• 地球研オープンハウス

地球研オープンハウス2022

今年の地球研オープンハウスはオンラインで開催します!

3つのプロジェクトの紹介動画に続き、毎年恒例の「地球犬ラボストーリー」。続いて、与論島で始まったLINKAGEプロジェクトの研究活動。ヨロンブルーのサンゴ礁で掘削したサンゴは、なんと過去から今までの島の営みの歴史を私たちに教えてくれるのだといいます。今年最終年度のEco-DRRプロジェクトの研究活動の集大成のひとつ、「J-ADRES」も紹介。自然の恵みと災いを総合した視点から、私たちの社会や地域がどのように土地を利用しているのかがまとめてわかるウェブサイトです。そして最後は山極所長の講演。パラレルワールドとしての地球、その実態とは?!

ぜひご視聴ください!

日時
2022年10月22日(土)13:00 - 17:00
場所
オンライン配信のみ
参加
参加無料・要申込
お申し込みはこちら▼
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_mRpQ5ndbR82C8q0Askix6w
主催
総合地球環境学研究所
プログラム

13:05

「地球研へようこそ! 〜紹介します、地球研プロジェクト」
知の共創プロジェクトAakashプロジェクトSRIREPプロジェクトなど

14:30

「くせになる!地球犬ラボストーリー5 今と昔の「食の多様性」の不思議」
夏バテ気味の地球犬くんは、ご先祖様の食生活からヒントを得ようと思いついた!イチロウ先生が教えてくれたのは、同位体比からわかる現代・江戸・縄文後期の食のスタイルの変化。現代はいろんな食べ物が食べられるけど、それって本当に「多様」なの? 時代を超えて、食生活を見直してみよう!
これまでの地球犬ラボストーリー動画はこちら

15:00

「ヨロンの海、太古からいま ~陸と海のはざまで生きるサンゴ~」
LINKAGEプロジェクト
私が心揺さぶられた写真の一つに与論島の海岸で1980年頃に撮られた写真があります。「イノー」と呼ばれる浅瀬にビッシリと繁茂した「枝サンゴ畑」の写真です。しかし今、枝サンゴ畑は消え、イノーは底質が真っ白な砂からなる遠浅の海となっています。ヨロンブルーの素敵な海ではありますが、約40年の間にどうしてこんなに様変わりしたのでしょう。
与論島は沖縄本島のすぐ北に位置する、比較的小さなサンゴ礁の島です。島の大部分は石灰岩で構成され、降った雨はすぐに地下に浸み込み、周りの海へ流れていきます。その水には栄養塩や島の人々による生活排水も含まれます。私たちは、陸と海のはざまで生きるサンゴ礁生態系に与論島の人間活動がどう影響を与えてきたのかを調べることにしました。
サンゴの中でも、焼き餅が膨れるようなかたちで大きくなる「おまんじゅう」タイプのサンゴ(ハマサンゴ)は、少し過酷な環境でも成長を続け、「マイクロアトール」と呼ばれる円盤形のサンゴになります。大きいものは直径が5〜6m、推定約300歳です。サンゴは、炭酸カルシウムでできる骨を作る過程で周囲の海水に溶け込んでいる成分を取り込むため、その断面に現れる年輪の成分を分析すれば、過去から現在にかけてのヨロンの海の情報を連続的に得ることができます。2022年9月、調査の第一歩として、私たちはマイクロアトールを水平に掘削し、直径5cmの柱状のコアを取り出しました。これから化学分析を進めます。島の子供たちも参加するこのプロジェクトで、サンゴの年輪は私たちにいろいろなことを教えてくれるでしょう。

15:45

「あなたの街の自然の恵みと災い:土地利用からとらえた総合評価(J-ADRES)」
Eco-DRRプロジェクト
豊かな自然は、私たちの社会や生活に多くの恵みをもたらし、私たちの暮らしになくてはならない存在です。そんな自然も、時として、災いをもたらす存在になります。豪雨に伴う洪水や土砂崩れなど、数多くの災いと共存しながら私たちは生きていかなくてはなりません。ところで、私たちが暮らす地域の環境や土地の使い方(土地利用)はさまざまです。市街地や工場などの都市的な土地利用と、河川・森林・農地などの自然的な土地利用があり、それぞれの地域で土地の使い方が大きく違います。土地の使い方によって、自然は、私たちに豊かな恵みをもたらすこともあれば、災いをもたらすこともあります。自然的な土地利用は、生態系と生物多様性をもとにしたさまざまな「自然の恵み」をもたらす一方、洪水や土砂崩れといった危険にさらされている都市的な土地利用は「自然の災い」をはらんでいます。私たちの社会や地域における土地の使い方は、自然の恵みと災いを総合した視点から見ると、いったいどのようになっているでしょうか。土地利用の総合評価(J-ADRES)では、土地の使い方によって災害リスクを回避している程度を示す「災害からの安全度」と、生態系・生物多様性がもたらす「自然の恵みの豊かさ」(生態系サービス)の観点をもとに、土地利用を総合的に評価しています。土地利用の現在を確認し将来の様子を見てみることで、あなたの街の土地利用の意味や影響を考えてみてください。

16:30

「パラレルワールドとしての地球」
山極壽一 所長
現在、私たちは科学技術によってVRやメタバースなどの異世界を体験することができます。でも、このようなパラレルワールドを希求する気持ちは最初の人類の時代から芽生えていたのです。ゴリラやチンパンジーは目の前の現実しか認識しません。しかし、今から700万年前に現れた最初の人類の祖先は、直立二足歩行を始めて自由になった手で食物を運ぶようになりました。安全な場所で共食する仲間はその食物がある場所を想像するようになったのです。やがて、新たな環境へ進出し、異なる環境(集団)を行き来するようになったのが最初のパラレルワールドの出現です。そして、他の動物に憑依して異世界を体験できるようになり、言葉が登場して想像上の世界は拡大しました。人類は地球上の至る所に足を伸ばすようになりましたが、地域と地域は分かれていて、熱帯の人々が雪や氷の世界を想像することはなかったでしょう。探検家や冒険家によって、新しい大陸や土地の知識が入手できるようになり、ヨーロッパ列強がアジアや南米、アフリカを支配するようになりました。考古学や天文学の発達によって、映画や小説に過去や未来が登場し、それをバーチャルに体験できるようになって、時間も空間も超えるパラレルワールドを手中にできるようになりました。それが環境にどういう影響を与えるのか、歴史を遡って考えてみたいと思います。

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関連リンク
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