2017年10月12日、宮崎県椎葉村にて、第20回地球研地域連携セミナー「“つながり”を未来につなぐ 世界農業遺産 変えてはならないものと、変えなくてはならないもの」を開催しました。昨年度の高千穂での同セミナーに引き続き、今回は、宮崎県と共催し、高千穂町・日之影町・五ヶ瀬町・諸塚村・宮崎大学・椎葉村教育委員会・フィールドソサイエティー(法然院 森のセンター)・世界農業遺産高千穂郷・椎葉山地域活性化協議会のご協力をいただきました。
まず、椎葉晃充氏(椎葉村長)および安成哲三(総合地球環境学研究所所長)による挨拶があり、今回のセミナーをとりまとめている阿部健一(地球研教授)が、趣旨説明を行いました。
その後、田中克氏(京都大学名誉教授・舞根森里海研究所長)が「21世紀を生きる思想-森里海連環と焼畑」と題して、森里海連環学と自身の取り組みを紹介しながら、海と森のつながり、焼畑農業を未来世代につなぐことの重要性について報告されました。続いて、井上果子氏(宮崎大学地域資源創成学部講師)が「人社会変容と神楽の継承」と題して、「高千穂郷・椎葉山地域」での神楽に関する調査について報告し、神楽と地域の将来に触れ、ここにしかない地域文化、多様な地域性を継承していくことの重要性が語られました。
次に、久山喜久雄氏(フィールドソサエティー)のコーディネートのもと、地元の椎葉村立尾向小学校児童2名が「いつまでも守り続けよう尾向の豊かな自然~焼畑から学ぶ~」と題して、焼畑体験活動の発表を行いました。地域と学校の協力によって、火入れから種まき、そばの収穫など一連の焼畑体験を通して、椎葉村の焼畑の歴史を学んでいる様子が報告されました。
休憩をはさんでは、阿部健一、藤掛一郎氏(宮崎大学農学部教授)がコーディネーターを務めたパネルディスカッションに、椎葉智成 氏(椎葉厳島神社宮司)、青木優花氏(移住者・焼畑蕎麦苦楽部)、椎葉昌史氏(よこい処しいばや店主)、講演に引き続き、井上氏が参加し、それぞれの活動や取り組みを紹介しながら、世界農業遺産として認定された「高千穂郷・椎葉山地域」のなかで、椎葉村の「変えなければならないものと変えてはならないもの」、何を大切に残すべきなのかについて活発な議論が行われました。当日は150名の参加があり、盛況のうちに閉幕しました。
今後も地域連携セミナーは日本中のあちこちで開催する予定です。お住まいの地域で開催された際には、是非足をお運びください!
■当日の様子
挨拶を行う椎葉晃充椎葉村長
挨拶を行う安成哲三地球研所長
講演を行う
田中克京都大学名誉教授・舞根森里海研究所長
講演を行う
井上果子宮崎大学地域資源創成学部 講師
発表のコーディネーターを務めた
久山喜久雄氏
発表する椎葉村立尾向小学校児童
パネルディスカッションで
コーディネーターを務めた
阿部健一地球研教授、
藤掛一郎氏(宮崎大学農学部教授)
コーディネーターの問いかけに応える
パネリスト
講演に聞き入る参加者