地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します
次の冒険は
「インドネシア ゴロンタロ」
に行くよ。
案内してくれるのは、
君嶋 里美
研究員
だよ!

-
▲ ゴロンタロ市民の足「ベントール」
-
ヘイヘイお嬢さん!俺様の愛車とドライブしない?
-
わー!なにこれ?
-
これはゴロンタロ市民の足「ベントール」だよ。
-
へ~!じゃあこれにのっていこ!
-
よっしゃ!シートベルトはないからしっかりつかまって!
-
えーー!じゃヘルメットかぶっとくよ!
-
さてと、この辺で案内人と待ち合わせのはず。
-
-
ギャーー!
-
こんにちは!地球研の君嶋です!
-
登場の仕方が
斬新 すぎ! -
大きいゾウさん!
憧 れ♥ -
ナス子ちゃん、ゾウさんに憧れているなんて初耳。
-
かわいいでしょ。
-
はい♬
-
ところで君嶋さん、今日はどこに案内してくれるの?
-
今日はね、ここ、インドネシア・スラウェシ島北部のゴロンタロ州東部にあるリンボト湖を紹介するね。
-
わーい!湖でいっぱい泳ごう!
-
んー。リンボト湖は、いつもお二人がよく行く琵琶湖のようなレジャーが楽しめたりする湖とはちょっと違うの。
-
え、どういうこと?
-
リンボト湖は色々と
課題 をかかえている湖なの。 -
課題ってなあに?
-
▲ 急激に縮小化が進むリンボト湖
-
1932年には
水域 7,000ha 、水深30 mまであったけど、1999年には水域1,900-3,000 ha、水深2-4 mまで消失してしまったの。今はもっともっと小さくなっているの。 -
えー!このままじゃ消えちゃうんじゃないの?!
-
心配だよね。昔は地域文化の中心的な存在だったけど、いまは水質もすごくわるくなってしまったの。
-
ん?ううう・・・地球犬くん、ちょっとお話してるときにやめてよ。
-
え?何?僕何かした?
-
オナラしたでしょ?
-
ナス子ちゃん、それはオナラのにおいじゃなくて湖がよごれちゃっているからじゃないかな。
-
▲ 湖の環境悪化につながるリンボト湖流入河川域におけるゴミ問題
-
わ!ゴミがいっぱい!
-
ほんとだ!地球犬くんのオナラじゃなかったんだ!
-
ちょっとナス子ちゃん!
濡れ衣 だ(ぷちおこ) -
でもどうしてこんなによごれちゃってるの?
-
人口が増えたことで、湖の周辺家庭から
排出 される台所からの水やトイレの排水 が流れ込む量がふえたり、ホテイアオイという水草が増えたり、堆積物 がふえたり、流れ込むゴミの量が増えたり、いろんな原因があるの。 -
困ったことだね・・・
-
みんなで
大掃除 すればいいのに・・・ -
地域のみんなは、環境問題を引き起こす原因や、環境汚染がみんなの生活や環境に与える影響について、ちゃんと理解できていないから、なかなか
改善 はむずかしいの。一度汚染されてしまうとなかなか戻らないよね。だから、地域の人たちの環境に対する価値観を変えていくことが大切なの。 -
えーこんなんじゃあ魚つりもできなくなっちゃう?
-
そうね。この湖が消失していくことで多くの人が仕事を失ったりして、お金が手に入りにくくなってきたの。
-
僕の大好きなシャケもとれないのか・・・
-
だからここに住んでいる人たちは手っ取り早くお金を稼ぐために、鉱山で危険を伴うASGM産業をするようになったりするの。
-
え?「ASGM」って頭文字クイズ?
-
A:あたりまえに
S:そのくらい
G:5秒で
M:みやぶれよ
って感じですか? -
あはは!ごめん、むずかしかったよね。
-
「ASGM」っていったいなに?
-
▲ ポンコールのASGMサイト
-
ASGM(Artisanal and Small-scale Gold Mining)は、
簡単 な設備 と水銀 を使って金を採掘 することができるお仕事なの。他の仕事と比べてお給料がいいから、たくさんの貧 しい人々がそのお仕事をしているの。でも本当は、人間の体をはじめ、あらゆる生態系 に悪い影響 をあたえていて、深刻 な環境問題や健康問題を引き起こしているの。 -
それは「HY」問題だな。
-
そうなの。だから私たちのプロジェクトでは、鉱山コミュニティと
協働 して問題を解決するだけじゃなくて、地域のみんなと対話 をして、金採掘の背景となっている貧困 問題の解決に向けていろんな研究をしているのよ。例えば、新しい持続可能 なお仕事を作り出して、地域全体の貧困問題を解決しながら、水銀汚染を減らそうとしているの。このリンボト湖を取り巻く地域も、とっても重要な地域なのよ。 -
それは大変なお仕事ですね。
-
神の
領域 じゃ -
僕の発言「HY」はスルーでっか?
-
▲ ASGMに使用される石の粉砕機
-
つぎは、北ゴロンタ県にある川をみてみましょう。
-
▲ 北ゴロンタ県の水道水源
-
おお、まさかこの水を生活につかってないよね?
-
水道の水源はこういう河川の水よ。河川の水の泥を
沈殿 させて、上澄 みの水を水道・お風呂・洗濯 などの生活用水として使っているの。でもこの地域の上流には鉱山があって、この川の水も水銀に汚染されているの。だから地域の人たちの健康にも影響しているのよ… -
え~、大丈夫なのかな。私の美白が保てないわ・・・
-
ちょっとむずかしい話をしちゃったので一息、コーヒーを入れるね。
-
わーい!!
-
▲ ジャコウネコの糞から採られるコピ・ルアク
-
はいどうぞ。
-
わー、いい香り♬
-
これはマレージャコウネコのフンから
採 られる未消化 のコーヒー豆で作った、世界一高価でとても珍 しいコーヒー「コピ・ルアク」よ。 -
フンですって?!!
-
コーヒーの実は、野生のジャコウネコにエサとして食べられることがあるの。種子にあたるコーヒー豆は体のなかで消化されずにそのままフンとしてだされるから、農家の人達はそのフンを探して中からコーヒー豆を取り出し、きれいに洗ってよく
乾燥 させた後、焙煎 して飲むの。 -
はぁ~おいしい☕
-
お茶を飲んでいる間に、ゴロンタロ州レベルで行っている様々な
実践 活動を紹介するわ。 -
ききたい!
-
ゴロンタロの伝統的
刺繍 であるKarawoの生業の継承 と発展にも取り組んでいるの。縫子 と協働 して、彼らが抱えている問題(貧困、病気、後継者 不足など)の改善 などを目指しているのよ。 -
▲ 伝統的なKarawoの刺繍
-
わーきれい!
-
その他には、学習と実践を通して、低所得農家の収入改善にも取り組んでいるのよ。
-
▲ 農家の学習の様子
-
色んな取組みをやっていますね。
-
今日はお二人ともおつかれさまでした。
-
とても勉強になりました!ありがとうございました!
-
またコーヒーのみにくるね!
-
是非きてね!
-
ところで地球犬くん、さっきの「HY」ってなんだったの?
-
!!
ブーン!
パウォー!!
プ~ン
インドネシア ゴロンタロ
- 地理:
- ゴロンタロ州は2000年に北スラウェシ州から分離したインドネシア国内でも新しい州であり、州都ゴロンタロ市を始め6市県から構成される。
- 気候:
- 熱帯雨林気候
- 経済:
- 農業が主産業で,トウモロコシ,米,ココナッツ,コーヒーなどのほか,バナナ,パパイア,マンゴーなどの園芸作物が生産される。沖合漁業も行なわれ,サンマ,フエダイ,マグロ,サバなどがとれる。
- 民族:
- ゴロンタロ人、ブギス人、ポラヒ人、ジャワ人、マカッサル人、バリ人、ミナハサ人など多様。
- 言語:
- ゴロンタロ族が多数を占めるためゴロンタロ語が話されるが,方言も多様。
- 宗教:
- ゴロンタロ州が属していた北スラウェシ州ではキリスト教信仰が卓越しているものの、ゴロンタロ州ではイスラム教信仰が卓越している。
- 食文化:
- ゴロンタロの郷土料理としてミル・シラム(トウモロコシのあっさりスープ)が有名。トウモロコシの粒がベースで香草が味のバランスを豊かにしている白いスープ。
- 建築:
- 伝統的には木造建築。
今回のガイド
君嶋 里美
総合地球環境学研究所 研究員
アジア工科大学院(タイ)で博士課程修了後、山口大学大学院に勤務。2019年より総合地球環境学研究所に勤務。専門は、地理、地域研究。現在はインドネシア・スラウェシ島北部のリンボト湖地域において、環境保全と就労の確保について、地域住民と協働した研究を進めています。
