Eco-DRRプジェクト上原三知共同研究員がグッドデザイン賞を受賞

2021年10月20日、地球研Eco-DRRプロジェクトメンバー上原三知共同研究員(信州大学社会基盤研究所・農学部併任・准教授)による、「デザイン・サイエンスによる災害からの復興 [2011年の東日本大震災からの福島県新地町の復興住宅地計画] 」がグッドデザイン賞(街区・地域開発)を受賞しました。

グッドデザイン賞は、デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動です。1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれいます。製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰するものです。

概要:
東日本大震災では多くの街が被災した。より高い堤防と嵩上げ工事は10年にもおよび人口が減少した。包括的なデザイン・サイエンスの都市計画のためのイアン・マクハーグの理論と、その実装のために国土庁が整備していたデータを福島県新地町のボトムアップ型の復興計画に活用し、被災地でいち早い住宅再建と人口回復を実現した。

デザインのポイント

  1. デザイン・サイエンスを災害リスク評価に活用し、ボトムアップ型で複数の復興住宅の再建を早期に実現する。
  2. 個別ハザードマップの統合では示せない、複合的な災害リスクの重なり、地域全体の相対リスクを可視化した。
  3. 複合的な災害リスクを考慮できたことで、工期が短く、魅力的な敷地の開発を4年間で達成できた。

審査委員の評価:
国内における災害リスク評価は、浸水被害、土砂災害など専門分野ごとに過去の実績データに基づいたパラメーターを個別に用いて判断するため、根拠となる数値が更新され続ける気候変動期においては信憑性の高い答えを導くことが難しい。本計画は、特定の土地が持つ環境性能(植生、地質、地形、傾斜区分)を災害の視点から数値化し、オーバーレイの手法で災害リスク評価を行うことで、複合的かつ客観的な視点を持った震災復興計画のプランニングを導き出すことに成功している。デザイナーはこのプロセスを、オーバーレイ手法の発案者であるランドスケープアーキテクトに敬意を表しつつ「デザイン・サイエンス」と名づけ、気候変動社会を生き抜く一条の光をこの思想の中に見出そうとしている。評者もこの考えを支持する一人であるが、ランドスケープアーキテクトは科学者の知性に加えて、芸術家の目と詩人の心を併せ持つ人間でありたいと願う。

■受賞した研究デザイン■
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受賞した上原三知共同研究員(信州大学 准教授)
受賞した上原三知共同研究員(信州大学 准教授)

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