地球研オープンハウス2012

地球犬と行く!世界一周の旅 ~エコネプロジェクト編~

解説者:幸田良介(総合地球環境学研究所プロジェクト研究員)
奈良県の田舎町に生まれ、基本的に遊び場は野山。気が付けば生き物の生態や行動に興味を持っていました。大学4年の卒論生のころから、鹿児島県の屋久島でシカと森林植生の関係についての研究を始めました。モンゴルには2007年の夏から通いはじめ、家畜と草原植生の関係についての調査を中心に研究を続けています。(研究者業績ページ

幸田写真

- まとめ -

モンゴル国

地理:東アジア内陸部のモンゴル高原一帯に位置する。北部にはシベリアから続く針葉樹林が広がるが、南部に位置するゴビ砂漠にかけて乾燥気候となり、国土の大半をステップ草原が占める。

気候:大陸性気候で年間を通じて乾燥している。首都ウランバートル付近の年平均気温は0℃前後、年降水量は200~300mm程度である。

経済:遊牧を中心とした畜産業、鉱業。

人種・民族:モンゴル系が大半を占める。

言語:モンゴル語、一部地域ではカザフ語。

宗教:チベット仏教が中心。

食文化:遊牧の畜産物に基づく料理が伝統的。ヒツジ肉を中心とした肉料理やウシの乳を中心とした乳製品、馬乳酒など。

【伝統的知識】
モンゴルでは、不安定で集約的ではないステップ草原の資源を効率的に活用するため、伝統的に遊牧が行われてきた。遊牧民は「ゲル」と呼ばれる移動式住居に住み、一か所に定住するのではなく、季節に応じて広大な草原の中で移住を繰り返し、家畜が良好な草原で採餌できるようにしてきた。
家畜による強度の摂食が長時間に渡って継続されると、次第に草原植生が劣化、草原の生産性も低下し、牧養力も低下してしまう。一方で家畜による摂食は常に草原植生に負の影響をもたらすのではなく、草原の植物種多様性や生産性は、家畜にある程度摂食された場合の方が全く摂食されない場合よりも高くなる。
モンゴル草原で伝統的に行われてきた遊牧スタイルは、家畜による過度の摂食で草原が劣化してしまうのを防ぎ、適度な摂食圧の状態を維持することで草原の生産性を高め、結果的に遊牧という産業を持続的に行うことを可能にしてきた。

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