環境問題を考える



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東ユーラシア乾燥域の水循環New

ユーラシア大陸中央部には広大な乾燥・半乾燥地域が広がっている。降水量は極めて少なく、なかでも東ユーラシアのいわゆる沙漠域では降水量は年間50ミリメートル以下である。人々が生活を営んでいる標高1000メートル前後の場所でも年間降水量は100ミリから200ミリ程度にしかすぎず、それだけでは暮らしに十分な水が得られない。しかし周辺には標高5000メートルから7000メートルにも達する山脈が横たわっており、そこでの降水量は年間200ミリから800ミリと大きい。山脈には氷河が数多く形成されている。氷河はその融解によって渇水期にも安定した水を下流地帯に供給している。河川水に占める氷河融解水の割合は非常に大きい。人々は、もっぱら山岳地から流れてくる豊かな河川水と地下水を頼りにして灌漑農業や放牧業を営んでいる。河の水は、流れの途中で人々に使われることに加えて、一部は蒸発して失われ、一部は地中にしみこんで地下水を涵養する。したがって、河川は流下するにしたがって流量が次第に減少して、ついには消えてしまう、いわゆる内陸河川であることが多い。この地域で、最近水の枯渇が問題になってきている。 ・・・全文を読む

地域環境と地球環境問題New

ひび割れ

地球環境問題といえども個々の問題が生じるのはそれぞれの地域である。したがって、個々の地域での問題を理解することは必要条件となる。そういう意味では地球環境問題への取り組みは一種の地域研究といえるかもしれない。しかし上述してきたように、各地域の現象はその地域に起因するだけではなく、地球上の他の地域から大きく影響されている。同時に、その地域の現象が地球上の他の地域に大きく影響を与えている。それらの総体として現在の地球全体としての環境が存在しているのである。 ・・・全文を読む

環境一神教時代

ダストストーム

地球環境問題が引き金となって、環境問題に対する人々の意識は急激に高まっている。様々な商品のうたい文句の一つとして「地球にやさしいエコ製品」という言葉は完全に定着した。豊かな環境を取り戻そう、環境を守ろう、という運動も盛んである。このような風潮の中で、環境のために何を行うかという中身が問われるべきだが、目的意識が独り歩きして、何をするかを問題にすることが少ないと危惧するのはわたしだけだろうか。 ・・・全文を読む

彷徨える湖と水環境問題

沙漠の河

小林幸子さんが歌っている「楼蘭」という曲が2008年の夏に発表されました。中国の西部、タクラマカン沙漠の東の端に楼蘭と呼ばれる都がありました。そこはシルクロードの中継基地として栄華を極めていました。満々と水をたたえたロプ・ノールという湖の岸辺です。 ・・・全文を読む

文化を支える技術を

モンゴル草原

今回の東日本大震災や引き続く大型台風による被害を見るまでもなく、強大な自然に比べてヒトはとても弱い存在です。過酷な自然環境の中で生き抜くために、ヒトは長い歴史をかけて様々なシステムを生み出してきました。そのシステムは、種々の施設や設備などのハードを伴う場合もあれば、ハードを伴わない、社会制度や慣習などのソフト的な知恵である場合もあります。それらシステムに依拠した生活様式は、文化と言い換えることもできます。

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地球研の創設

地球研

地球環境問題が広く認識されてからすでに20年余りが経過した。「多量の二酸化炭素の放出による地球温暖化によって北極の氷が融解して世界の海面が上昇する」というメディアの報道に端を発して、沙漠化の進行、成層圏オゾンの減少、酸性雨の発生、土壌浸食、海洋汚染、生物多様性の消失、森林生態の衰退、水資源の枯渇、異常気象の多発化などさまざまな問題が地球規模で生じてきているということが広く人々の知るところとなった。・・・そこで、地球研(総合地球環境学研究所)が創設された。2001年のことである。

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歴史的所産としての環境

「資源開発」、「資源管理」、「資源保護・保全」という言葉がある。利用の可能性を秘めたさまざまな資源を、人が利用できるような状態にするときに開発という言葉が使われる。  最近は「資源」の中に「環境」が含まれるようになってきた。いわく、「環境開発」、「環境管理」、「環境保護・保全」などである。 ・・・全文を読む