大山 修一

総合地球環境学研究所教授/京都⼤学⼤学院アジア・アフリカ地域研究研究科/アフリカ地域研究資料センター・教授

担当

都市―農村の有機物循環とそのシステム構築に関する実践研究 ―地域の価値観と科学的知見の融合をめざして―

役職・肩書

総合地球環境学研究所教授/京都⼤学⼤学院アジア・アフリカ地域研究研究科/アフリカ地域研究資料センター・教授

専門分野

地理学、環境修復学、平和構築学、アフリカ地域研究

経歴

京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。現在、総合地球環境学研究所研究部教授、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授。専門は地理学、環境修復学、平和構築学、アフリカ地域研究。おもな編著書に、『西アフリカ・サヘルの砂漠化に挑む』、『ザンビアを知るための55章』等。

Q&A

地球研ではどんな研究をしていますか?
自然からいただいた食べ物や栄養分は、自然に戻すというコンセプトのもと、わたしたちは物質循環プロジェクトを進めています。台所の生ゴミや食品ロス、し尿、下水汚泥といった有機性の廃棄物をうまく活用し、農業に利用したり、環境の修復に役立てたりしていきたいと考えています。汚いから使わないというのではなく、“汚いモノ”から、食料を作ったり、自然の回復に役立てたりするという、そのマニュアルづくりと価値観の転換を進めています。

西アフリカのサヘル地域では都市の清掃、生ゴミを使った緑化と環境修復、耕作地や牧草地の造成による食料の生産を通じた民族紛争の予防、平和社会の実現をすすめています。ザンビアやウガンダでは、生ゴミからコンポストを作り、化学肥料の連続施用で荒廃した農地の土壌改善の実験を始めています。日本では小学校5年生の総合的学習の授業で給食の生ゴミを使ってコンポストづくりに取り組んだり、ホテルやレストランで出てくる生ゴミのコンポストづくり、そして動物園の動物うんちの有効活用など、有機性廃棄物の資源化を進め、農業生産や環境修復に役立つことをめざして、研究活動を進めていきます。
地球研で研究したい人に向けてのメッセージは?
環境問題が深刻だということは、わたしたちは生活感覚として十分に理解しています。でも、なにをすればよいのか、なにができるのか。その対策は、どうしても政府や自治体、企業に任せたり、あるいは新しい技術にたよりっきりになって、他人まかせになりがちです。

環境問題の実態とともに、どのような対策を進めていくことができるのか。アジアやアフリカをはじめとする世界の人々の生活や経済活動、社会システムにおける有機物の動きにフォーカスをあて、農村の砂漠化や土壌栄養の収奪、都市のゴミ問題や富栄養化の実態把握、あるいは人々の有機物をめぐる在来知を明らかにします。実践的な取り組みをつうじて、在来知による科学的な知識の集積や“常識”の修正を試み、有機物の循環による環境問題の解決に貢献したいと考えています。

フィールドワークやラボワークを組み合わせながら、自然や人々の生活・文化、社会システムに幅ひろく興味をもち、前向きな姿勢で、明るく、真剣に研究を進める方が仲間になってくださることを、楽しみにしています。

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