2019年4月13日、地球研の「人口減少時代における気候変動適応としての生態系を活用した防災減災(Eco-DRR)の評価と社会実装」プロジェクトの黄琬惠研究員らによる共同研究「成長管理は水害リスク削減をより効果的にする:滋賀県を対象としたシナリオ分析」が、農村計画学会2019年度春期大会のポスター賞を受賞しました。
(ポスター概要)
地球規模で進む気候変動により、近年わが国では局地的な豪雨の発生頻度が増加傾向にあり、水害や土砂災害などの気象災害の激甚化への対応が急務となっています。
本研究では、人口減少社会における水害に適応するための土地利用計画のあり方に対する基礎的な知見を提供するため、将来の土地需要と水害を考慮した土地利用規制が、地域の水害リスクの軽減に及ぼす影響をシナリオ分析により評価することを目的としました。
研究対象地として滋賀県を選定し、2050年の土地利用の将来シナリオを描きました。調査では将来の土地需要(宅地と農地)の増減と、条例にもとづく政策的な介入策の有無の2つのシナリオを用いました。
分析の結果、現在の条例の規定をもとに開発抑制により実現できる水害リスクの削減効果は限定的ですが、県全域での宅地や農地の需要の増減により生じる水害リスクの増減幅は、介入策の導入により実現できる水害リスクの削減幅を大きく上回っていることが分かりました。
また介入策による水害リスクの削減をより効果的にするためには、宅地需要の抑制や農地の転用規制強化等の成長管理政策を一体的に進める必要があることが示されました。
(共同研究者)

受賞した黄研究員

賞状