実践FS

〈地球人間システムの共創プログラム〉

プロジェクト概要

先住民のコミュニティは地球の持続可能性に不可欠ですが、特に環境破壊や伝来の土地の喪失、文化・伝統の衰退を招く農業や採掘の拡大により脅かされています。環境破壊や土地の喪失、文化衰退が進む中、本研究では、グローバルな商品生産や消費の先住民コミュニティへの影響を検証します。協働的アプローチにより、先住民と産業の対立を緩和し、倫理的貿易を正義・公平・包摂の原則と整合させた経済活動を促進する、先住民の権利を守る変革的ソリューションの開発を目指します。

なぜこの研究をするのか

先住民は、地球上の陸地の4 分の1 以上を管理しており、何千年にもわたり自然と共生してきました。彼らは環境保護、野生生物の保全、独自の文化的伝統の維持において重要な役割を担っています。さらに、医療や農業などの分野で貴重な知識を有し、気候変動のような地球規模の課題解決に貢献しています。

しかし、先住民は深刻な問題に直面しています。天然資源への需要の増加により、農業、採掘、都市開発、観光業が拡大し、多くの先住民コミュニティが先祖伝来の土地を追われ、文化や生活様式が脅かされています。先住民は自然への依存度が高いため、環境の変化による影響を特に受けやすいのです。

これらの問題の多くは、彼らが居住する国内の需要だけでなく、国際的な消費にも起因するグローバル貿易によって引き起こされています。私たちの消費行動が世界中の先住民コミュニティにどのような影響を与えているのかを理解することは、より良い政策の策定、責任ある行動の促進、先住民の権利と文化の保護に役立ちます。

写真1: ブラジル・ヤノマミ先住民領域における違法採掘の証拠を示す衛星画像

研究の進捗状況

これからやりたいこと

このプロジェクトは、3 つの重要な側面において先駆的な取り組みを行います。

1 .影響の特定と可視化

新たな影響評価フレームワーク「先住民・産業対立フットプリント(仮)」を導入することで、国際貿易が先住民に与える影響が特に顕著な「ホットスポット」を特定・マッピングします。

2 .影響緩和とバランスの模索

グローバル貿易と先住民の権利保護のバランスを取るための戦略を検討します。シナリオベースのモデリング、詳細な質的分析、フィールド調査を統合したアプローチを用いて、異なる社会経済環境における政策の有効性を評価します。

3 .認知度向上と利害関係者の参画促進

貿易が先住民の存続に与える影響についての認知を高め、利害関係者が協力して対立を最小限に抑えるための変革的な解決策を共創できるよう促します。

写真2: ベトナム中部のカトゥ族の村で、コミュニティマッピングを通じた情報収集の様子。

メンバー

FS責任者

NGUYEN, Tien Hoang

東北大学大学院環境科学研究科・特任助教

研究の流れについて

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