●イネ班
 イネは私たち日本人にとってもっとも馴染みがある作物ですが、東アジア・東南アジアのモンスーンでも重要な役割を果たしてきました。私たちにとってイネは水田で作られるものというイメージがありますが、畑や焼畑でも作られます。稲作はどこでどのようにはじまり、環境にどのような影響を与えたのでしょうか?イネの品種の多様性は生産の安定性とどのように関わってきたのでしょうか。私たちは栽培稲のみならず、野生イネも視野にいれながら稲作史を考えていく予定です。
2000年前の水田跡(青森県 垂柳遺) 森の中の野生イネ、オリザリドレアイ(インドネシア)
水田で改良品種を収穫する少女(ベトナム) 山のイネ(ラオスの陸稲)
●ムギ班 
 ムギ類には、穀物として生産量世界第一位のコムギや、ビールの原料になるオオムギ、それからライムギやエンバクなどが含まれます。世界の農業環境を大きく変えてきたといわれるムギ農耕ですが、約1万年前に西アジアで発祥して以来、どれほど環境にインパクトを与えてきたのでしょうか?本プロジェクトではこの問題を明らかにするために、生物学・歴史学・民族学など多面的な手法から研究を行ないます。
シルクロードの砂漠・小河墓遺跡(中国新疆)では、
東アジア最古のコムギ遺物が見つかった。
(2005年佐藤撮影)

見渡す限りのオオムギ畑
(シリアにて、2004年4月丹野撮影)


<テルタマルのパン焼き>
西アジアのパンは平たいので
具材を中心に巻いて食べる。
(2004年 丹野撮影)
●イモ班 
 根栽農耕は、アジアや太平洋の島嶼部で発展してきましたが、種子農耕に比べてあまり理解が進んでいません。イモ班では、根栽農耕がいつどこで起源し、どうやってひろがったのか、環境の変化とどう関わってきたのか、について、考古遺物や花粉、DNA分析、民族植物学的手法で明らかにしていこうとしています。

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●火耕班

 従来、焼畑をはじめとする火を介した自然利用は、環境保護政策の中で環境破壊の元凶として断罪されてきました。確かに短期的な視点から見ると森林破壊以外の何ものでもありませんが、焼畑や野焼きの背景には、50〜100年尾というタイムスパンで構築された生活文化があり、それが結果的に森や山を維持し、人々の暮らしを守ってきたことを忘れてはなりません。火耕班は、そうした火を介した自然利用(「火耕」)を支えていた技術や思想を明らかにすることで、火耕を取り巻く環境が内包してきた生物・文化・思想の多様性を再評価し、人と自然との関わりの最前線である農耕活動のあるべき姿を考察していきます。

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本プロジェクトは現在4つの班によって研究を進めています。
このページでは各班の活動をご紹介したいと思います。
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ユーラシア農耕史と環境
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