山極壽一第4代所長が着任しました

令和3年4月1日付けで、総合地球環境学研究所第4代所長に山極壽一氏が着任しました。山極所長は前京都大学総長であり、日本学術会議の第24期会長も務めました。

山極所長のコメント
今、地球環境は温暖化や化学物質による汚染、地震や津波、台風、大雨、山火事、生物多様性の喪失などによって、未曽有の危機に瀕しており、温室効果ガスの排出削減やSDGsなど世界が一丸となって待ったなしの対策が進められています。しかし、世界各国には多様な自然環境と文化が息づいており、トップダウンで一律の対策を講じれば、格差が拡大して孤立や対立が一層深まってしまう危険もあります。

地球研はこれまでその多様性を重視し、地域に固有な自然と人間との関係にもとづく環境課題の解決を目指してきました。科学技術を応用し経済発展を目指すだけでは環境問題の解決は程遠く、人文・社会科学的な視点を十分に織り込んで未来社会のあり方を構想しなければ実践には至りません。西洋発の近代科学技術と資本主義は限界に達しており、これまで日本で鍛えられた東洋の知と融合して新しい方法論を講じる必要があります。そこで、西田哲学や今西自然学の発想に着目し、各国で直面している環境問題やその解決策を文化再編の視点から再考し、それらに共通する環境倫理を共有できる形に統合し、地球コモンズの創生へ向けて実践的研究を実施しようと考えています。すでに地球研は持続可能社会へ向けた国際プログラムFuture Earthのアジアにおける国際ハブとして活動しており、多くの海外研究機関と協定を結んで共同研究を実施してきました。今後はそれを東洋知と西洋知の結節点として生かしつつ、現代の科学技術と調和できる実践的な連携体制を構築しようと思います。これらの活動により、豊かな生態系や大気・水環境の循環にもとづく「地球共生系」の創造へ向けた日本の発言力を高めて国際社会に貢献していく所存です。

山極壽一 総合地球環境学研究所 所長

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