地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します
今度の冒険は
「滋賀県 大津市 比良山麓」
に行くよ。
		
		案内してくれるのは、
深町加津枝 共同研究員
        中井美波・島内梨佐 研究推進員
だよ!
		
		
		
		
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		▲ 比良山麓 の里山  - 
        
        抹茶 の生チョコ♪ - 
        
        どれどれ?
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        みてよ、あれ♡
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        ナス子ちゃん!食べ物じゃないよ!
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        ここは
棚田 よ。 - 
        
        あ、お姉さん。はずかしい。ちょっとした
冗談 ですわ。 - 
        
        棚田?
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        傾斜 している土地に階段状 に作られた稲作地 のことよ。 - 
        
        とても緑のキレイなところだね。
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        ここ比良山麓は
琵琶湖 に面した平野 と、急な高低差 をもつ比良山系の間のせまい地形だけど、いろいろな自然環境 がつくられているの。 - 
        
        日本にもまだこんなすばらしい自然があったとは♪
犬にとってはパラダスだわ♡ - 
        
        ん?これはなに?
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        これは比良山麓にある
守山集落 における明治後期 の主要 な資源利用 のながれを示す模式図 なの。 - 
        
        んとー、ここの生活はどんな風だと分かったの?
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        ここでは
豊富 な森林資源 を建築材 や燃料 、食材 などとしてつかっていたの。そして浜からは舟運 を通して琵琶湖湖岸や京都などの消費地 に向けて森林資源や石材 がはこばれていたのよ。 - 
        
        舟運ってなに?
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        舟で移動したり、物を運んだりしていたの。
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		▲ 内湖 (近江舞子 ) - 
        
        湖の周辺でとれる
藻 は田畑 の有機肥料 として使われ、ヨシは屋根材 として使われていたの。 - 
        
        ヨシは肥料にしてもヨシ!
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        ・・・・
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        イヒ。
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        琵琶湖に近いとお魚もよくとれたんじゃないかな?
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        そうね。湖や湖岸、それらにつながる川や水田、あるいは
湧水 があるところではシジミやアユ、ウナギなどの魚介類 をとって食べていたの。 - 
		
		▲ 石垣 守山石  - 
        
        みてみて!こにある石はシマシマもようになってるよ。
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        マーブルチョコ♪
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        あのねぇ、すぐチョコを
連想 するのはおやめ。 - 
        
        これは「守山石」っていうの。
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		▲ 石垣 花崗岩  - 
        
        これは花崗岩の石垣。周辺の山でとれるこういった石は
造園 に使ったりして、産業 にいかしているの。 - 
		
		▲ 百間堤 花崗岩 - 
        
        雷 おこし♪ - 
        
        なす子ちゃんお腹でもすいてるの?
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        これは、お菓子じゃなくて「百間堤」っていうの。
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        この
石積 はどういう役目をはたすの? - 
        
        百間堤は江戸時代につくられたもので、直進する流れを南に流すための石積の堤となっているの。比良山麓では、身近にある石材を上手につかって自然災害に備えてきたの。
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        へぇ~昔の人の知恵だね!
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        今日 においても、自然災害に備えるための地域の取り組みはきちんとおこなわれているのよ。 - 
        
        近頃も災害が多いからね。どんなことしてるの?
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		▲ 防災チラシ(クリックで拡大)
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        すごい!お姉さんがつくったの?
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        地元
自主防災会 や大学などと連携 して作成しているの。 - 
        
        あ、同じずきんをかぶってるね。
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        ぼくたちは
緊急時 にはパニックになってほえちゃったり、無駄 に走りまくってしまうけど、これがあればいざというときにも落ちついて行動できるね。 - 
        
        地球犬くんのパニックぶり、
想像 できちゃうわ・・・ - 
		
		▲ 防災講座 の様子 - 
        
        あ、みんな集まっているよ!
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        どうみても遊びじゃないよ、ナス子ちゃん。
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        あら、いらっしゃい。
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        なにしているの?
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        今から防災講座よ。
自主 の防災の一環 なの。 - 
        
        みんな
真剣 だね。 - 
        
        ここではECO-DRRにかんする
伝統 や地域のもつ知恵、そして自然災害履歴 や土地の利用の変化などをみんなで情報共有 しているの。 - 
        
        えっとそのECO・・・なんたらってなに?
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        ECO-DRRはEcosystem-based Disaster Risk Reductionの
頭文字 をとっているの。 - 
        
        Aha..
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        ナス子ちゃん英語わかってんの?
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        生態系 を活用 した防災や減災 のこと。それぞれの自然環境や歴史 、文化的な特徴 にそって策 を考えるということ。 - 
        
        地域のたすけ合いもたいせつだね。
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        あっ!こっちでも何かしているよ!
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		▲ 史料調査 の様子(古文書 の埃 を払っています) - 
        
        こちらも遊びでない。
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        お呼びでない?
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        古文書から守山の過去の災害、
河川 、土地利用等について知るために調査を行っているところよ。 - 
        
        昔と今ではずいぶん変化しているのかな。
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        そうなの。
近年 、比良山麓では伝統的な仕組みが大きく変化して、地域と自然環境や自然資源との関わりも変化しているから、地域防災や生物多様性 の保全 に関わる問題も生じているの。 - 
        
        どんな問題があるの?
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        耕作地 が手入れされず放置 されたり、利用されない里山林 がふえているの。そして都市に近いという好立地 から住宅開発 も進んでいるの。 - 
        
        自然があって都市からも近いとなるとみんな住みたくなるよね。
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        こういった
課題 について、地元自治体や市民団体などが主体 となって、この地特有 の自然のめぐみや文化をいかした地域発展 のあり方を模索 しているのよ。 - 
        
        お姉さんたちはすごいね。
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        私たちのプロジェクト「
人口減少時代 における気候変動適応 としての生態系 を活用 した防災減災 (Eco-DRR)の評価 と社会実装 」では、地元自主防災会や行政などの活動と連携 しながらワークショプの開催 や地区防災計画の策定 、普及啓発活動 などにかかわっているのよ。 - 
        
        たいへんなお仕事だと思いますが、がんばってくださいね。
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        ポー
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        ナス子ちゃんどうしたの?
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        吉田先生だ♡
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        !!
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        どうも、プロジェクトリーダーの吉田です
 
ドーン!!
滋賀県 大津市 比良山麓
- 地理:
 - 琵琶湖に面した平野と、急な高低差を持つ比良山系の間の狭い範囲に多様な環境が形成
 - 気候:
 - 温暖な東日本・瀬戸内型と冬季 に雪による降水量が多い日本海・中部山岳型の気候を相備えた地域
 - 経済:
 - 京都や大阪の都市近郊、古くからの街道に面した地域、伝統的な集落周辺に新興住宅が増加
 - 民族:
 - 日本人
 - 言語:
 - 日本語
 - 宗教:
 - 集落ごとにお寺や神社が存在
 - 食文化:
 - 琵琶湖の恵みや農地、森林資源を
 - 建築:
 - ヨシ葺き民家、杉板と漆喰を使った民家、樹下神社
 
今回のガイド
深町 加津枝 
			総合地球環境学研究所 ECO-DRR共同研究員
主な研究テーマは、京都周辺、琵琶湖湖岸などの文化的景観、里山における人と自然の関係とその変化、景観生態学に基づく地域固有の景観保全、活用の計画です。生態的な価値と文化的な価値を統合した環境デザイン、緑地環境保全のあり方を目指しています。
	中井美波 ・島内梨佐 
			総合地球環境学研究所 研究推進員
地球研のEco-DRRプロジェクトの研究推進員です。滋賀県を中心に調査の補助をしています。
	






