安成哲三所長が「2015年環境科学会論文賞」を受賞

2015年7月17日

地球研安成哲三所長が、2015年環境科学会論文賞を受賞しました。

環境科学会論文賞は、環境科学の研究において顕著な業績をあげた研究者に学会賞、学術賞、奨励賞を、また、環境科学会誌に優秀な論文を発表した著者に論文賞を与えられるものです。

今回の受賞論文は、劉 晨(上智大学地球環境研究所、現在所属:公益財団法人 地球環境戦略研究機関)、林 良嗣(名古屋大学大学院環境学研究科)とともに執筆した「上海市の都市化が地域窒素収支に及ぼす影響の解析と対策提案-社会経済要因を物質循環に 結びつけて-」(環境科学会誌27(5)pp.265-276 2014 年)です。

本研究は、メガシティである上海市を例に、窒素収支モデルや産業連関分析、現地調査、統計解析などの学際的アプローチによって、急速な都市化による人々の生活スタイルと生産スタイルの変化が、都市生態システムの窒素循環に及ぼす影響を定量的に評価し、物質循環の視点から地域環境問題の診断を行ったものです。 そこでは、1)大気からの窒素沈降量と移入食料・飼料からの窒素投入量が年々増加し、地域窒素負荷源が化学肥料から大気沈降と食料・飼料の移入へシフトしていること、2)80 年代には上海で生産された動物性たんぱく質は同地域の消費量より多く、一部は域外へ移出していたが、90 年代になると域外から移入していたこと、3)市内では改善に向かう水環境問題も、周辺地域を含む広範囲で考えるとむしろ拡大しており、新たな環境対策の提案が急務であること、などが指摘されています。 このように、本論文はアジアのメガシティを対象とした地域環境診断手法の模範を提示しており、環境科学分野における今後の研究発展が期待できることから、環境科学会論文賞としてふさわしいと評価されました。 

なお、表彰は9月7~8日に大阪大学吹田キャンパスで開催される環境科学会2015年会にて行われます。

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