【開催報告】2021度地球研オープンハウス

地球研オープンハウスは、地球研の施設や研究活動を地域の方々に広く知っていただくことを目的に、一般の方々との交流の機会を設けています。新型コロナウイルス感染症が拡大する以前は、地球研施設内にて開催していたオープンハウスですが、2021年度は、7月30日(金)は来場型、9月18日(土)、10月30日(土)はオンラインで計3回行いました。地球研の研究者・所員が知恵を出し合い、幅広い年齢の方々にも楽しんでいただけるよう工夫しましたのでプログラムの一部を紹介します。
(なお、9月18日のイベントは当初来場型で実施する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の状況から来場型イベントを中止し、オンラインに変更して実施しました。)

7/30(金) 地球研来場型ツアー[小学4年生以上]

クリーンコース
身のまわりの汚れを調べてみよう(サニテーションプロジェクト)

クリーンコース 身のまわりの汚れを調べてみよう(サニテーションプロジェクト)

食品・医療業界で行われているATPふき取り検査によって、机や本、手のひらにも、目に見えない汚れ(有機物)がいっぱいあることが分かりました。しかし、アルコール消毒をしてから再度調べると数値が大きく下がり、手洗いや消毒が大切だとあらためて感じることができました。みんなで手洗いソングを歌ってウイルス撃退しました!

クリーンコース
海はプラスチックのごみ捨て場じゃない!(SRIREPプロジェクト)

クリーンコース 海はプラスチックのごみ捨て場じゃない!(SRIREPプロジェクト)

人間にとって便利なプラスチックは様々な製品に加工されています。しかしいま、プラスチックごみは地球の生き物の生態系に深刻な影響をおよぼしています。実際に日本の海岸で取れたプラスチックごみを見ながら、海を守るために私たちに何ができるか、意見を出し合いました。


防災コース
ハザードマップを学んで、パズルを作ろう!(Eco-DRRプロジェクト)

防災コース ハザードマップを学んで、パズルを作ろう!(Eco-DRRプロジェクト)

川や山の付近では、大雨がふると川の氾濫や土砂崩れがおき、時には大きな災害もおこります。災害がおこる場所を予測して地図化した「ハザードマップ」 の見方を学び、自分たちの住む地域の川や山との関係や地形を調べてみました。災害の時はどういう行動をとればよいのか、普段から家族で話合っておくことも大事ですね。

9/18(土) オンライン配信[中高生-大人]

森と人コース
水の森を火災から守ろう!熱帯泥炭地における住民との協働(熱帯泥炭社会プロジェクト)

森と人コース 水の森を火災から守ろう!熱帯泥炭地における住民との協働(熱帯泥炭社会プロジェクト)

スマトラ島の泥炭湿地林では開発により、土地が乾燥し火災が起こりやすくなっています。プスプスと地中で燃えた火災はおさまりにくく、その煙は越境大気汚染となり国際的問題になっています。生態系回復のため水管理や在来種の植栽などの住民との活動を紹介しました。異国の厳しい環境下で頑張る研究者のお仕事の一コマを、動画を通して見ていただきました。

森と人コース
おもろい地球研(犬)をめざして (山極壽一 地球研所長)

森と人コース おもろい地球研(犬)をめざして (山極壽一 地球研所長)

逆転の発想、弱みを強みへ。長年、アフリカで野生のゴリラと共に生活してきた山極所長が、ゴリラと人間の進化の違いや特徴を比較。人間の特徴である直立二足歩行・小さな消化器・早い離乳と遅い成長は、人間の弱みでありながら、共感や社会性を育みました。地球環境の限界や新型コロナウイルスなどの現代社会の問題も、発想を転換することで新しい未来をデザインできるはずです。自身のエコツーリズムでの経験も紹介しながら、これからの社会のあり方についてトークを繰り広げました。

企画(SDGs・脱炭素コース)
長期の歴史から見た環境と開発― 近世日本から地球環境問題まで (杉原薫)

企画(SDGs・脱炭素コース)長期の歴史から見た環境と開発― 近世日本から地球環境問題まで (杉原薫)

産業革命以前から戦前・戦後、現在までの日本・アジアの開発の歴史を、西欧と比較しながら解説しました。モンスーンアジアの強み、中でも日本には、土地が少ないことから生まれた資源節約の工夫がありました。工業化が進むアジアは、開発主義が産む失敗を繰り返さないために、今こそ資源節約型の思想を鍛えなければなりません。

企画(SDGs・脱炭素コース)
脱炭素社会に一番乗りな都市はどこ?みんなで考える炭素削減!

企画(SDGs・脱炭素コース)脱炭素社会に一番乗りな都市はどこ?みんなで考える炭素削減!

日本全国1,172の市町村におけるカーボンプットプリントを示したマップを見ながら、各地域を比較してみました。都市部では食品や耐久消費材の値が高い傾向にあり、その要因の一つは、所得によって増えると考えられます。一方、地方部では自家用車による値が高い傾向にあり、公共交通機関の利用が少ないことが考えられます。私達の消費やライフスタイルを少し変えることで、環境負荷を減らすことができますね。

環境の歴史コース
『大飢饉』のない14世紀― 史料が示す気候変動とその影響(気候適応史プロ 伊藤啓介さん)

環境の歴史コース 『大飢饉』のない14世紀― 史料が示す気候変動とその影響(気候適応史プロ 伊藤啓介さん)

過去の日本社会はどのように気候変動に対応してきたのでしょうか。日本の中世の気象災害の記録や大飢饉の記録と、最新の気候復元データとの比較から、歴史をひもといていきました。


10/30(土) オンライン配信

オンライン企画
交錯する17歳の研究者2021(コミュニケーション部門)

オンライン企画 交錯する17歳の研究者2021(コミュニケーション部門)

宮崎県にある五ヶ瀬中等教育学校、宮崎大宮高校、京都府にある北稜高校、洛北高校の生徒が、それぞれの環境に関する学習について動画を交えて発表し合い、意見交換を行ないました。フードロスや水質、ゴミの分別、昆虫食など身近で大切な問題を取り上げました。調査でカメムシを食べた生徒もいました!!

オンライン企画
世界中にきれいな空気を、青空を(Aakashプロジェクト)

オンライン企画 世界中にきれいな空気を、青空を(Aakashプロジェクト)

インド・デリーでは11月初旬に大気汚染がとてもひどくなり、健康にも影響を与えています。その原因は、北西に位置するパンジャーブ州で行われる藁焼きと考えられます。新型機械を導入して藁を焼かないことや、稲作から他の作物への転換など人々の環境意識を変え、持続可能な解決方法を探っています。藁焼きをしたら逮捕は本当なのです!?

オンライン企画
環境問題と私たちの関わり(知の共創プロジェクト)

オンライン企画 環境問題と私たちの関わり(知の共創プロジェクト)

「トランスディシプリナリティ」という聞きなれない言葉が出てきました。これは複雑な環境問題や社会問題に対して、市民、行政、企業、NGOなどと研究者が連携して考え、知識を融合し、実践していくことです。プロジェクトではその事例を集めて分析、検証しています。地球研にはこんなユニークな研究もあることを知っていただけたと思います!

オンライン企画
くせになる!地球犬ラボストーリー(計測・分析部門)

オンライン企画 くせになる!地球犬ラボストーリー(計測・分析部門)

びわ湖に泳ぎに行きたい地球犬くんですがアオコで体が緑になってしまうかもと心配しています!アオコ発生は海や湖で窒素やリンなどの栄養分が増えて植物プランクトンが増えてしまうことが原因です。地球犬くんは、水質悪化を解決するために湖に流れ込む河川のリンの起源を特定するべくリン酸の「酸素安定同位体比」を測る実験のお手伝いをしました!大量の水を採取してヘトヘトになった地球犬くんですが、水質改善と美白のために少しでも役に立った気がして喜んでいます。

所内見学ツアー ミニセミナー
みつばちの不思議

所内見学ツアー みつばちの不思議

ミツバチは、おいしいハチミツはもちろんのこと、野菜や果物の受粉など、私たちの食べ物を支えてくれているとても大切な昆虫です。ミツバチがいなくなったらスーパーの食材売り場はスカスカになってしまいます。「ミツバチの目」で社会や未来を考え、私たちに何ができるかをみんなで考えました。養蜂に使う巣箱や、防護服の展示も行い、ミツバチや養蜂への理解も深めてもらいました。

所内見学ツアー ミニセミナー
給食2050年って?

所内見学ツアー ミニセミナー 給食2050年って?

2050年のある日の給食は「虹色の“ぐーぐーぱん”と遺伝子組み換え魚肉ソーセージ」と言われたら?
30年後には何が学校給食に出てくるのでしょうか。この展示では、「地球温暖化対策が成功するかどうか」、「食べものがどこから来るか」という2つの要素を定めて、4つの未来シナリオを作成し、2050年の給食メニューを展示しました。将来も子供たちがおいしい給食を食べるために私たちが今できる事は何かを考えました。

所内見学ツアー ミニセミナー
うんちとおしっこから肥料を作るコンポストトイレのしくみ

所内見学ツアー ミニセミナー うんちとおしっこから肥料を作るコンポストトイレのしくみ

私たちがふだん使うトイレでは、一回あたり6㍑から10㍑の水を使います。コンポストトイレは、一切、水を使わないトイレです。また、ひとのうんちやおしっこをおがくずや微生物、カルシウム成分を含んだ貝殻の力を借りて、うんちやおしっこを分解して、安全な肥料にする仕組みをもつトイレです。このように、うんちやおしっこも「資源」として有効に利用できるのです!

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