サニテーション価値連鎖の提案

─地域のヒトによりそうサニテーションのデザイン─
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研究プロジェクトについて

先進国と開発途上国の共通の目標として、「サニテーション価値連鎖」を提案します。課題を抱える開発途上国と日本を対象に、個人の生きがい(Happiness)や健康、地域のし尿・排水に対する規範・文化・伝統・気候・農業・経済とサニテーションの関係を知り、サニテーションにかかわる価値連鎖の共創をめざします。「サニテーションは『価値』の創造である。単なる技術ではなく、ヒトや地域の価値連鎖そのものである」という視点を基本にします。

なぜこの研究をするのか

ヒトが排出するし尿や排水を扱うサニテーションは公衆衛生、環境・生態系管理に加え、物質循環・資源管理を左右する重要な要素となります。世界では開発途上国の住民を中心に約24億人が適切なサニテーションにアクセスできていません(2013年、国連レポート)。また、これらの発展途上国では5歳以下の死亡率は高く、貧困の問題も生じており、今後さらなる人口増加が予想されています。一方、日本等の先進国では、低経済成長・人口減少・高齢化社会の進展により下水道などのインフラの維持が難しくなると予想されます。

2050年の世界人口は約100億人と推定されています。「人の健康・環境負荷低減・食糧増産・資源管理の関係性の中で、100億人から排出されるし尿・排水をどう扱かえばよいか?」この問の答えが必要とされています。

何をどのように研究するのか

この問の答を得るために、次の3つの仮説を用意します:仮説①「住民の皆さんは地域特有の文化、価値、し尿に対する規範と社会経済条件、環境条件の中に暮らしている。現状のサニテーション問題は、住民やその集団の価値とサニテーションが提供する価値の解離にある」。仮説②「一方、サニテーション技術はハードとそれを支える多様な関連主体、社会制度、ヒトのし尿等に対する規範等によって成立している。このような技術の存立基盤と地域特性のミスマッチも問題を深刻にしている」。仮説③「住民やその集団の価値を中心にすえ、技術の存立基盤とのマッチングをはかるサニテーション価値連鎖が解決策となる」。すなわち、本プロジェクトでは先進国と開発途上国の共通の目標として、「価値連鎖サニテーション」を提案します。

そして、この仮説の検証のために、3つの課題を設定します。課題①ではサニテーションを地域の人びとの生活との関係で捉えなおします。現地調査により、住民の皆さんやコミュニティの価値観、し尿に対する規範を知り、サニテーションを住民の皆さんの生活との関係で捉えなおします。課題②では、多様なサニテーション技術をその存立条件の関係から捉えなおします。そして、課題③では対象地域を選定し、サニテーション価値連鎖の提案と共創の実証を行ないます。

公衆衛生・保健学、衛生工学、農学、経済学、社会学、人類学の専門家でチームを作ります。

図1 住民の皆さんの価値連鎖にサニテーション価値連鎖を組み込む

図1 住民の皆さんの価値連鎖にサニテーション価値連鎖を組み込む

メンバー

プロジェクトリーダー

氏名所属
船水 尚行北海道大学大学院工学研究院

主なメンバー

氏名所属
池見 真由北海道大学大学院経済学研究科
伊藤 竜生北海道大学大学院工学研究院
牛島  健北海道立総合研究機構
佐野 大輔北海道大学大学院工学研究院
中谷 朋昭北海道大学大学院農学研究院
鍋島 孝子北海道大学大学院メディアコミュニケーション研究院
箱山富美子藤女子大学
藤原  拓高知大学農学部門
山内 太郎北海道大学大学院保健科学研究院
SINTAWADANI, NeniResearch Center for Physics, the Indonesian Institute of Sciences
NYAMBE, Imasiku AnayawaUniversity of Zambia
MAÏGA, Amadou HamaInternational Institute for Water and Environmental Engineering
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