地球研オープンハウス2012

地球犬と行く!世界一周の旅 ~高所プロジェクト編~

解説者:小坂康之(総合地球環境学研究所プロジェクト研究員)
2008年4月に地球研に来てから、ヒマラヤ・チベット高地に通いはじめました。ヒマラヤ・チベット高地の南東部に長期滞在しながら、自然環境と人々の暮らしについて調べています。(研究者業績ページ

小坂研究員写真

- まとめ -

インド、アルナーチャル・プラデーシュ州、ウエスト・カメン県

標高約2000メートルの山腹斜面に位置し、周囲はコナラやカシ、シャクナゲ、マツの森で覆われている。

経済:常畑で主食となるトウモロコシ、ソバ、シコクビエなどをつくる。かつては焼畑も行われていた。最近では、トウガラシ、キャベツ、リンゴ、カキなどの商品作物も導入されている。

民族:ディラン・モンパ族

言語:ディラン・モンパ語、ヒンディー語、アッサム語

宗教:チベット仏教、在来宗教

食文化:トウモロコシ、ソバ、シコクビエを粉にしてお湯で練ったもの(「ボッペ」と呼ばれる)が主食。ソバ粉のボッペは、日本のソバガキと同じ。ボッペを手で一口サイズにまるめ、チーズをもとにしたスープや、納豆とトウガラシの和え物と一緒に食べる。スープの具には、トウガラシやジャガイモなどの野菜のほか、山菜やキノコも用いられる。

建築:石壁にタケ葺き屋根の家が多いが、最近はトタン屋根に変わりつつある。また他の地方から移住してきた人も多く、木の壁や漆喰の吊り壁など、さまざまな様式の建物がみられる。

【伝統的知識】
ヒマラヤは標高によって自然環境が大きく異なる。比較的暖かい標高2000メートル付近では、畑で穀物が栽培され、寒くて農業のできない標高3000メートル以上では、家畜に草を食ませて搾乳し、バターやチーズをつくる。このように、ヒマラヤの標高差を利用して、主食となる穀物とタンパク源となる乳製品をうまく作り分けている。

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