2021年度終了プロジェクト

熱帯泥炭社会プロジェクト

プロジェクト概要

研究プロジェクトについて

東南アジアに広く存在した熱帯泥炭湿地林は、1990年代以降プランテーション開発に伴う排水により、乾燥化が進みました。その結果、泥炭地では火災が頻発し、煙害による健康被害と地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出が起こっています。本プロジェクトは、地域の人びとと協力しながら、パルディカルチュア(再湿地化した泥炭地における農林業)を実践し、熱帯泥炭地の回復をめざします。

何がどこまでわかったか

本プロジェクトでは、学術的な知見と現地で得られた教訓を統合することで、以下のような成果を導き出しました。第一に、慣習的な地区の承認によって泥炭復元のガバナンスに変化が生じる可能性があること。第二に、再湿地化や在来種の植林による泥炭生態系の回復によって、社会への波及効果が確認されたこと。現地での普及活動については、現地のカウンターパートが中心となり、プロジェクトの成果を着実に広めています。

私たちの考える地球環境学

環境問題というと開発や公害に代表される、「分かりやすい現象」に注目が集まりがちですが、それらは氷山の一角ならぬ「泥炭地の表層」にすぎず、その深層にはいくつもの要因が複雑にからまり合っています。一つの問題をより深く掘り下げることで、より魅力的な地球環境学を構築できると考えます。

新たなつながり

NHKがフランスと共同制作したBS1スペシャル「大火災 森林・都市を襲うメガファイアの脅威」(後編)の監修や、Youtube、日立・京都大学共同研究室、「関西情報ネットten」などのメディアを通じて、日本の消費者にも本プロジェクトで得た成果をアピールしています。私たちのプロジェクトへの問い合わせも増えてきています。

写真:2018年7月に開催した防火イベントにて地域住民との集合写真

プロジェクトリーダー

水野 広祐 (FS-FR2)、甲山 治 (FR3-FR5)

外部評価委員による評価(英語)

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