COVID-19後の大気質と気候の変化を再考する
ジョゼフ・チン
梶野瑞王*(*Aakashプロジェクト共同研究者)
気象庁気象研究所
COVID-19の流行は世界に影を落としており、現在多くの国で死亡者数が増え続けている。COVID-19は公衆衛生史上記録的な被害をもたらしていると同時に、大気質や気候システムにも様々な影響を及ぼしている。ソーシャルディスタンス政策により経済活動の遅滞と交通量の減少がもたらされ、多くの都市において大気質改善が報告されている。一方で、大気質の悪さとCOVID-19による死亡率に正の相関がみられている。それについては、COVID-19を引き起こすSAR-Cov-2ウィルスの拡散をエアロゾルが促進する可能性に関する報告が増えているが、まだその原因は特定できていない。COVID-19流行期間における公共政策によってもたらされる大気質や気候変化の長期的もしくは短期的な変化については、強さやその符号も含めて、現在多くの研究が進行中である。本論文では、COVID-19と大気質や気候変化に関連する最新の研究をレビューしながら、科学的に重要な今後の課題を提起することを目的としている。
Reference:
Ching, J. and M. Kajino, 2020. Rethinking Air Quality and Climate Change after COVID-19, International Journal of Environmental Research and Public Health, 17, 5167, https://doi.org/10.3390/ijerph17145167
図で示す本論文の要旨
