食料問題は地球環境問題と密接につながっており、21世紀前半における人類の最重要課題のひとつです。近年、アジア農業・漁業の現場では、生態系の劣化と破壊、水質汚染、洪水の多発など環境面でさまざまな異変が起きており、その影響は食料供給、食品の安全性、さらには人々の健康にまで及んでいます。
本プロジェクトでは、異常気象、人口増加、都市化の進展、土地の改変などの過程で生じているさまざまな生態的変化と「食と健康リスク」との関係性に注目し、集水域を単位とするリスクの実態を解明するとともに、アジア諸国における食料安全保障と災害リスク管理のあり方について考察しました。私たちの食卓がいかに身近な生態環境に支えられているのか、そして、どうすれば持続可能な食料生産を達成しうるのかについて、アジアの現場から解明しようと試みました。さらに、地域コミュニティやステークホルダー(利害関係者)の参画が地球環境問題の解決に向けていかに効果的であるのかについても検証しました。