地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します
今年度最後の冒険は
「インドネシア チタラン川流域」
に行くよ。
案内してくれるのは、
増原直樹プロジェクト研究員
だよ!
- ▲ スンダ料理店にて
-
お腹ペコペコ―!
すいませ~ん、この魚を焼き魚でお願いします~ - ▲ 調理されたティラピア
-
もぐもぐ
-
ん?なんだか日本で食べる魚とは違った
不思議 な味がするね。 -
こんにちは。それはティラピアといって、このあたりで
養殖 をしている魚だよ。 -
あ、こんにちは増原さん、こんな所でお会いするとは。
-
養殖ってお魚を育てて増やすことだよね?
-
そう。今からその養殖場へインタビュー調査に行くんだけど、
一緒 に来るかい? -
お願いします!
-
もぐもぐもぐもぐもぐ
- ▲ ジャティルフールダムの養殖場
-
とうちゃく。足を
置 く場所には気をつけてね。 -
ひぇ~
-
囲 いごとにたくさん魚がいる! -
▲ 養殖されているティラピアや
鯉 -
ここではさっき食べていたティラピアや、
鯉 を養殖しているんだよ。 -
あ!あそこで何か
撒 いてる人がいるよ。 - ▲ エサを撒く様子
-
お兄さんが魚にエサを撒いているね。養殖ケージごとに置かれている青い大きなボトルにエサが入っているんだ。
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もっと大きくなって、おいしいお魚になれ~
-
なれ~♪
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ははは~。
次はこのダムの放流設備 のところへ移動するよ。 - ▲ モーニンググローリー
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あれが放流設備『モーニンググローリー』だよ。
-
モ、モーニンググローリー?
カフェでもあるのかしら。 -
どう見ても違うでしょ・・・
-
あの真ん中の穴から、水が多い時にはダムの水を落として、
洪水 を防止しているんだ。 -
へー!すごいな。
-
ムムム!?
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地球犬くん、どうしたの?
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何かへんな臭いがしない?
-
(さすが犬の
嗅覚 だ・・・)実はね、このダムにはさっき見たような養殖場のエサが大量に沈殿 しているんだ。 -
ぎょぎょぎょー!
-
このダム湖上にはたくさんの養殖業者がいて、それぞれが自分の魚を太らせたいと考えているんだ。そしてエサの販売元は、多くエサを売りたいのもあって、おすすめするエサの量を多く伝えていたりするんだ。
-
そりゃいけないな。
-
多くあげ過ぎたエサは、魚も食べきれないから、ダムに沈殿してしまって水質が悪くなりイオウ臭がするんだよ。
-
人間の欲望の結果だね・・・
-
さらに、この沈殿物は放流水を利用した
水力発電 の効率 にも影響 していて、管を詰 まらせたり、機械を痛めたりする可能性もあるんだよ。 -
養殖と水力発電、どちらも必要でやめられないよね。 どうすればいいのかな。
-
養殖のエサをあげすぎなければいいのかな?
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そうだね。でも今ここでは、養殖をゼロにする政策がすすめられているよ。
-
え?じゃあ、おいしいお魚が食べられなくなっちゃうの?
-
ここで働いている人も困るんじゃないの?
-
それももちろん問題だよね、でも実はこのダムの養殖の70~80%が、都市部の
富裕層 、つまりお金持ちの投機的 ビジネスとなっていて、あまり地域の儲 けにはなっていないという問題も。 -
投機的ビジネスって何?
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将来の価格の変動を予想して、現在の価格との差額で利益を得ることを目的に、お金を投じて事業をするってこと。
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そんな事情があったとは・・・・
- ▲ ダムからみた下流側の風景
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最後に川を下って、ジャカルタ湾に行ってみよう。
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わーい!湾まで行くワン♪
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・・・
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ジャカルタ湾では今、
海底湧水 の調査をしているよ。 - ▲ ジャカルタ湾での採水の様子
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このように海水を採取して、ラドン
濃度 などを計測するよ。 -
海水中のラドン?
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2014年に行った小浜でのお姉さんが、こんなこと言ってたよ。
-
地下水の中にはラドン(水に溶けている
無色無臭 の気体)っていう物質が含 まれているの。だから、海底からポンプでくみ上げた海水中のラドンの濃さを測ると、そのあたりの海水にどれくらい地下水が混ざっているかがわかるのよ。 -
ふむふむ。
-
つまり、川とか地下水とか陸から流れてくる水には、海の生き物が育つために必要な
栄養分 が含まれているので、それを調べているんだ。 -
陸から流れてくる栄養だね!
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▲ ジャカルタ湾に設置された
網 -
そうだね、面白いことに漁師さんたちは経験からか、海底湧水の出ている所(=栄養が豊富な所)に
網 を設置しているんだ。 -
ZZZ・・・
-
こりゃー!!
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漁師さんの経験ってすごい!
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なんだ、起きてたのか。
-
ナス子ちゃんもお疲れのようだし、さぁ日本へ帰ろう。
来年の冒険も楽しみにしているよ。 -
はい、ありがとうございました!
☆**‥ホワワァ~ン‥**☆
☆**‥ホワホワァ~ン‥**☆
インドネシア チタラン川流域
(上流:ジャティルフールダム、下流:ジャカルタ湾)
- 地理:
- インドネシアは赤道直下の島国(島の数は世界最多)。調査地はジャワ島西側に位置しています。
- 気候:
- 気温が高く、平均27℃程度が一年中続く。熱帯雨林気候に属し、四季ではなく雨季と乾季に分かれます。
- 経済:
- 世界一を誇るパーム油の他、コーヒーやゴム生産も盛んな農業中心。石炭や天然ガスも日本へ輸出されます。
- 民族:
- 約300の民族がおり、国民の45%はジャワ族、14%がスンダ族、マドゥラ族、中国系などが続きます。
- 言語:
- 公用語はインドネシア語だが、島ごとにジャワ語、バリ語など500以上の言語が使われています。
- 宗教:
- 国民の多くはイスラム教信者であるが、キリスト教・ヒンドゥー教を信じる人たちもいます。
- 食文化:
- 調査地はスンダ地方の中心なので、スンダ料理が多くナシゴレン(炒飯)、サテ(焼き鳥)が有名です。
- 建築:
- オランダ植民地時代の建築物がいくつか残っています。竹も昔から建材として広く利用されています。
今回のガイド
増原 直樹
総合地球環境学研究所 プロジェクト研究員
地球研の特徴の一つとして文理(人文・社会科学と自然科学)融合がありますが、わたしは学部が理系で、大学院が文系という「ひとり文理融合」です。関心分野は地方自治体(市や町)で実施される環境政策、再生可能エネルギー導入です。このプロジェクトでは、国内外のフィールドで水・エネルギー・食料ネクサスに関係する人々の意識や関心をアンケート調査、インタビュー調査で明らかにすることを担当しています。