地球研の研究成果を国際社会に向け発信する、英文での出版物です。
The Sanitation Triangle
Socio-Culture, Health and Materials
- 編者 Taro Yamauchi, Seiji Nakao, Hidenori Harada
- 発行 Springer,2022年
- 264頁 7,149円(ハードカバー) 5,719円(ソフトカバー)
- ISBN (ハードカバー)978-981-16-7710-6
- ISBN (ソフトカバー)9978-981-16-7713-7
- ISBN (eBook)978-981-16-7711-3
- DOI: https://doi.org/10.1007/978-981-16-7711-3
グローバル・サニテーションにおいて、持続可能な開発目標(SDG 6.2)ではすべての人がサニテーション・サービスを利用できるようにするという目標が掲げられていますが、未だ多くの低・中所得国では達成されていません。国連のMDGsからSDGsへの移行にともない、グローバル・サニテーションに関する社会文化的側面からの考察がより一層求められるようになりました。つまり、弱い立場にある人々に対する公平なサニテーションには、社会文化的な背景が関係している可能性があります。サニテーションとは単にトイレの設置ということだけではなく、人間の排泄物の処理や処分といった働きも含む総合的なシステムのことです。サニテーション・システムはそれ自体では機能せず、社会的な管理によってのみ有用性を持ちます。意思決定の過程も社会文化的条件に大きく左右されるため、サニテーションの重要性が社会的に認知される必要があります。また、サニテーションの重要な貢献の一つである衛生改善による健康効果についても、社会文化的環境の中で考慮される必要があります。さらに言えば、社会文化そのものがサニテーションの影響を受け、また創造される可能性さえあるのです。このような観点から、サニテーションの改善をさらに進めるためには、分野を超えたより総合的なアプローチが求められています。
本書(オープン・アクセス出版)では、サニテーションにおける「健康と幸福」、「物質(技術・経済)」、「社会・文化」の相互関係を総合的に考察する『サニテーション・トライアングル』という概念と、文化人類学、開発学、健康科学、工学、科学コミュニケーションなど多様な学問分野によるサニテーション・トライアングルに基づく事例研究を紹介します。異なる学問分野間の深い理論的検討と相互対話から、本書はグローバル・サニテーションに関する学際的研究の可能性を探ります。
Living in the Megacity: Towards Sustainable Urban Environments
- Shin Muramatsu, Terry G. McGee, Koichiro Mori 編
- 発行 Springer,2021年
- 225頁 145,59€(ハードカバー)117,69€(eBook)
- ISBN (ハードカバー)978-4-431-56899-5
- ISBN(eBook)978-4-431-56901-5
すでに世界人口の半数超が都市に住んでおり、2050年には、世界人口93憶人のうちの63憶人が都市に居住することが予測されています。人類の社会経済活動を都市への集中化・集約化することは効率的に見えますし、実際、一人当たりの環境負荷を計測すると、相対的に他の地域よりも環境効率的です。しかし、地球環境問題を含めたサステイナビリティの問題は、多くの人が住んでいる都市の社会経済活動に起因していると考えられ、トータルとしての負荷や問題の大きさを減少させることが重要です。あるいは、都市の環境効率性はまだ十分に高くないとも言えます。
本書では、これらの問題意識を共有し、人口1,000万人を超えるメガシティに注目しながら、多様な視点とアプローチから学際的な研究者たちが問題・課題の解決へ向けた次の一手を示しています。特に、都市において、人類がどのように持続可能かつ居住可能で、安全な社会・経済生活を実現するかのヒントをメガシティの発展の中に見ようとしています。
第一部では、メガシティと地球環境の持続可能性の関係について、重要な問題整理とそれらの問題を解決するための視座を議論しています。問題を解決するためには、問題自体を正しく理解することが必要です。第二部では、現代世代が取り組むべき課題をいかに解決するかを考えるために、都市発展の歴史や大都市の多様性を紐解くことによって、何が学べるのか示しています。歴史からの学び、多様性の尊重は、問題解決のカギになりえます。第三部では、人類のサステイナビリティを実現するために、どのように都市を変化させるかを具体的に把握するために、メガシティのサステイナビリティの測定・評価方法を議論しています。この背後には、測定・評価できないものはコントロールできないという考えがあります。
このように、本書は、(1) 過去・現代・未来の時間スケール、(2) ローカルとグローバルを繋ぐ空間スケール、(3) 人間の社会・経済活動の多様性スケール、という三つの尺度から、メガシティと地球環境の関係から生じる課題とそれに関連する諸々問題の解決に向けた方向性を照らし出しています。
The Water-Energy-Food Nexus
Human-Environmental Security in the Asia-Pacific Ring of Fire

- 遠藤 愛子 王 智弘 編
- 発行 Springer,2018年
- 337頁 159.99$(ハードカバー)119.0 $(eBook)
- ISBN (ハードカバー)978-981-10-7382-3
- ISBN(eBook)978-981-10-7383-0
Global Warming and Human - Nature Dimension in Northern Eurasia

- 檜山哲哉 高倉 浩樹 編
- 発行 Springer,2017年
- 224頁 114,99 €(ハードカバー)95,19 €(eBook)
- ISBN 978-981-10-4647-6
- ISBN(eBook)978-981-10-4648-3
Groundwater as a Key for Adaptation to Changing Climate and Society

- 谷口真人、檜山哲哉 編
- 発行 Springer,2014年
- 145頁 定価 11,000円 + 税
- ISBN 978-4-431-54968-0
Social-Ecological Systems in Transition

- 酒井章子、梅津千恵子 編
- 発行 Springer,2014年
- 198頁 定価 11,000円 + 税
- ISBN 978-4-431-54910-9
The Dilemma of Boundaries
Toward a New Concept of Catchment

- 谷口真人、白岩孝行 編
- 発行 Springer,2012年
- 275頁 定価 11,000円 + 税
- ISBN 978-4-431-54035-9
Island Futures
Conservation and Development Across the Asia-Pacific Region

- Baldacchino, Godfrey; Niles, Daniel 編
- 発行 Springer,2011年
- 182頁 定価 11,000円 + 税
- ISBN 978-4-431-53989-6