地球研オープンハウス2012

地球犬と行く!世界一周の旅 ~高所プロジェクト編~

小坂研究員

わたしたちのプロジェクト「人の生老病死と高所環境――「高地文明」における医学生理・生態・文化的適応」では、「世界の屋根」と呼ばれるヒマラヤ・チベット高地で、人々の健康、暮らし、自然環境について調査しています。調査地の一つは、ヒマラヤ・チベット高地の南東部で、雨のとても多いところです。年間降水量は3000 ミリメートルを超えるところもあり、豊かな森がみられます。この地域は中国とインドの国境係争地で、現在はインドが実効支配しています。1987年にインドの独立した州となり、アルナーチャル・プラデーシュ州と名付けられました。州のなかには、言語も生業もまったく異なる、さまざまな人々が暮らしています。人々の暮らしを詳しくみるために、村を訪ねてみましょう。

写真 標高2000メートルの山麓には、マツやコナラの森が広がります。森を抜けると、村が見えてきました。ここは、州西部にある、モンパと呼ばれる人々の村です。写真では、家屋は右側奥に密集しています。手前に広がるのは、トウモロコシやシコクビエの畑です。畑の周囲にはコナラの林がみられます。またクルミ、グミ、ナシなどの果樹が野生し、季節の味を楽しむことができます。
写真 まず、あいさつも兼ねて、村のお寺にお参りに行きました。お寺は、村の一番高いところに建てられています。このお寺は、チベット仏教のゲルク派に属しています。青、白、赤、緑、黄の旗が、風に吹かれてたなびいています。本堂の外壁に備えつけられた「マニ車」を手で回しながら、本堂を時計回りに3周して、それから中に入ります。「マニ車」には祈りの言葉が書かれ、回すことで功徳を積むことができるのです。
写真 彩り豊かに装飾されたご本尊は、弥勒菩薩です。線香に火を灯して、お賽銭を供えたあと、「五体投地」と呼ばれる方法で礼拝します。
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