松田 素二

松田 素二Motoji Matsuda

科学と在来知との接合による総合的な環境文化の創成

担当

役職/肩書

総合地球環境学研究所特任教授

京都大学名誉教授

専門分野

社会人間学

経歴

ナイロビ大学大学院修士課程を経て、京都大学大学院文学研究科博士課程中退。現在、京都大学名誉教授、総合地球環境学研究所特任教授。専門は社会人間学、アフリカ地域研究。主要な編著書に、『新書アフリカ史』『日常人類学宣言』等。

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Q&A

地球研ではどんな研究をしていますか?
私の専門はアフリカ社会を対象とした文化人類学的研究です。アフリカ社会は、ヨーロッパによる奴隷貿易や植民地支配の影響を今日も強く受けており、そのため社会や自然が大きく歪められ、紛争、環境破壊、貧困や低開発、さらには感染症の蔓延など地球規模の困難や危機を経験しています。日本などの先進国社会からみると、こうした問題に「同情」したり「援助」しようする認識も生まれています。より酷い場合は、「侮蔑」や「差別」の意識さえ見えてきます。しかしながら、こうした危機を解決する知識や方法は、欧米の先端科学や技術の中にあるだけではなく、アフリカ社会自体の知識や知恵に潜んでいることが長期間のフィールドワークからわかってきました。今日の地球規模の危機を解決するための方法を、先進科学技術の世界と、アフリカをはじめ世界各地の社会の豊かな知識と経験の世界を繋いで、見出したり創造したりする研究を進めています。今回立ち上げたプログラムとそれに参加しているプロジェクトは、こうした考え方を共有して相互に連携し協働しているのです。
地球研で研究したい人に向けてのメッセージは?
地球環境問題は、一つの学問、一つのテーマ、一つの地域だけでアプローチできるわけではありません。常に、異なる学問領域に関心を持ち、異なるテーマを重ね合わせ、異なる地域を視野に入れることで、ようやくその全体像の一部が見えてくるような「難しい」対象と言えるでしょう。しかしそれだけに、自分の視野を広げ、自分の価値観や見方を変容させ、社会のあり方を変えていく挑戦しがいのある対象でもあります。その作業にとっては、地道で精密なデータの測定や観察を継続できる知的な能力とともに、社会と自分を変革する熱い意志がとりわけ重要になります。常に異なるものと自身の基盤を「地続き」にする発想、構想、実践の力が総合地球環境学には必須であり、それこそがconvivial scholarshipと呼べるものでしょう。Convivialityを核とする研究理念を共有する人を歓迎します。

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