地球研の杉原薫特任教授が、2021年11月、アジア・太平洋地域の政治、経済、社会、文化などに関する優れた著作を発表した研究者、実践者らに贈られる第33回アジア・太平洋賞大賞を受賞しました。
杉原特任教授は、大賞に選ばれた著書『世界史のなかの東アジアの奇跡』(名古屋大学出版会)で、西洋中心史観によって規定されてきた世界経済史を根本的に見直し、東アジアをもう一つの「発展径路」と位置付け、膨大な貿易統計を基に西洋と東アジアの発展の融合が戦後の劇的な世界経済の成長を牽引したことをダイナミックに論証しています。また、資本、労働、土地の「生産3要素」に水とエネルギーを加えることを提案し、環境の要素を取り入れて「生存基盤」の持続的発展を考えることの重要性を指摘しました。
今後、工業化、都市化がさらに進むとみられる南アジア、東南アジアなどを見据えて、「生存のための5要素」で人間と自然環境の関係を考えることは、21世紀の地球環境問題理解の枠組みを提示することにもなるとしています。これは、地球研で議論されてきた「ネクサス論」や「資源ネクサス論」に通じる発想でもあります。
表彰式は、2021年11月19日に東京都千代田区のホテルで行われ、杉原特任教授は「私の課題は資本主義の制度、思想を地球環境問題に対応できるようのものに鍛え直し、そこにおけるアジアの能動的な役割を追求していくことだと思う」と語りました。
受賞した杉原薫特任教授
第33回アジア・太平洋賞大賞を受賞した
杉原薫著『世界史のなかの東アジアの奇跡』(名古屋大学出版会)
メディア情報
- 毎日新聞(朝刊)20面 (※こちらのリンク先を全文閲覧するには会員登録が必要です)
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2021年11月19日
2021年11月20日