近藤康久准教授がクリタ水・環境科学研究優秀賞を受賞
クリタ水・環境科学研究優秀賞は、過去にクリタ水・環境科学振興財団の研究助成を受けた研究者の中から、実績をあげている研究者に贈られる賞で、今年度は近藤准教授のほか5名が受賞しました。近藤准教授は平成25年度から26年度にかけて、同財団の研究助成を受けて「利水と治水:アラビア半島乾燥地オアシス集落の水環境に関する地考古学的研究」と題する研究を行いました。オマーン内陸部イブリ県の集落遺跡における遺構分布調査と土壌粒度検査を通して、アラビア半島の乾燥地帯における人間の居住と水環境のかかわりを「利水」と「治水」の両面から明らかにしたことが高く評価され、今回の受賞に至りました。
授賞式は8月26日に東京・西新宿の京王プラザホテルにて行われ、クリタ水・環境科学振興財団の鈴木基之ネットワーク委員長から賞状と副賞が授与されました。
授賞式に続いて記念講演が行われ、近藤准教授は「アラビア半島乾燥地オアシスの水環境に関する環境考古学的研究、その後」と題して、研究成果を報告するとともに、研究助成で制作した遺構の地図データベースが、監督官庁であるオマーン遺産文化省に評価され、同国の全国文化遺産データベースの構築に協働して取り組むこととなり、文化遺産の保護や文化遺産に対する国民意識(パブリック・アウェアネス)の向上を通して、現地社会の持続可能な発展に貢献できる見通しであることを述べました。
Yasuhisa Kondo, Takehiro Miki, Taichi Kuronuma, Yuichi S. Hayakawa, Kyoko Kataoka, Takashi Oguchi (2016) Concurrent and sustainable development of a local-scale digital heritage inventory through action research at Bat, Oman. Journal of Cultural Heritage Management and Sustainable Development, Vol. 6, No. 2, pp. 195-212.
近藤康久(2015)「オマーン — ナショナル・アイデンティティーの形成と文化遺産」
野口 淳・安倍雅史(編)『イスラームと文化財』新泉社, 133–137頁.近藤康久(2014)「沙漠の魚市場」地球研ニュース No. 51, 5頁.