持続可能な農業を目指す学際研究:北インドの藁焼き事例』、『陸と海をつなぐ水循環を軸としたマルチリソースの順応的ガバナンス:サンゴ礁島嶼系での展開』と、第4期から開始したFRプロジェクト1件『人・社会・自然をつないでめぐる窒素の持続可能な利用に向けて』は、このプログラムに所属します。それぞれのプロジェクトの課題や研究プロセスをプログラムの研究会などで共有し、その成果を本プログラムに活かしていきます。

 

プログラムディレクター

 

   総合地球環境学研究所 教授

   谷口 真人

 

プロフィールはこちら (地球研HP)

  research map