環境研究における超学際的アプローチのための新しい同位体利用法の開発

プロジェクトの概要

地球研のめざす「総合地球環境学」は、文理融合を中心にした「学際研究」や、研究者と社会との直接の連携に根ざした「超学際研究」を特徴として構成されている。研究を進めるうえで必要となる研究手法のなかで、第Ⅱ期中期計画期間において充実してきた「多元素同位体質量分析システム」は、地球環境研究において多方面に利用できる画期的なシステムである。本システムは、多くの研究プロジェクトにおいて用いられてきただけでなく、「同位体環境学共同研究」を通じて、日本各地の大学や研究機関等と幅広くつながった研究資源となってきた。

安定同位体比は、一般的に環境基準物質のような価値に直接つながる情報を含んでいないが、環境中に存在する物質の連環を示しうるトレーサブルな指標として高い機能をもっている。しかし、安定同位体がもつトレーサブルな情報は、それ自体に有害性がないため、環境モニタリング項目に採用されておらず、社会的認知度も低い。

いっぽう、さまざまな同位体を用いることで、ある物質の産地や発生源、それが生まれるプロセスが明らかになると期待され、環境診断の精度向上や学際研究のツールとして高い可能性がある。

現実の社会において、トレーサブルな情報に対する価値判断の主体は人間である。地球化学、地質学、生態学、人類学などで育まれてきた「同位体手法」を、地球環境学の枠組みで利用するには、どうすればよいのか。このコアプロジェクトでは、超学際的アプローチという新たなフェーズにむけて、安定同位体情報の社会実装と実装にともなう価値のあり方を視野に入れ、そのために必要な広い意味での手法開発を研究課題とする。

コアプロジェクトは、予算規模と年限から考えると、これまで行なわれてきた地球研の研究プロジェクトの10分の1に満たない規模であるため、それ自体として完結しえない。第Ⅲ期に行なわれる地球研の実践プロジェクトとの連携やコアプログラム内での連携、日本各地の大学や研究機関との連携、地域のNPOや行政機関の方がたとの協働を通じた研究を行なうことを想定し、FS段階にはフィージビリティーを検討したい。

FS責任者

氏名所属
陀安 一郎地球研研究高度化支援センター教授
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