【開催報告】ナレッジキャピタル超学校「おいしい地球環境学」

「おいしい食の未来のカタチ-ブータンの有機農業政策の失敗(?)から考えてみよう-」が開催されました。
Flyer

2017年12月12日(火)にナレッジキャピタル超学校 地球研×ナレッジキャピタル「おいしい地球環境学」がグランフロント大阪にて開催され、45名の方にお越しいただきました。

ナレッジキャピタル超学校は、開放感あふれるカフェにて、飲み物を片手にリラックスした雰囲気の中で、研究者の話を聞くことのできるプログラムです。今回のテーマ「おいしい地球環境学」は、地球環境問題の根本を自然と人間とのかかわり合い、つまり人間文化の問題と捉え、さまざまな学問分野の壁を超えて問題解決へ向けた研究を紹介する全3回の連続講座です。暮らしを良くしながら、自然と折り合いをつける、そんな“おいしいとこどり”の研究を紹介してまいりました。

講師の小林舞研究員は、地球研のFEASTプロジェクトに所属し、食と農に関する問題を生産・流通・小売・消費・廃棄を含むシステム全体から捉え、食と農をつなぐさまざまな人びとが連携して改善できる仕組み作りを行っています。

全3回講座の最終回となった今回は、「おいしい食の未来のカタチ-ブータンの有機農業政策の失敗(?)から考えてみよう-」と題し、ブータンでの有機農業政策について講演を行いました。

ブータンは九州と同じくらいの面積で、近年は都市化が進み、失業率の増加、農村では過疎化、高齢化が問題になっています。また農地での獣害問題もあり、イノシシやシカ、地域によってはゾウによる被害も発生しています。

農業では、有機肥料と化学肥料が両方使われている地域がありますが、環境に配慮し持続可能な方法へ転換を進める政策が推進されています。化学肥料や農薬を使用しない生産方法でオーガニックなものを作ることが良いとする一方、肥沃度の低い土地が多いブータンでは有機肥料だけで作物を作るには多くの労働力を必要とし、食料の安定供給が難しい状況です。なりわいの一部としての農から、農業へ転換していく中、「幸せ」を意識する食との関わりを大切にし、人間のためでなく生きとし生けるものすべての幸せを考え、どのような農業が農家や土地にとって良いかが重要とされていると語りました。

来場者からは「オーガニックは虫食いが多く、食品としては好まれないのでは」「ブータンで一番おいしい食べ物はなんですか」「幸福度はどうやってはかりますか」などの質問が寄せられました。小林研究員から一つ一つ、丁寧に回答があり、ブータンの幸福は、日本ではhappinessと捉えられがちであるが、ブータンでは生活への満足度として捉えられていると報告しました。

ナレッジキャピタルでの「おいしい地球環境学」は全3回シリーズを無事に終えました。お越しくださった皆様、ありがとうございました。今後も地球研の特色のある研究について皆様に知っていただくため、一般向けの講座も定期的に開催していく予定です。

■当日の様子

ブータンでの有機農業政策について語る小林舞研究員

ブータンでの有機農業政策について語る
小林舞研究員

会場の様子

会場の様子

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