
気候行動に対する意識を、教育で変えていく試み青木貴弘(京都市立塔南高校)
本校からは3名の生徒が参加し、気候危機について学ぶとともに、その解決に向けた気候行動として「教育改革」を提案しました。
本イベントに参加する以前、生徒らは「気候変動は難しくてよくわからない」、「気候危機と言われても何をすればよいのかわからない」という印象を持っていたようですが、本イベントで社会心理学的、自然科学的、倫理的側面から多面的に気候危機を学んだことで、それに対する意識を大きく変えることができたようです。例えば「日本人が気候行動に対して抱く印象は、他国と比べて著しくネガティブである」という事実に驚き、そのような意識をどう変えられるかという点に、とても興味を持っていました。気候危機の解決策として提案した「教育改革」は、まさにその日本人の意識を教育によって変えたいという想いによるものです。このように本イベントは、生徒が気候危機への理解を深めるだけでなく、その危機に対する行動を考える、良い機会となりました。
そして教員である私にとっても、その後の教育活動に資する良い機会となりました。気候に関するさまざまな研究を知ることができ、例えば「このグラフを生徒に考察させるにはどういう提示方法が効果的か」といったような教育方法について考えることができました。生徒が「教育改革」を謳ったことは、彼らが私に「教育を改革せよ」と言っているのと同義なので、本イベントで学んだことを教育現場に生かし、彼らの想いをかなえるような教育にチャレンジしていこうと思います。

高校生による気候変動学習プログラムに参加して中野源大(京都府立北稜高等学校)
昨年に引き続き全てオンラインで行われた勉強会でしたが、コロナ禍によって主流となったオンライン交流が結果として場所や時間を選ばず、より多くの高校生を結びつけました。
気候変動研究の第一線で活躍されている研究者、殿堂入り者の方々と、これからの未来を生きる高校生が触れ合い、そして意見を交わす。これだけでも十分貴重な機会ですが、この学習プログラムの本質はさらに深いところにあると思います。
この学びの中で生徒から自然に出てきた「若い世代VS大人」。この言葉は私たち教員にとってとても印象的であると同時に、現状を知り何も行動に移さない我々大人への痛烈なメッセージでもありました。
しかし、生徒たちは決して悲観的にならず、むしろ学習が進むにつれ、「地球上の全ての人が気変動問題に立ち向かうべきだ」と声を上げる必要性を主張するようになりました。
この学習プログラムの学びを単なる知識で終わらせるのではなく、より多くの人たちに発信し、行動に移していくこと。それが、参加した北稜生、そして次世代を担う人材を育む我々教職員、北稜高校の使命であると感じました。

気候変動学習プログラムに参加させていただいて上杉兼司(立命館宇治高等学校)
参加生徒にとって、「気候変動学習プログラム」は、とても刺激的なプログラムでした。SDGsを学ぶにつれ、気候変動の問題がSDGsの様々な目標に絡んでくることを感じていました。そのため、毎回の学習会を心待ちにしているようでした。特に、気候正義について、先進国にある責任を重く受け止めていました。
学習会では事前課題が準備されており、事前課題をもとにした発言が促されていたことにより、オンラインの取り組みで起こりがちな『お客様』になるのではなく、主体的に参加できたと思います。現状を正しく知らなければ、まさに机上の空論になったり、間違った方向に誘導されたりします。色々な情報があふれる中で、根拠のある情報をもとに考える重要性にも気が付いたようです。
受賞者へのメッセージ作成については、受賞理由を理解しなければ作れないため、これによっても理解が進んだと思います。本校は他校の生徒と一緒に作ることになりましたが、これにも刺激をもらったようです。同じ学びをしていても、感じることが違っていて、結果として厚みのある内容になったように思います。
生徒たちにこのような素晴らしい機会をありがとうございました。