Loading...
  • The Arts of Living with Nature
    Monday, March 7 – Friday, March 11, 2022 Online
  • The Arts of Living with Nature
    Monday, March 7 – Friday, March 11, 2022 Online
  • The Arts of Living with Nature
    Monday, March 7 – Friday, March 11, 2022 Online
  • The Arts of Living with Nature
    Monday, March 7 – Friday, March 11, 2022 Online

開催趣旨

The Arts of Living with Nature
自然と暮らす“術”

総合地球環境学研究所(地球研)は、環境問題を文化的アプローチにより研究する世界でも類例のない学術機関として20年前に京都に設立されました。環境問題の原因は人と自然の関係がいびつに歪んできたことにあります。そして人と自然の関係性は、さまざまな地域で長い年月にわたって営まれた人々の生活、つまり文化に内包されています。ふだん意識することがなくても、文化はわれわれの生活や価値観、思想、さらには新たな発想の根源となっています。地球研の掲げる文化的アプローチとは、地域ごとの人と自然の連関を明らかにし、文化を知の源泉として地域そして人類の共通の課題である地球環境問題の解決を目指すということです

文化的なアプローチには乗り越えなければならない壁があります。地球上の異なる自然環境の中で生きてきた人々が生み出してきたのが文化です。文化はどうしても地域に固有なものになりがちです。しかし地球環境問題は地域固有の文化を超えたところにあります。

いつのまにかわれわれは、地域固有の身近な「風土」から離れ、異様に複雑な技術統治的(テクノ・インスティチューショナル)社会へと組み込まれました。「人新世」の時代です。普遍的な近代技術と知恵に依拠したわれわれ一人一人の生活の蓄積が、巨大な地球システムに限界をもたらしています。今求められているのは、人と自然の関係性を再構築することです。そのために、再び地域に根差し、立ち止まって自らの生活を振り返り、人類の思想として自然を再定義することが必要です。

そのため今回のシンポジウムでは、生活における基礎的な創造空間としての芸術に立ち戻ることにしました。かつて技術と芸術は同じ言葉でした。自然から生まれた技術が自然を支配するようになり、芸術が日常生活から遠ざかるようになり、この二つは大きく乖離したものになりました。

第16回地球研国際シンポジウム「自然と暮らすという術(The Arts of Living with Nature)」では、モノ、場所、社会形態など具体的に表現される暮らしにある芸術をそれぞれ取り上げ、作用し続ける地球の活力と共に存在してきた人類の暮らしの経験について議論します。地球研と京都大学及びフランス国立社会科学高等研究院(EHESS)とが過去二回にわたって行った連携シンポジウム(「対話:日本列島の自然観」於:京都大学 、2018及び 「自然は考えるのか?」 於:ユネスコ本部及びパリ日本文化会館 、2019)を基にしています。先行した二つのシンポジウムでは、思弁的な哲学から臨知調査に拠った人類学まで、フランスと日本のさまざまな立場の研究者が、自然と文化を峻別してきた二元論を批判的に検討しました。芸術対科学技術、芸術対工芸、美学対実用性に代表されるような昨今のシンポジウムにおける重要な概念に付着する二元論から脱却するよう議論を進める必要があります。

「庭」はその糸口となる重要な観点です。「庭」は労働と休息の場であり、身体と心を涵養する自然を理想的に表現しています。「庭」は、人と自然の関係を象徴的に表現しており、そこで見出される植物、樹木、動物、昆虫、土壌、石など人以外の「他者」との、長い相互作用の歴史を思い出させてくれる無言の使者となっています。また、人類の歴史の中では「庭仕事」は採集とも農業とも密接な関係にあり、「庭」の概念と技術は、より広範にわたる活動や領域を含んで、特定の地域の多様な自然とそこでの生きる人々の術を縮図として示しています。

「暮らしの術」において、私たちは東洋と西洋が持つ自然知性という概念の探究を引き続き行います。それは、所有することのできない他者という概念が、人類の創造的な役割を認めることになるからです。おそらく西洋と東洋という二分法の妥当性も問われることでしょう。私たちは、物質界における人間の創造性の根源について、造形美術、工芸、そしてダンス、音楽、演劇のような領域の中で探求します。これらは広大な未知の源であり続け、自然に内包される人間の生に対する希望に語りかけるように見えるからです。


プログラム

プログラムは、「起承転結」という日本の伝統的な物語構造に従って、4つの段階で進行します。
オープニングとしてシンポジウム全体を整えるプレリュードを加えつつ、この構成を採用しています。

地球という庭

シンポジウムの前奏曲は、人類学者である地球研所長・山極寿一(前京都大学総長)と、ランドスケープアーキテクトである京都精華大学学長・ウスビー・サコの対談形式で構成されています。
人類は8万年前にアフリカを出て、世界中のその居住地(エクメーネ)を広げてゆきました。そこで注目されるのは、人類が異なる自然環境に出会い、適応していった過程です。人類はそれぞれの自然環境の中で、自然を改変し、あらたな自然との関係を構築してきました。それは文化であり、人為的に改変された自然は「風土」といってもよいでしょう。
 問題なのはそれが行き過ぎてはいないか、ということです。実際、自然との関係は調和的なものではなくなり、自然は、そして地球は限界を迎えています。この地球環境問題を受けて、人類は、人間中心主義や西洋的な自然を所有するといった自然観から脱却する必要性に直面しています。
この対話では、人類史を振り返り、「庭園の地球」という概念を軸に、これからどのような地球を人と自然が作り上げてゆくのかを考えてゆくことになります。

2022年3月8日 | 起

「風土」の地球

みなさんは、自然は考えることができると思ってますか。たとえば植物に知性があると思っているでしょうか。二日目は、人間以外の世界に、これまでとは違う見方で思いをはせることになります。自然の主体性について考えてみましょう。パブリックセッションに登壇する人類学のTim Ingoldは、人が自然を“What I am”から“What I have”と捉えたときから環境問題が生まれたと看破しました。フランスの思索家オギュスタン・ベルクは、日本の風土という概念を、自然と人との関係を主体と客体を超えて「通態」と位置つけました。二人の対談からこれからの人と自然の関係についての議論が始まります。
パブリックセッションは変わらず日本時間19:00頃からですが、アカデミックセッションは、アメリカ大陸の参加者に合わせて日本時間で12:00から開催します。

2022年3月9日 | 承

承:庭園の惑星

庭園は、自然を解釈し、体験する実験室と捉えることができます。庭園は、自然に関する知識と技術の蓄積が象徴的に表現され、発展してきました。2日目の自然の知性についての考察から、この知性は決して無作為ではないことは明らかです。「技術」と同じく、一連の実践や活動を反映した意図的なものです。
3日目には、「庭園」を通して、人類が地球を体験してきた無限に連鎖する生命の技法に目を向けたいと思います。

2022年3月10日 | 転

転:人の技と術、自然の技と術

詩人は言っています。"私たちはすでにあるものに宿り、宿ることでそれを変え、そして変わったそれによって変えられる"
4日目は、しばし庭園を離れて、変える力としての芸術に注目します。
芸術の語源は、「アルス(ars)」です。この言葉はラテン語で「熟練した労働」を意味しています。アルスは、地球を変化させるという人間の役割を強調しています。この感覚的で美的な体験が、人間の探求と学習の基本的な様式であり、私たちが地球について学ぶのと同様に、私たち自身について学ぶ経験の場であることを議論します。

2022年3月11日 | 結

結:再び地球に生きるということ

人類は、空を見上げてきました。知的好奇心から宇宙を訊ね、同時に客観的に「外」から地球を見ようと試みてきました。そのことは、しかし、人類が自ら地球から離れてしまうことを意味していません。むしろ環境問題の今こそ、もう一度これまでとは異なる目で地球を見てゆくことが求められています。
地球の創造的知性に背を向けると、人類は孤独で貧しくなり、仲間の生物からも見放され、地球の偉大な創造的可能性からも疎外されるだけです。内と外の両方に深く目を向けて、歴史を振り返り、地球の生きた知性を、人間の知覚と世界の無限の神秘との対話の究極の源として理解しようと努めなければならないのです。

RIHN 16th International Symposium

The Arts of Living with Nature
Monday, March 7 – Friday, March 11, 2022
Online

Venue

Online(Zoom)
Due to the global pandemic, the symposium will be carried out online.

Language

English + Japanese with simultaneous translation


Participation

Free

Organized by

RIHN


総合地球環境学研究所
https://www.chikyu.ac.jp/

Contact

総合地球環境学研究所 国際交流係

Tel: 075-707-2152  Fax: 075-707-2106
kokusai[at]chikyu.ac.jp

Access
アクセスカウンター