「地球環境SDGs」「第1回:資源ネクサスと地球環境SDGs」
(第23回コアプログラム研究会)

日 時
2020年8月6日(木)13:00-16:00
場 所
オンライン会議 (ZOOM「事前登録」)
主 催
コアプログラム
共 催
実践プログラム3
プログラム
  1. 1. 13:00-14:00  原口正彦(学振PD, 地球研)
  2. タイトル:「地球温暖化緩和・適応策としての廃棄物処理と熱中症」

    要旨:第一部は、循環型社会における廃棄物処理部門の評価方法についてである。固形廃棄物部門は全世界でのメタン排出量の 18%、温室効果ガス排出量の 3-4%を占めている。本研究では廃棄物発電施設の費用便益評価を行った。本評価方法では、廃棄物処理費用徴収や発電による便益だけでなく、大気汚染物質や温暖化効果ガス排出量の削減がもたらす社会的便益も考慮した。また、固形廃棄物の組成や発生量の変化、処理技術の効率性の変動等から発生する、不確実性を取り込んだ。事例研究として、アブダビ、リヤド、東京、NYにおける廃棄物発電処理施設の費用便益を分析した。今後は、インドネシアの一般廃棄物や、下水における栄養素回収システムへの応用を計画している。

    第二部は、熱中症対策と文化の関係についてである。熱中症リスクは増加傾向にあり、1994年以降最も多い年で約 1700名が死亡し、2017-19年では全国年平均で約 6万人が救急搬送されている。熱中症対策は急務であり、日本気象協会などが警告を続けてきたが、市民の熱中症の理解や予防は不十分である。熱中症リスクの認識を高め、回避行動に結びつけるためには、どのようなコミュニケーションが有効だろうか。本研究は、日本とマレーシアの中学・高等学校の生徒を対象に、1)熱中症の認識・対策状況を把握し、2)生活習慣や心理的・文化的要素が熱中症を回避する行動にどのような影響を与えているかを分析、3)どのような情報や伝え方が熱中症回避行動に繋がるか分析を行う。本研究は本年度開始したため、今回はその研究概要を報告する。

  3. 2. 14:00-16:00 小端 拓郎 (国立環境研究所) (実践プログラム3と共催)
  4. タイトル:「京都市における屋根上太陽光発電と電気自動車を組み合わせた新たな電力システムの可能性とその技術・経済・社会的課題」

    要旨:2050年CO2実質排出ゼロを目指す自治体が、日本の全人口の半分をカバーするに至ている。しかし、実際にこれを実現することが可能な計画を有する自治体はない。本研究では、2030年に向けて価格が、特に安くなることが予想されているPV、EVを京都市全体に導入し、EVを蓄電池として用いた場合、どのような経済的メリットおよび脱炭素化をもたらすか試算を行った。また、その導入に向けた技術・社会的課題を検証した。この結果、2030年にはPVとEVを組み合わせたシステムが、PVのみやEVチャージのみより大きな節約と二酸化炭素削減につながることがわかった。PVの容量が最大となるケース(京都市の屋根面積の70%にPVを設置)では、すべての乗用車をEVとし蓄電池(バッテリー容量の半分を使用)として用いることで、京都市の年間の消費電力と同量の電気を発電することが可能であり、電力の需要・供給バランスを考慮しても70%の電力需要をこのシステムから市内に供給できる。このシステムを導入した際の、現在の電気料金・ガソリン価格をベースとしたコスト削減率は、2030年に25-37%となりCO2排出は74%削減となる。このシステムを実現するためには、PV、EVの普及とともに、分散型電源システム(コミュニティー内での電気のやり取りが可能となるシステム)を構築する必要があり、規制緩和、ビジネスモデルの構築と共に、行政や市民がフュチャーデザインなどの手法を用いて、システム構築に向けた合意形成/意思決定を行っていく必要がある。

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