京都市北部において、総合地球環境学研究所(略称:地球研)の奥田昇准教授らのグループがコガタノゲンゴロウ注1)1個体を発見しました。コガタノゲンゴロウは、水生植物が多い池や沼、休耕田に生息する水生昆虫で、京都府では絶滅したとされていましたが、2011年の報道にて南山城村にて生息が確認され、現在は、絶滅寸前種とされています(京都府レッドデータブック2015より)。今回発見されたのはオス1個体のみで、現在、繁殖地の特定を進めています。
〈奥田昇准教授のコメント〉
人と自然のあり方に注目して、地球環境問題に取り組む研究を続けてきた地球研の一員として、今回の発見は、身近な自然への関心を高め、地域の生物多様性を保全する活動のきっかけになると期待しています。ただし、発見場所周辺は宅地開発によってゲンゴロウ類の生息に適したため池が減少しているため、早急な保全対策が必要です。
注1) コガタノゲンゴロウ
- 学名:
- Cybister tripunctatus lateralis
- 体長:
- 24〜29mm
- 分布:
- 本州、四国、九州、南西諸島、小笠原など。国外では台湾、中国大陸、朝鮮半島。
- 環境省カテゴリ:
- 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
- 京都府カテゴリ:
- 絶滅寸前種
- 生態的特性:
- 水生植物の多い池沼、休耕田などに生息する。成虫は夜間灯火にも飛来する。近年は南西諸島以外ではきわめてまれになった。
- 生息地の現状:
- 1939年の飯田の報告によると京都市には普通種として生息していたという記述があり、当時の古い標本が大阪市立自然史博物館にも保管されている。

写真:今回、捕獲されたコガタノゲンゴロウ
提供:総合地球環境学研究所 上原佳敏研究員
2017(平成29)10月31日(火)付 毎日新聞(朝刊)に掲載されました。
2017(平成29)11月7日(火)付 京都新聞(朝刊)に掲載されました。