「総合研究」と呼ばれる研究形態をとる研究にとっても、自由闊達な課題設定が必要であり、極めて重要です。「総合研究」が、現時点での社会的ニーズが高い研究課題だけにとらわれることなく、多様にその研究を推進することこそが、学問が社会に大きく貢献する方策であると考えます。 ・・・全文を読む
政治社会学会の学会指針の一つに、「文理融合型の学際的研究を可能にする新たな視点の再開発」が挙げられている。そこで本稿では、理系と文系の研究者の協働による学際的研究のパイロット的な試みである地球研プロジェクトの一つであるオアシスプロジェクトの事例を紹介しつつ、学際的研究の持つ問題点や課題について考えてみたい。 ・・・全文を読む
本稿では、2001年から2011年にかけて行った、オアシス地域の水環境の変遷に関する研究プロジェクトの概要を解説します。対象地域は、中国の青海省、甘粛省、内モンゴル自治区にまたがる黒河と呼ばれる河の流域です。遠く2000年も昔の漢王朝の時代から現在に至るまで、同流域において水が足りないという問題が、人と自然との関わりの中で、幾度も繰り返し生じてきたという実態が明らかになりました。その歴史的変遷過程の復元を通して、現代の水問題、ひいてはいわゆる地球環境問題について考えたいと思います。 ・・・全文を読む
2011年3月11日に発生した東日本大震災によって、1万5千人以上にも及ぶ尊い人命が失われました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災地の一日も早い復興を願わざるを得ません。 この災害は、被災地のみなさんに多大の影響をもたらしただけではなく、直接的な被害を受けなかった人も含めて、わたしたち総てに様々な問いかけをしています。学問の世界も例外ではありません。
・・・全文を読む
先日、イスラーム地域研究の国際シンポジウムに出席するために、パキスタンのラホールを訪れる機会がありました。ムガール帝国の帝都であった都市です。シンポジウム最終日の午後に、インド・パキスタン国境での衛兵交代式の見学会に案内されました。パキスタンの人々もたくさん見物に訪れていました。 ・・・全文を読む
われわれは自らの体験に基づいて様々な事柄に対応してきました。火に手をかざして熱いということを体感することによって、火は危険なものだと知るとともに、それを利用して食べ物を調理する道などを拓いてきました。また、褒められてうれしかったという自分の体験を通して、他人を褒めれば喜ばれるということに気付き、たがいに支えあう社会の構築に利用したりしてきたのです。何かを判断する、作り上げる、日々の営みをより快適なものにする、などのわれわれの思索や行動は、すべて経験に基づいて行われているといっても過言ではないでしょう。
・・・全文を読む