人間文化研究機構総合地球環境学研究所長の選出について

令和2年6月22日

大学共同利用機関法人人間文化研究機構では、総合地球環境学研究所長安成哲三氏の任期が令和3年3月31日で満了することに伴い、選考を行った結果、新所長に山極壽一氏(京都大学総長)を選出しましたのでお知らせします。

なお、新所長は、機構長が令和3年4月1日付けで発令し、任期は4年となります。

略  歴

山 極 壽 一
昭和27年2月21日生

  1. 昭和50年 3月
  2. 京都大学理学部卒業

  3. 同 52年 3月
  4. 京都大学大学院理学研究科修士課修了

  5. 同 55年 5月
  6. 京都大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学

  7. 同 62年 1月
  8. 京都大学理学博士取得

  9. 同 55年 6月
  10. 日本学術振興会奨励研究員ナイロビセンター駐在員

  11. 同 58年 1月
  12. (財)日本モンキーセンターリサーチフェロー

  13. 同 63年 7月
  14. 京都大学霊長類研究所助手

  15. 平成10年 1月
  16. 京都大学大学院理学研究科助教授

  17. 同 14年 7月
  18. 同教授

  19. 同 23年 4月
  20. 同研究科長、理学部長

  21. 同 26年10
  22. 京都大学総長(現在に至る)

※専門分野
 人類学・霊長類学

※主な研究業績

  • ・平成19年12月
  • 暴力はどこからきたか―人間性の起源を探る、NHK出版、山極壽一

  • ・平成21年12月
  • Fallback foods and dietary partitioning among Pan and Gorilla, American Journal of Physical Anthropology 140: 739-750, Yamagiwa J, Basabose AK

  • ・平成24年 6月
  • 家族進化論、東京大学出版会、山極壽一

  • ・平成27年    
  • Evolution of hominid life history strategy and origin of human family, Furuichi T, Yamagiwa J, Aureli F (eds), Dispersing Primate Females : Life History and Social Strategies in Male-Philopatric Species, Springer, Tokyo, pp. 255-285, Yamagiwa J

  • ・平成30年 4月
  • ゴリラからの警告「人間社会、ここがおかしい」、毎日新聞出版、山極壽一

※受賞歴

  • ・平成18年 7月
  • 大同生命地域研究奨励賞

  • ・平成30年 4月
  • 日本人類学会功労賞

次期所⻑に選定された山極壽一氏(京都大学総長)からのコメント

総合地球環境学研究所の所長就任にあたって

次期所⻑に選定された山極壽一氏

このたび新しく総合地球環境学研究所(地球研)の所長に選ばれました山極壽一です。

私は地球研の「地球環境問題の根源は、人間の文化の問題である」という考え方に従来から深く共鳴してきました。そして、私が現在関わっている多くの場所で、まさにこの考え方が時代を先導するという確信を抱いています。たとえば、1995年に制定された科学技術基本法にある「人文科学のみに係るものを除く」という文言はこの度の改訂で削除され、人文科学が主体的に科学技術の発展を担うことが期待されています。私が会長を務めている日本学術会議も、第6期科学技術基本計画に向けての提言で人文科学の重要な役割を指摘しています。一昨年、自然科学と社会科学の国際アカデミーが統合されてInternational Science Council (ISC)が新設され、文理の壁を超えた学術の力に世界の関心が高まっています。

また、今回の新型コロナウイルスの襲来は、地球環境の荒廃とグローバルな人の動きがパンデミックを引き起こすことを示し、自然と共存する新たな社会の構築が急務であることを教えてくれました。これから地球研の視点と立ち位置がますます重要になると思います。

これまで地球研が実施してきたプロジェクトや現在進行中のテーマには、自然科学と人文・社会科学が有効に織り込まれており、世界が注目する大きな成果を挙げてきました。安成哲三所長をはじめ多くの方々のご努力により、地球研が世界的プロジェクトのフューチャーアースの事務局を務め、KYOTO地球環境の殿堂を主導するなど、国際的な人間環境学の拠点となってきました。この路線をしっかりと受け継ぎ、未来の学術と社会の在り方を見据えながら地球研の存在意義を世界に示していこうと思います。

初代所長の日高敏隆先生は私の大学時代の恩師の一人であり、亡くなられたときに小長谷有紀さんといっしょに『日高敏隆の口説き文句』という本を編集しました。私は日高先生ほど口説き上手ではありませんが、ゴリラに学んだ仲裁能力があります。これから地球研が多様な学問と活動をつなぐ国際的なプラットフォームとして活躍していくためには、信頼できる場づくりが必要と考えています。これまで様々な場所で培った経験とつながりを活かして、地球が抱える数々の課題解決に総合的な知を結集して臨みたいと考えております。

非力ではありますが、これから所員の方々に多くの教えを請い、地球研の長所を生かした魅力ある企画に取り組んでまいりたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

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