第15回地球研国際シンポジウム

Transitioning Cultures of Everyday Food Consumption and Production: Stories from a Post-growth Future
日 時
2021年1月13日(水) -16日(土)
2021年1月13日(水)09:30 – 12:00 (日本時間)
2021年1月14日(木)15:00 – 18:00 (日本時間)
2021年1月15日(金)15:00 – 17:45 (日本時間)
2021年1月16日(土)09:30 – 12:45 (日本時間)
場 所
オンライン(Slack, Zoom)
コロナウイルス感染症の世界的規模の流行により、
オンライン開催となります。
講演および議論の大部分はZoomを使用してライブで行い、非リアルタイムでの継続した意見交換にSlackを使用します。
主 催
総合地球環境学研究所
言 語
英語(日本語同時通訳あり)
要旨集
PDF
参加費
無料
参加申込
本シンポジウムは終了いたしました。
シンポジウムの模様は、開催報告ページ からご覧いただくことが可能です。
連絡先
総合地球環境学研究所 管理部企画連携課 国際交流係
Tel: +81-75-707-2152
Fax: +81-75-707-2106
Email: E-mail

シンポジウムの目的

生態系の崩壊を受けてか、共同の取り組みによってか、その理由はどちらにせよ、大量生産・大量消費の時代は終わりに近づいています。現在、私たちの多くは日々のニーズを満たすため、資源集約的な供給システムに依存して暮らしています。大量生産・大量消費時代の終わりは、このシステムの変化を意味します。長年に渡り、弱い持続可能性アプローチは、経済や社会のフットプリントを縮小するための手段として、個人の姿勢、行動、選択の重要性に焦点を当ててきました。しかし、この戦略は失敗に終わっただけでなく、消費に基づく経済モデルの根本的な欠陥を浮き上がらせてきました。そして、最近の危機的状況は、永遠の成長を追求する経済システムの脆弱性に拍車をかけています。

現在のフードシステムは、そのあらゆる形態と複雑な相互作用の中で、すでに破綻の兆しを見せています。工業的農業、工場農場、大量生産・加工食品は、温室効果ガスの主な排出源であり、生物多様性と土壌肥沃度の大規模な損失や非感染性疾患を引き起こし、世界各地で農村コミュニティを弱体化させています。工業的農業だけ見ても、10のプラネタリー・バウンダリーのうち8つに大きな影響をもたらしています。

有効な手立てをとりうる時間には着々と終わりが近づいている一方で、必要とされる変化のレベルは莫大です。経済と社会の変容に向けたより強靭で急進的な戦略が必要です。農業危機、そして今日私たちが目にする環境危機の多くを引き起こしているのは、経済成長に向けた執拗な圧力です。食と地球の未来を心配する人々にとっての課題は、成長第一主義のパラダイムの外に、いかに実行可能で望ましい生産、消費、ガバナンスのモデルを描き、実現するかという点にあります。私たちは、エネルギーとモノのスループットの規模を縮小するだけでなく、価値観、暮らし、実践、自然との関わり方など、これまでとは異なる機能を発揮する物質代謝経路を設計しなくてはなりません。

「食」は文化や日常生活のリズムに深く根付いているため、ポスト成長期のフードシステムの再構築は、未来の暮らし、仕事、健康に大きな影響をもたらします。それでは、持続可能な食の実践は、どのようにして消費者と生産者の境界線を多義的にするコンヴィヴィアルで、充足性の高いフードスケープを再構築していくことができるのでしょうか。また、私たちはどのようにアグロエコロジーの原則に則った形で食の生産を再設計し、生態学的な相乗効果の再生と、農民と市民の主権の強化につなげることができるでしょうか。食の未来は政治的でもありますが、市民は、どのようにして望ましい食のビジョンを軸に集まり、フードシェッドを自ら変えていくための主体性を見出すことができるのでしょうか。そして、私たちと食と農との関係を通じて、「良い暮らし」に関する社会文化的な考えを再定義し、生態学的・社会的限界をうまく受け入れる形でオルタナティブな世界観を実現することができるでしょうか。

食と社会についてポスト成長期の未来を模索する――それは、人間文化が地球上でどのように機能するべきかを議論し、そこに到達するための実践的な解決策と変革の道筋を見極める、という総合地球環境学研究所のミッションのコアの再検討でもあります。本シンポジウムでは、様々な分野の研究者が一堂に会し、「みんなで作るいただきます」という現在と未来の物語を共有します。

セッションの概要

セッション1:地域に根付いた再生可能なフードシェッド

このセッションでは、食の生産を、バイオリージョンに立脚した、分散型かつ高度に自律的なシステムとして再検討します。また、そのような再設計によってもたらされる空間的影響と、それらが食料安全保障や食の主権において何を意味するのかを考察します。では、地域に根差し、ローカル化したフードシステムを目指すのであれば、どのようにシステムを設計・構築し、その影響を測ることができるでしょうか。どのような事例があるでしょうか。そして、食の生産はどのようにすればよりアグロエコロジカルで、マルチスピーシーズのニーズに配慮したあり方に変化しうるでしょうか。

セッション2:食の未来、超学際的プロセス、ポリティクス

私たちがどのように未来の展開を描くかは、私たちの意思決定に多大な影響を及ぼします。 また、誰が政策を取り巻く議論や知の共同生産に参加するかは、その結果の頑健性と正当性を大きく左右します。より持続可能なフードシステムを実現するには、未来とステークホルダーを巻き込んだ新しい形のガバナンスと政策が必要になるでしょう。では、未来を描く取り組み(未来洞察、モデル、シナリオなど)は、どのようにして、食の未来を巻き込み、(非)政治化していくのでしょうか。そして、超学際プロセスは、どのようにしてステークホルダーを効果的にフードポリシーに関与させ、どのようなストーリーを創り出すのでしょうか。

セッション3:現在に見られる食のオルタナティブ

ポスト成長期の食の実践には、私たちの身近に潜みながら、社会へと広まる機会を待っているものもあるでしょう。 消費者や生産者は、どのように日々の暮らしや仕事の中でオルタナティブな食を実践しているでしょうか。また、未来にはどのような影響があるのでしょうか。こうした実践を広めるにあたり、オルタナティブなビジネスモデルや技術が担う役割はどのようなものでしょうか。

セッション4:充足性と文化変容

社会変容の根底にあるのは、文化変容、すなわち私たちが住む世界の理解に必要な価値観や世界観の変化のプロセスです。食や農と私たちの関係は、どのように「良い暮らし」を取り巻く社会文化的観念を再定義し、さらには生態学的・社会的限界を受け入れたオルタナティブな世界観をもたらしうるのでしょうか。

最終セッション:総合討論

スケジュール概要

スケジュール概要 Zoom Image
  1. HOME
  2. 成果発信
  3. イベント
  4. 地球研国際シンポジウム
  5. 第15回地球研国際シンポジウム
    “Transitioning Cultures of Everyday Food Consumption and Production: Stories from a Post-growth Future”
大学共同利用機関法人 人間文化研究機構
総合地球環境学研究所

〒603-8047 京都市北区上賀茂本山457番地4

Tel.075-707-2100 (代表)  Fax.075-707-2106 (代表)

みんながわかるちきゅうけん